〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.25
  • (0)
  • (6)
  • (8)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 78
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315735

作品紹介・あらすじ

グローバル化のなか、人々や社会、国家や宗教などのアイデンティティの根幹に関わる文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている。固有の文化とは何なのか?文化を政策に活用することの是非は?国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察。
    今後の文化政策を考えるうえで示唆深い内容となっている。「人間の安全保障」「ソフトパワー」といった文化政策に関連するキー概念を理解するのにも役立つ。

  • やや総花的な印象。
    初学者にはわかりにくく、そこそこ知っている人にはツッコミが浅く感じるのではないか。もちろん、総論や方向性、問題意識に賛同する人は多かろうけど。

  • 著者は、アメリカ研究と文化政策研究を専門とする渡辺靖。文化政策研究の単著としては『文化と外交』に続いて2冊目となる。

  • 【版元】
    ■新赤版 1573
    ■体裁=新書判・並製・240頁
    ■定価(本体 780円 + 税)
    ■2015年11月20日
    ■ISBN 978-4-00-431573-5 C0230
     近年,人々や社会,国家のアイデンティティの根幹に関わる,一人一人の文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている.固有の文化とは何なのか? 守るべき文化とは? あるいは文化を政策に活用することの是非は? 国内外の最新の動向を紹介し,観念論と政策論の双方の視点から,文化の新しい使い方,その危険性と可能性を考察する.
    https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-431573-5

    【目次】
    題辞 [i]
    はしがき――「文化」は、いま [iii-xiv]
    目次 [xv-xix]

    第一章 グローバリゼーションは「文化」を殺す? 001
    1 スーパーモダン 002
    2 ポストモダン 005
    3 肯定派と否定派 009
    4 保守派とリベラル派内部の不協和音 014
    5 ナショナルな次元の重要性 016
    6 重層的なガバナンス 019
    7 グローカリゼーション 022
      スローフード/創作エイサー/先住民族
    8 搾取される「伝統文化」 031
    9 ハイリスク・ハイリターンの皮肉 033
    10 「われわれはみんなペストの中にいるのだ」 036

    第二章 台頭する「人間の安全保障」という視点 041
    1 格差の再編成 042
    2 新自由主義の論理と力学 045
      オーディット文化/消費者至上主義/市場化される精神性と身体性/〈帝国〉の権力とネットワーク
    3 「人問の安全保障」 053
    4 セーフティーネットとしての文化 057
    5 教育の挑戦 061
    6 製品の可能性 065
    7 言語という権利 067
    8 方便としての文化 070
    9 文化相対主義の陥穽 078

    第三章 ソフトパワーをめぐる競合 083
    1 ソフトパワーをめぐる狂想曲 084
      文化の地政学/ソフトパワーとしての「人問の安全保障」
    2 パブリック・ディプロマシーの時代 090
    3 「対外発信強化」の陥穽 095
    4 道義的な高潔さ 098
    5 「支配」から「支援」へ 106
    6 グローバル・シビリアン・パワー 112

    第四章 新しい担い手たち 119
    1 政策的価値は「不純」か? 120
    2 ガバナンスの新たな潮流 123
    3 米国モデルの優位性 130
    4 創発的な試み 132
    5 日本が直面する課題 140
      評価や測定は可能か

    第五章 理論と政策の狭間で 149
    1 「離見の見」 150
    2 構築主義 156
    3 境界線への眼差し 160
    4 境界線を編み直す 165
      芸術という試み/市場という試み/政治という試み/外交という試み/
    リベラル・アーツという試み/文化人類学という試み
    5 「文化」を語れなくなった時代 170
    6 一九九○年代の米国の経験 180
    7 新たな問い 186

    おわりに――「文化」の未来 191

    あとがき――ピーボディ四六号室(二〇一五年 ボストンにて 渡辺靖) [197-206]


    【抜き書き】
    ・構築主義の紹介で、Japanologyが登場。
    [pp. 157-158]
     “いわば、「日本人論」とは、それぞれの時代状況において「自分探し」の役割を担ってきたジャンルであり、主に「米国」や「西洋」を合わせ鏡としながら、その都度、「日本らしさ」が構築されてきた。日本礼賛色の強い、近年の新たな「日本人論」ブームの背景には、米国や西洋の相対的衰退、中国や韓国への反発、人口減など日本の将来への不安、「反日」のレッテルを恐れる出版社側の自主規制、日本文化に対する海外からの高評価などが混在しているように見受けられる。
     その日本文化については「外来文化を融合しながら独自の文化を発展させている」「自然との調和や共生を重んじている」「革新と伝統を融合している」「細部へのきめ細かな配慮に富んでいる」といった特徴づけをされることが多いが、構築主義はそうした特質を直ちに所与の本質と捉えることはしない。むしろ、例えば、①日本以外の社会にも認められる特質ではないか、②そうした特質とは正反対の事象も存在するのではないか、③地域差や階層差、男女差、世代差といった点を考慮すると「日本」という大きなカテゴリーで括りにするのは乱暴ではないか、④価値基準そのものがエスノセントリック(自民族中心的)ではないか、⑤そもそも誰が、誰に対して、何の目的で、こうした言説を生産し、流布しているのか、といった点への留意を求める。”

  • 副題のカルチュラルセキュリティの定義や内容があまり頭に入ってこないが、多様な文化の見方が記載されているので、一読の価値あり。

  • 「人間の安全保障」というあまり聞きなれない言葉の紹介が主題。異文化への理解が現実に役に立つと具体的に例示している点が面白い。応用人類学という分野だろうか。作者は文化政策研究の専門家。これからの人類はどう生きるかについて提言をしており、おおむね賛同できる。戦略的な文化振興で国際世論を勝ち取ろうという考えは拒否感を持つ者もいるだろうが、前向きにとらえたい。
    最も興味深く読めたのは第五章での作者本人の米研究履歴である。文化人類学の現在とともに、研究と実践の両輪を回そうとする作者の奮闘ぶりが書かれている。
    本質とは関係ないが気になった点を一つ。作者は本書において、人を学ぶという意味で「人間学」という言葉を使用しているが、日本語で「人間学」といったら普通は哲学で人間とはなにか、人間の本質について考える一分野の名称ではないのか。これは本書で作者が批判する本質主義の考え方ではないか。

  • 2016年1月新着

  • どうして世界は、この「あたりまえ」方向にシステム変換できないのだろうな。日本が成熟しているように(このような著者がいるように)、世界も成熟していくのでしょうか。

全8件中 1 - 8件を表示

〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)のその他の作品

渡辺靖の作品

〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする