〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315735

作品紹介・あらすじ

グローバル化のなか、人々や社会、国家や宗教などのアイデンティティの根幹に関わる文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている。固有の文化とは何なのか?文化を政策に活用することの是非は?国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 固有の文化とは何なのか? 文化を政策に活用することの是非は? 国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察する。【「TRC MARC」の商品解説】

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    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40233136

  • 捉え直しというか再定義、大事だろうが未だ散らかってる

  • 2015年刊行だが、2019年の「あいちトリエンナーレ」「日韓関係」などの問題を考えるヒントにもなる本。「パブリック・ディプロマシー(広報文化外交)」「ソフト・パワー」「人間の安全保障」などを解説。

  • 近年の文化をめぐる動向について、特に政治・経済の接点に発生している論点を概観的に紹介した本。
    テーマゆえ仕方ないが、どうしても取り上げる話題が広く浅く、読みにくい文章ではないのにさっぱり頭に残らない。概論的な本の読み方がまだまだ下手と自覚。登場するキーワードは押さえておくとよさそう。
    ・グローバリゼーション。国家以外の、重層的な担い手の出現。グローカリゼーション。
    ・人間の安全保障。少数言語の保護。貧困や社会的包摂への対応。
    ・パブリック・ディプロマシー。対外発信強化。文化外交。ソフトパワー。
    ・地方自治体や民間団体が文化の担い手となるモデル。

  • 文化的リテラシーが問われる現代世界において、カルチュラル・セキュリティの重要性を説く一冊。
    カルチュラル・セキュリティとは聞きなれない表現ではあるが、自分自身をつくりあげてきた環境以外の文化へのまなざしを、謙虚に構築していく必要性は多分に同意できた。不可逆的に加速する、グローバルな他者との交流を築いていく上で、参考にしたい概念である。
    また、二項対立に引き寄せらることなく、そして私自身の価値観や思考を切開し相対化していく作業を怠ることなく生活したいとも、この著書を読み改めて感じた。

  • 国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察。
    今後の文化政策を考えるうえで示唆深い内容となっている。「人間の安全保障」「ソフトパワー」といった文化政策に関連するキー概念を理解するのにも役立つ。

  • やや総花的な印象。
    初学者にはわかりにくく、そこそこ知っている人にはツッコミが浅く感じるのではないか。もちろん、総論や方向性、問題意識に賛同する人は多かろうけど。

  • 【版元】
    ■新赤版 1573
    ■体裁=新書判・並製・240頁
    ■定価(本体 780円 + 税)
    ■2015年11月20日
    ■ISBN 978-4-00-431573-5 C0230
     近年,人々や社会,国家のアイデンティティの根幹に関わる,一人一人の文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている.固有の文化とは何なのか? 守るべき文化とは? あるいは文化を政策に活用することの是非は? 国内外の最新の動向を紹介し,観念論と政策論の双方の視点から,文化の新しい使い方,その危険性と可能性を考察する.
    https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-431573-5

    【目次】
    題辞 [i]
    はしがき――「文化」は、いま [iii-xiv]
    目次 [xv-xix]

    第一章 グローバリゼーションは「文化」を殺す? 001
    1 スーパーモダン 002
    2 ポストモダン 005
    3 肯定派と否定派 009
    4 保守派とリベラル派内部の不協和音 014
    5 ナショナルな次元の重要性 016
    6 重層的なガバナンス 019
    7 グローカリゼーション 022
      スローフード/創作エイサー/先住民族
    8 搾取される「伝統文化」 031
    9 ハイリスク・ハイリターンの皮肉 033
    10 「われわれはみんなペストの中にいるのだ」 036

    第二章 台頭する「人間の安全保障」という視点 041
    1 格差の再編成 042
    2 新自由主義の論理と力学 045
      オーディット文化/消費者至上主義/市場化される精神性と身体性/〈帝国〉の権力とネットワーク
    3 「人問の安全保障」 053
    4 セーフティーネットとしての文化 057
    5 教育の挑戦 061
    6 製品の可能性 065
    7 言語という権利 067
    8 方便としての文化 070
    9 文化相対主義の陥穽 078

    第三章 ソフトパワーをめぐる競合 083
    1 ソフトパワーをめぐる狂想曲 084
      文化の地政学/ソフトパワーとしての「人問の安全保障」
    2 パブリック・ディプロマシーの時代 090
    3 「対外発信強化」の陥穽 095
    4 道義的な高潔さ 098
    5 「支配」から「支援」へ 106
    6 グローバル・シビリアン・パワー 112

    第四章 新しい担い手たち 119
    1 政策的価値は「不純」か? 120
    2 ガバナンスの新たな潮流 123
    3 米国モデルの優位性 130
    4 創発的な試み 132
    5 日本が直面する課題 140
      評価や測定は可能か

    第五章 理論と政策の狭間で 149
    1 「離見の見」 150
    2 構築主義 156
    3 境界線への眼差し 160
    4 境界線を編み直す 165
      芸術という試み/市場という試み/政治という試み/外交という試み/
    リベラル・アーツという試み/文化人類学という試み
    5 「文化」を語れなくなった時代 170
    6 一九九○年代の米国の経験 180
    7 新たな問い 186

    おわりに――「文化」の未来 191

    あとがき――ピーボディ四六号室(二〇一五年 ボストンにて 渡辺靖) [197-206]


    【抜き書き】
    ・構築主義の紹介で、Japanologyが登場。
    [pp. 157-158]
     “いわば、「日本人論」とは、それぞれの時代状況において「自分探し」の役割を担ってきたジャンルであり、主に「米国」や「西洋」を合わせ鏡としながら、その都度、「日本らしさ」が構築されてきた。日本礼賛色の強い、近年の新たな「日本人論」ブームの背景には、米国や西洋の相対的衰退、中国や韓国への反発、人口減など日本の将来への不安、「反日」のレッテルを恐れる出版社側の自主規制、日本文化に対する海外からの高評価などが混在しているように見受けられる。
     その日本文化については「外来文化を融合しながら独自の文化を発展させている」「自然との調和や共生を重んじている」「革新と伝統を融合している」「細部へのきめ細かな配慮に富んでいる」といった特徴づけをされることが多いが、構築主義はそうした特質を直ちに所与の本質と捉えることはしない。むしろ、例えば、①日本以外の社会にも認められる特質ではないか、②そうした特質とは正反対の事象も存在するのではないか、③地域差や階層差、男女差、世代差といった点を考慮すると「日本」という大きなカテゴリーで括りにするのは乱暴ではないか、④価値基準そのものがエスノセントリック(自民族中心的)ではないか、⑤そもそも誰が、誰に対して、何の目的で、こうした言説を生産し、流布しているのか、といった点への留意を求める。”

  • 副題のカルチュラルセキュリティの定義や内容があまり頭に入ってこないが、多様な文化の見方が記載されているので、一読の価値あり。

  • 2016年1月新着

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著者プロフィール

渡辺靖

慶應義塾大学SFC教授。1967年(昭和42年)、札幌市に生まれる。97年ハーバード大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。オクスフォード大学シニア・アソシエート、ケンブリッジ大学フェローなどを経て、99年より慶應義塾大学SFC助教授、2005年より現職。専攻、アメリカ研究、文化政策論。2004年度日本学士院学術奨励賞受賞。著書に『アフター・アメリカ』(サントリー学芸賞・アメリカ学会清水博賞受賞)、『アメリカン・コミュニティ』『アメリカン・センター』『アメリカン・デモクラシーの逆説』『文化と外交』『アメリカのジレンマ』『沈まぬアメリカ』『〈文化〉を捉え直す』など。

「2020年 『白人ナショナリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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