蘇我氏の古代 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.03
  • (1)
  • (9)
  • (17)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 175
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315766

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (借.新宿区立図書館)
    内容的には「蘇我氏を通してみた古代の氏族」とでもいった方がいいかも。古代の「氏」を考える時に参考になる意見だろう。ただ、どうも日本書紀をはじめ史書の記述を都合よく使っているようにも感じられる。新書版なので根拠等があまり詳しく書けないせいもあるのかもしれないが。あと、東アジア全体の視点が弱いような気がする。
    まあ、所詮「気がする」レベルでしか感想を書けないので批評にはならないのだが。しかし、最近受けたZOOM講座の「帰化人(渡来人)」関係もそうだし、古代史もいろいろな見方ができるということが改めてわかってきた。なかなか難しいが面白いところでもある。

  • 歴史上好きな人物は?と聞かれたら、藤原不比等、天武天皇、聖徳太子、千利休、と言うのだけど、それにしては蘇我一族のことはいつも気になるんですよね。
    利休なんかよりも定期的に蘇我一族の本の方が読みたくなるのです。

    この本は古代史好きな方のレビューを読んで興味を持ち、積読リストに入れていたものです。

    でも、全体的には巷で言われてる王道の意見そのままで、意外な主張はあまりなくちょっと肩透かしな感じでした。
    例えば、入鹿が上宮王家を滅ぼし自ら天皇になろうとしていた、とか、蝦夷は冠位を息子に与えた、これは明らかに天皇大権の侵害だ、とかね。こんな感じで専横が過ぎた為蘇我氏本宗家は皇族によって打倒された。ですって。さらっと事実のように書かれていてちょっと悲しかった(涙)
    そういう意味では前に読んだ遠山さんの「蘇我氏四代」の方が刺激的でした。

    とはいえ、もちろん勉強になったこともありました。

    例えば蘇我氏のルーツが葛城氏の分家っていうのは王道の意見だけど、その理由が分かりやすくて納得感がありました。
    →蘇我氏は父系でつながれた直系継承で、満智(マチ)-韓子(カラコ)-高麗(コマ)-稲目-馬子ー蝦夷ー入鹿まで続く。
    満智を百済の高官「木満至(モクマンチ)」と同一人物とみる説があるが、そうだとすると、その子が韓子、高麗と、敵国の名前になる説明がつかない、と言っていて、単純なことだけど随分納得感がありました。。
    こういう説明をしてくれた人が今までいなかったから、いつまでも蘇我氏は百済王家の末裔では?!という考えが完全には払拭できずにいたのよ。

    あとは、中臣鎌足が藤原姓を賜り、名負いの氏から律令官人として活躍しはじめたのと同じで、蘇我も石川に改姓することによって本宗家は滅亡したけれど傍系は官人として中央で活躍する場を得たのでは、というのには知っていたけど気が付かなかったので面白いなと思いました。ちょっと時代は遡るけど、物部、大伴など名負いの氏は結局は滅びていますからね。

    とにかく、蘇我氏の、律令国家成立までの古代国家の文明化に果たした役割は大きいのです!

    これからも、蘇我氏の謎、定期的に追って行こうと思います。。

  • 「滅びた」と言った方がおもしろくなりますからね。改名ということがありました。
    「ふじわらのかまたり」の「の」の意味もわかります。

著者プロフィール

吉村 武彦(よしむら たけひこ)
明治大学名誉教授。日本古代史。
〔主な著作〕『日本古代の社会と国家』(岩波書店、1996年)・『シリーズ日本古代史2 ヤマト王権』(岩波新書、2010年)・『大化改新を考える』(岩波新書、2018年)・『日本古代の政事と社会』(塙書房、2021年)

「2023年 『墨書土器と文字瓦 出土文字史料の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村武彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×