新・韓国現代史 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315773

作品紹介・あらすじ

日本の植民地支配から解放されて七〇年。分断、戦争、独裁、軍事政権、民主化運動、経済破綻…盧武鉉から李明博を経て朴槿恵政権へと移り変わる中で激しい変化をとげる韓国。いったいどこへ向かおうとしているのだろうか。日韓関係はどうなるのか。近年の動向を反映した、グローバル時代の新たな通史。

感想・レビュー・書評

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  • この間読んだ「沸点」(6月抗争を描いたマンガ)を読んだら、韓国の現代史についてもっと知りたくなったので、この本を読んだ。

    とても面白かった。韓国の現代史はほとんど全く知らなかったのだが、この本は非常に理解しやすかった。

    民主化運動は、民主化されても終わりではことがよく分かる。権力者は一度倒れても再び民衆の権利を奪い返す勢力がまた現れてくる。この本を読むと民主化というのは一気にやってお終い、ではないことがよく分かる。民主化というものは一気に進んではまた押し戻され、また進む、ということの繰り返し。

    ここで韓国の市民がすごいと思うのは、例えば野党が分裂して選挙に負けたとしても、次はそれを克服して新たに挑戦することを繰り返していることだ。「野党は情けない」という評価が固定して「結局やっても無駄」と冷笑に繋がって何もやらないというどこかの国の市民とは大違いだ。彼らはなぜこんなに粘り強いのか。

    一つの理由としては、韓国では権力者の市民の弾圧の仕方がすごくひどい、ということではあるだろう。そういう意味ではどこかの国はそこのところは非常にうまくやっている。水に入れたカエルを強火でゆでるとカエルはすぐに水が熱くなり自分が殺されてしまうことを自覚する。しかし、弱火で徐々にしか水温が上がらなかったらカエルはかなりお湯にならないと自分が殺されるとは思わないだろう。

    だが、カエルにも限度はある。おそらくこのまま行くと大半のカエルが「もしかしたら殺されるのでは?」と気が付くことになるだろう。しかしそれは一体何年後になるのか?早くからそれを気付いているカエルはそれを黙って見ているしかないのか?(むろん、黙って見ているわけではなく、一生懸命に周りにそれを伝えているのだが、気が付かないカエルは「まさかそんなことは起こり得ないだろう」と楽観視し、むしろ気が付いているカエルに対して「そんなことやっても無駄」と冷笑している。そしてもっと怖いことに、一部のカエルは「いいぞいいぞ、もっと熱くしろ!」と声を挙げている。。自分がいずれ殺されることに全く気が付いていないらしい)

    歴史は繰り返す。繰り返しながら前に進む。それはどの国の歴史を見ても同じだが、韓国の歴史の進み具合は本当に早い。展開がめまぐるしい。

    朝鮮半島問題に関しては、対話しか前に進む方法はないだろうと思う。対話はすぐに成果が現れないが積み重ねにより徐々に進んでいる。むしろ、保守政権下での圧力一辺倒、関係断絶ではまったく前に進まないことがこの本を読むとよく分かる。今現在、対話でようやくまた前に進み始めた。が、それが最終的にうまく行く道になるのかは今のところはまだよく分からないし、期待はもちろんしているが、途中で順調にいかなくなったとしても、そこで「やはり対話ではダメだ」という結論にはならないだろう。どこかの国はこの期に及んでまだ圧力が通用すると思っていて、この問題からは完全に「蚊帳の外」になってしまっているのは、どこかの国のカエルとしては非常に歯がゆい思いをしている。。

    あとはやはり経済問題。盧武鉉はこれができなかった(李明博、朴槿恵は北朝鮮問題は何も解決できなかったし、経済もうまくいかなかったので論外)。今の文大統領のこれからの問題は経済だろう。財閥関係や保守勢力の力を抑えてどうやって格差を縮めるか。

    これを機にもっと突っ込んだ韓国の政治や市民運動のことについて知りたいと思ったが、これについて日本語で書かれた本って少ないのがね、、まぁ朝鮮語についても勉強しなきゃダメってことだよね。。

  • 韓国の歴史がわかりやすくまとめられていて、とても勉強になった。正直なところ、どうして韓国と北朝鮮に分かれているのか、そんな基本的なこともよくわかっていませんでした。韓国と北朝鮮が別々に存在し続けることと、韓国と北朝鮮がひとつの国になること、韓国と北朝鮮の国民にとってはどちらが幸せなのでしょうか。

  •  旧版を読んだ時も思ったが、現代史というより「市民運動史」に近い(朴正煕射殺に1.5頁(しかもその項のタイトルは「光州事件」であり前座扱い)、「ソウルの春」に2.5頁、光州事件に5.5頁割いているのは象徴的)。また筆者の主張というか思い入れが強い。廬武鉉政権は「巨大保守言論の垂直的で一方的なコミュニケーションに対する水平的で自由なコミュニケーションの勝利」「(戦争や独裁を経た後の)ハッピーエンドに終わる物語のよう」である一方で、その後の李明博・朴槿恵政権は「息を潜めていた旧時代の亡霊たちを一挙に蘇らせてしまった」と、極端な対比である。いずれもその時々の市民の選択の結果なのに。朴槿恵政権末期の国民の離反はまた「ハッピーエンド」と言うのだろうか。尤も、崔順実ゲート自体は軍事独裁スタイルとは関係あるようには思えず、「旧時代の亡霊」とは言い難いが。
     新版では日韓関係の推移にスポットを置いたとのことである。確かに日韓関係は、一般の日本人が韓国現代史を見る上での重要な要素である。しかし筆者の論調では、中間派・穏健派の日本人の共感も得られにくいのではないか。
     と批判的に書いたが、同名の中公新書が政治史・政局史とすれば、こちらは「下から」「周縁から」の視点。両方から見ることで理解が深まるのは間違いない。また、韓国で左派と言われる人々の思考を知ることができる。さらに、民主主義が安定し全羅道差別・地域対立が薄まってきた現在の下にも、こういう歴史及び歴史認識が積み重なっていることを再認識するのにも有益である。光州事件の認識が今でも時折問題となることがあるように。

  • 2016年2月新着

  • 湖南が蔑視されたりする遠因に任那、百済があるなんて・・・。韓国も「ひとすじなわ」でくくることはできないのですね。

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