香港 中国と向き合う自由都市 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 75
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315780

作品紹介・あらすじ

二〇一四年秋、大都市中心部を市民が七九日間も占拠した香港の雨傘運動。一五五年の英国の植民地支配後、「高度の自治」を付与され中国に返還された「ノンポリ国際都市」が政治に目覚めたのか。アジア経済危機以降に強まる「中国化」への猛反発は、何を意味するのか。日本・香港の気鋭が歴史背景と現代文化から緻密に解読。

感想・レビュー・書評

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  • 掴み所のない場所である香港を、①「一国二制度」というシステムの解説、②イギリスの遺産、③中国化の影響という歴史・政治上の解説を日本人の著者が、その文化、雨傘運動の解説を香港人の著者が行っている。
    香港の民主や自由は、イギリスや中国、そして香港人自身の微妙なバランスによって現在のような形になったのであり、中国vs西洋民主主義という簡単な話でないということがよく分かった。この一冊でモヤモヤしていた部分がかなり整理され、 オススメの一冊。最後の、日本への忠告も的を射ていて、痛烈。

  •  前半は戦後の香港政治史、後半は社会文化を扱う。2014年の雨傘運動を受けて企画・出版されたのだろう、その現場ルポ的な内容に後半で1章割かれている。後半では、香港人=当事者である共著者の思い入れが強いかとも感じるが、それ故に面白くもある。「国際都市の香港」、「中国の香港」、香港人はどちらのストーリーも拒否する又はどちらも受容するという。
     現在の香港の「民主はないが(シンガポール以下!)、自由はある」状態は、英国統治下で政治と市民生活が乖離していた時からの特徴だという。現在の雨傘運動等は、70年代から生成されたという香港人意識とも相まって、その「自由」すら侵されていることへの抵抗、又は「自由」を確保するためには「民主」が必要だという運動だと理解していいだろうか。
     本書全体として、「中国化」とそれに抵抗する香港、という構図。副題もそういう意味だろう。十分理解できるも、『八九六四』を読んだ後だからか、後者を絶対的な善だと単純化してよいのかという微かな迷いもある。観光や移民での大陸からの人の流入は悪なのか。民主化支持層やオフィス街の金鐘での雨傘運動はエリートが多いというが、この点には逆説的ながら大陸との共通点を感じなくもない。

  • 香港を手っ取り早く知りたい人には良い本だと思います。「これぞ新書」という感じ。
    「ではない」でしか語れない国、香港。香港そして中国への興味が高まる今日この頃です。

  • 2016年2月新着

  • 準国家でもあり、中国の一地方でもあるという「一冊の難解な書」である香港を「自由都市」という視点で読み解く。
    前半の香港の政治を分析する倉田徹氏執筆分は、「避難所」として機能した香港の来歴、植民地統治下で政治権力が制約の多い存在だったことや、政治権力が市民社会から距離を置いておいたことといった香港の「自由」が生じた背景、「中国化」とのせめぎ合いなど、香港を理解するうえで興味深い内容が多かった。
    一方、後半の張彧暋氏執筆の香港の社会・文化論は文学的でもあり、正直、ちょっと自分には難しかった。香港が容易に「語ることができない」ということはよく感じることができた。

  • ニュースでしか届かなかった漠然とした情報が明確に知ることができた。香港の自由とはそもそもが放任の自由だったのですね。ある意味、弱肉強食でもあったわけでしょうし、排除され、犬死した人も多かったことでしょう。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=6873

  • 香港についての唯一まともで、現在を書いている本。観光に行く前に読むべき本。

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プロフィール

立教大学法学部政治学科准教授(現代香港政治)。
1975年生まれ。1998年東京大学教養学部卒業。2008年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。2003~2006年在香港日本国総領事館専門調査員、2006年~2008年日本学術振興会特別研究員、2008~2013年金沢大学人間社会学域国際学類准教授を経て2013年から現職。
【研究テーマ】
香港政治(返還後の香港の「一国二制度」の実施状況、民主化の動向を中心に)
【主要著書・論文】
『中国返還後の香港──「小さな冷戦」と一国二制度の展開』(名古屋大学出版会、2009年)=2010年度サントリー学芸賞、『国際学への扉──異文化との共生に向けて(改訂版)』(共編著、風行社、2012年)、『香港──中国と向き合う自由都市』 (共著、岩波新書、2015年)、『東アジアの政治社会と国際関係』(共著、放送大学教育振興会、2016年)

「2016年 『香港を知るための60章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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