- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004315681
感想・レビュー・書評
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日本の雇用について、その歴史も含めて、解説。特に底辺のまずさを書かれている。
事実そういう側面で経済成長してきたのであろうし、今の雇用のあり方にも問題は多い。ただ、非正規やめろ
長時間労働はおかしいといった主張だけではなかなか、成熟した社会における安定した、雇用の形も作れないかと思うが、、、
中身は勉強になる本。
雇用身分社会
目次
序章気がつけば日本は雇用身分社会
派遣は社員食堂を利用できない?
パートでも過労とストレスが広がる使い潰される
ブラック企業の若者たち
現代日本を雇用身分社会から観察する
全体の構成と各章の概要
第1章
戦前の雇用身分制
遠い昔のことではない
『職工事情』に見る明治中ごろの雇用関係
『女工哀史』に描かれた大正末期の雇用身分制
戦前の日本資本主義と長時間労働
暗黒工場の労働者虐使事件
戦前の工場における過労死・過労自殺
第2章
派遣で戦前の働き方が復活
戦前の女工と今日の派遣労働者
派遣労働の多くは単純業務
一九八〇年代半ば以降の雇用の規制緩和と派遣労働
財界の雇用戦略ー『新時代の「日本的経営」』
リーマンショック下の派遣切り
雇用関係から見た派遣という働き方
中高年派遣の実態と派遣法「改正」法案
第3章
パートは差別された雇用の代名詞
パートタイム労働者の思いを聞く
パートはどのように増えてきたか
日本のパートと世界のパート
日本的性別分業とM字型雇用力ーブ
パートはハッピーな働き方か
シングルマザーの貧困
重なり合う性別格差と雇用形態別格差
第4章
正社員の誕生と消滅
正社員という雇用身分の成立
「男は残業・女はパート」
絞り込まれて追い出される
過労とストレスが強まって
拡大する「限定正社員」
時間の鎖に縛られて
正社員の消滅が語られる時代に
第5章
雇用身分社会と格差・貧困
雇用形態が雇用身分になった
戦後の低所得層
非正規労働者比率の上昇と低所得層の増加
現代日本のワーキングプア
潤う大企業と株主・役員
労働所得の低下に関するいくつかの資料
第6章
政府は貧困の改善を怠った
政府は雇用の身分化を進めた
雇用が身分化して所得分布が階層化
男性の雇用身分別所得格差と結婚
高い貧困率は政府の責任
公務員の定員削減と給与削減
官製ワーキングプア
生活保護基準の切り下げ
終章
まともな働き方の実現に向けて
急がれる最低賃金の大幅引き上げ
雇用身分社会から抜け出す鍵
ディーセントワーク
あとがき
主要参考文献詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最低賃金を上げ, 男女の雇用の差別を少しずつ無くしていくしかない。今のままでは貧困の連鎖が続いてしまう。株主資本主義の行き着く先は、欲望の最大化。
効率的な市場は欲望を最大化させるだけで, 人間的な尊厳を持った生活を万人に提供することはできないのではないか。自由競争は強い奴が勝つ仕組みであり、政府の人間が一部の大企業や機関投資家や銀行などのために規制緩和を続けているのは政治家としてどうなんだろう。
規制緩和の結果、一般市民に利益はあるのだろうか。裏で政治献金や賄賂をもらっているから,彼らに利益になるような政策を出しているのではないかと思ってしまう。
適正な規制と適正な規制緩和を考えるのが官僚や政治家の役割であって、なんでも規制を緩和すればいいのなら国家なんかいらないって理屈になるのではないか?
国家こそが個人にとって一番の規制だと思われるからである。
今のような状況が続くなら、雇用によって社会的身分が分かれ、個人個人が分断された社会が完成してしまう。
男女が協力しあい、長時間働きたい人は働き、フレッキシブルに働きたい人は自分お時間に合わせて働くそんな社会が望ましいと思う。
理想を語れなきゃ政治家なんていらない。 -
非正規雇用の闇を知ることができたが、最後の提案がイマイチだった
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女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000026307
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配置場所:2F新書書架
請求記号:366.2||Mo 62
資料ID:C0037104 -
派遣社員が社員と同じ食堂を使えない職場があることに衝撃。同じ仕事をしてても契約形態でここまで格差があるのはやはり異常
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かなり読み辛い
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湯浅誠の貧困社会の本の続きのような内容。賃金格差、非正規労働者の話がメイン。もう少し多角的な見方をしてほしい感じもある。
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生活できる時給は1500円である。
ダンピングである。
日本では、シングルマザーの貧困率が高い。 -
・日本でフルタイム労働に従事する男性が殆ど家事労働をしない理由は、あまりにも長く働いているためである。
・その結果、女性に家事労働のしわ寄せが押し寄せ、女性のフルタイム労働を難しくしている。男性が現在のような働き方を求められ続ける限り、女性の多くは結婚・出産後、一時的にせよ家事に専念するか、パートタイム労働者として家事と勤めを掛け持ちするしかない。
・企業はこうした性別分業の存在を前提に、女性を低賃金の使い捨て労働力として働かせる戦略を選択してきた。企業が女性パートを採用するのは、労働力の確保、労働コストの軽減、業務の繁閑への対応等のためであり、女性に社会参加の場を提供するためではない。
・高島道枝は、パートタイム労働の日英比較の論文で、日本ではパートタイム労働者がフルタイム並みに働いていることに着目して、「日本では時間の長短ではなく、正規常用労働者に対比した差別的処遇、劣った身分を示す概念として用いられている」と指摘している。
・最近では中高年社員を窓際に追いやり、「仕事を探す」という仕事をさせてやる気を削ぐような「追い出し部屋」のやり方は古くなってきている。
・会社はスキルアップの名目で社員を人材会社に行かせ、キャリア志向性や「人生の根っこ探し」を称した適正診断テストを受けさせる。事実上の退職勧奨・転職強要であり、転職先は人材会社が斡旋する。
・2011年の社会生活基本調査によると、「正規の職員・従業員」のうち、調査対象期間中も勤務し続けていた男性の週間労働時間は66.7時間に上る。(中略)日本の働き盛りの猛烈サラリーマンは、週休2日とすれば、1日14時間程度は働いているのではないか。
・1997年の男女雇用機会均等法の改正により18歳以上の女性の残業時間規制は撤廃されてしまったが、実は今でも現行の育児・介護休業法に「事業所は育児や家族の介護を労働者が請求した場合には(男女の別を問わず)1ヶ月に24時間、1年に150時間を超える時間外労働をさせてはならない」とある。
togetterまとめ
https://togetter.com/li/1160992