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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784004315759
みんなの感想まとめ
作品は、村上春樹の独特な魅力と深いテーマを掘り下げることで、読者に新たな視点を与えます。愛読者や批判者が語る春樹の位置づけや、彼の作品に対する個々の思いが交錯し、特に『ノルウェイの森』に対する深い愛情...
感想・レビュー・書評
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『風の歌を聴け』の芥川賞不選考の理由、「否定性」が欠けているという点でのサザンの音楽との類似、日本の中国侵略という事実に対峙した初期作品。唸るくらい明解で面白い。
愛読者、批判者ともに、近現代文学の異端者とする村上春樹の位置づけに一家言。
春樹の小説、あらためて読みたくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私はけっこう真剣に村上春樹を読んできた人間なのだけれど、一番なんども読み返している本はなにかというと、実はノルウェイの森だった。村上春樹というと、羊をめぐる冒険や世界の終わり、ねじまき鳥などがやはり真骨頂、傑作とされていて、ノルウェイの森は商業的に成功を収めた作品、といった印象で、ノルウェイの森が好きというのは村上春樹の読みとしてどうなのか?というそこはかとない空気があるような気がしており、私はノルウェイの森が一番好きだ、ということをほとんど誰にも言ったことがなかった。でも、大切に大切に、それこそワタナベくんが『グレート・ギャツビー』に対してそうであったように、なんども繰り返しいろんなページを開き、暇があれば読み返し、1ミリたりとも私を失望させることはなく、むしろ、どのページであっても、いつも何かしらの感動を与えてくれたのは、ノルウェイの森だった。というか、おそらく他のどの小説家のどの作品よりも、私はノルウェイの森を読み返している。が、そのことは誰にも言ったことがない、私の秘密だった。
しかし、この本を読んで、そのノルウェイの森に対する感覚は全く恥ずかしいものではなかったということ、加藤天洋の読みによってそのような安心感を与えられていくような気がして、とても嬉しかった。引用に載せるけれども、他の作品は、どうにもこうにもいかにも村上春樹の書きたいことがぎゅうと詰まり、それが上手いこと整列しているような印象を受け、それはそれで面白いとは思っていた。けれど、ノルウェイの森だけは、著者の意識を超えた響きがあるように感じていて、それが私の心を動かしていたのだった。そのことに気づけただけでもとてもありがたかった。
最近面白いと思っているのは、村上春樹が加害者としての日本に非常に敏感な作家なのではないかということ。それは最近の文藝春秋に掲載された『猫を捨てる』というエッセイとも繋がるし、加藤天洋の持つ戦後日本の「ねじれ」の感覚とも繋がってくる。確かに、戦争の悲惨さ、失われた命の尊さについてはたくさんの言及があるが、意外と日本人の加害性に敏感な小説というのは少ないのかもしれない。そんなことなどを考えた。 -
ずっと読んできたのに、『1Q84」が読み切れない。なぜか知りたくて、本書に助けを求めました。青豆の造形につまずいていたのでした。初期の作品から、デタッチメント(距離をおくこと)なる主人公の行動にどれだけ影響を受けたでしょう。そして、村上春樹は深化(進化)しつづけているのが、納得できました。そのことについていけず、または、誤解を加えて、違和感を持っていたのでした。今、あらためて、初期から読み直してみたいと思っています。春樹氏は、自分の評論を読まないと発言していますが、読者の道案内に本書はありがたい。
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加藤典洋の村上評本。頭の中にあった漠然としていたものに、言葉を与えてくれるので、村上春樹を自分がどう読んでいたかを整理してくれる。「村上春樹の短編を英語で読む1979~2011」ですっきりさせてもらった。
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うーむ。やっぱり村上春樹は難しい…
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市
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/686709 -
910-K
閲覧新書 -
これまで読んだ3冊の村上春樹本の中で1番しっくりきた。しっくりポイントは、否定性の反動として、サザンと村上龍が「肯定性の肯定」であり、村上春樹が「否定性の否定」だ、という評。それと、アンダーグラウンドで普通のサラリーマンと話したことでそれ以後の作品に普通の人々が出てくる、複層的になっていくという話。シークアンドファインド、対の世界、縦の関係、という構造の変化。その反応のダイレクトさに、村上春樹の1人の人間らしさを感じれたのが収穫。てか短編も読んでいきたい、そしてもう一回この本を。
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ミステリを読んでいるかのように、ひきこまれた。読み進むにつれて、謎が解かれていく気分の良さ。解かれていく謎っていったら、そりゃ村上春樹という作家さんの謎でしょう。タイトルの通り、村上春樹は難しい。これはこういう話だったんだ、というスッキリ感があまりない。それでもなんか読んでしまうし、好きな作品は何度か読み返したりもしている。それは村上春樹自身がしばしばいうように、文体に魅力があるからかもしれない。あるいは、他に何か企業秘密的に表に出てこない魅力があるのかもしれない。
本書で説かれているのは、もちろん加藤氏の見方ではあるだろう。でも、作品を対比し、広い知識と明確な論理で語られる解釈は、強い説得力があるんだよなぁ。
『海辺のカフカ』以降では特に、村上作品には悪の存在が出てくるなんて話はよそでも読んだけどさ。その悪とは、それ以前の村上作品における主人公たちであり、著者のもつデタッチメントな方面のファクターだ、なんていう話は妙に納得してしまった。
面白かったねぇ。
村上春樹を再読したくなったのはもちろんなんだけど、内田樹や豊崎由美など、他の、村上作品を論じている人の文章も読みたくなった。それだけ楽しく、刺激的な本だったのだと思う。 -
タイトルだけ読むと、本書の主題は「村上作品が何故難しいのかを解き明かす」と思ってしまうが、本当の主題は「日本文学の延長線上に村上作品があることを示す」である。この主題は、村上作品が日本文学の伝統に基づいておらず、日本文学界から評価されていないという前提に基づいている。この前提を私は知らなかったので非常に驚いたが、長年の謎が少し解けた気がする。その謎とは、村上作品の文体は翻訳調、内容は抽象的なため、純文学読者層にしか届かなそうなのに、何故こんなにも売れているのかという謎である。
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まずはご冥福をお祈りいたします。亡くなられたからという訳じゃないけど、このタイミングで読んでみることに。先だって読んだ内田樹作・春樹評の中でも触れられていたしね。おおむね好意を寄せながら、褒めの一辺倒じゃないってところは好感。未読作品も、早く読んでしまいたくなりました。ただ、春樹特別って訳じゃなく、あくまで他の作家と同列に、普通に面白い作品として味わっている自分としては、まあ時が来れば読みましょう、くらいの感じではあるんだけどね。
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『村上春樹は、むずかしい』というタイトルであるが、ここまで読み込むのであれば、むずかしいというのも頷ける。
例えば、初期短編『中国行きのスローボート』については、初編からの細かな改変部分に目配せされていてその意図についての解釈が解説される。これまで、村上春樹の父と中国に対する一種の集合的な罪の意識についてはほとんど意識することもなかったのだが、言われてみるとノモンハン事件をひとつのテーマとして含む長編『ねじまき鳥クロニクル』など、村上春樹が、中国との過去の戦争に対して特別な思いを抱えていることは確かなのだと思う。中国との関係においては『アフターダーク』で描かれた中国人女性への暴力にもその流れとして触れられている。『アフターダーク』を自分の最初の短編である『中国行きのスローボート』への返歌として書かれたという読みは鮮やかである。村上春樹本人はその辺は読者にゆだねられていて、自分はそうだったかどうか覚えていないと言うのかもしれないが、こういう謎解きを提示されると、文芸批評もひとつのエンターテイメントであると感じる。とにかく『中国行きのスローボート』は比較的好きな短編だが、そこに新しい意味を見つけることができた。そして、もう一度『アフターダーク』と『ねじまき鳥クロニクル』を読んでみたくなったのは、加藤さんの文芸批評の力だと思う。
村上春樹のクロノグラフィを追うに当たり、『ねじまき鳥クロニクル』の第一部/第二部と第三部の間に起きた1995年の二つの事件「阪神淡路大震災」と「オウム真理教サリン事件」は明らかに大きな影響を与えた事件として捉えられる。加藤さんは、そこでの変化を『めくらやなぎと眠る女』のオリジナル版と1995年に朗読のために短縮した改作版を比較することで語っている。この比較的有名な短編から『ノルウェイの森』との関係性とその変化を語るのは謎解きとして非常に面白いし、著者にしかできないことではないかと思う。『めくらやなぎと、眠る女』に出てくる女の子と友人が、直子とキズキに当たるというのは目からウロコであった。また、そこでは『ノルウェイの森』の冒頭でも描かれた、喪失についての後からの気づきによる悔恨というものが繰り返されているのである。
もちろんオウム事件の直接的な影響は『アンダーグラウンド』と『約束された場所で』を書いたことである。この経験は言わずもがな大きなものであったはずだ。丁寧に両者の声を拾ったこの本を自分はとても大事な本だと思っている。『神の子どもたちはみな踊る』や、これまでの自分の中ではベストの長編と思っている『1Q84』にも通じるものである。ちなみに同じように第三部が別の時期に遅れて出版された『1Q84』と『ねじまき鳥クロニクル』の対照比較も面白い。
ノーベル文学賞の話で、2013年にスベトラーナ・アレクシェービッチ『チェルノブイリの祈り』が候補として出てきたときに、加藤さんはぜひにノーベル賞をとるべきだと思い、同時に『苦海浄土』の石牟礼道子との対談を実現させるべきだと書いている。この後、2015年にアレクシェービッチは実際にノーベル賞を取るのだけれども、加藤さんが持った思いに自分も同感である。加藤さんは村上春樹の中に「大きな主題」を求めているわけだが、『1Q84』以降の『色彩をもたない多崎つくると、彼の巡礼の年』や『女のいない男たち』には「小さな主題」に引きずられたまま、水中深く沈んでいこうとしていると指摘する。著者によると次の大きな主題をめぐる長編は2017年ごろになるのではないだろうかというが、その2017年に出た『騎士団長殺し』について、著者はどう語るのだろうか。
手際鮮やかで、村上春樹好きならば手に取ってほしい本。 -
私が読んだ、村上春樹氏の著作は多くない。
食わず嫌いと言われればその通りである。
今や、毎年ノーベル文学賞候補として取り沙汰される人気作家。
「ハルキスト」なる熱狂的なファンを有する。
読むべき作品は多いはず。
それでも、私の手が伸びない。
なぜか。
私は、本書を読んで1つの答えが導き出された。
「難しそう」なのだ。
『海辺のカフカ』を読んで以来、強く感じている。
それを解消するために、本書を読んだ。
しかし、著者の洞察は鋭い。
鋭すぎて、全てが正解ではないかと思う。
それを疑うことができないから、私は良い読者ではないのかもしれない。 -
【つぶやきブックレビュー】今年のノーベル賞文学賞にはビックリ。こちらは何度も候補に。
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