分裂から天下統一へ シリーズ 日本中世史 4 (岩波新書 新赤版1582)

  • 岩波書店 (2016年7月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784004315827

みんなの感想まとめ

歴史の変遷を通じて、日本の政治や国際関係の複雑さを深く掘り下げた内容が特徴です。特に、戦国時代から江戸初期にかけての日本の立ち位置や国際情勢についての考察が豊富で、信長や秀吉の政策がどのように国内外に...

感想・レビュー・書評

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  • 社会科の教員なのに、たいして戦国と幕末に興味が薄いダメな奴でして、戦国時代の〇〇の戦いで××が活躍して、このときの戦術が… 的な本だったら(そうではないと信じていたが)閉じようと思っていたが、大丈夫だった。

    冒頭の応仁の乱以後の政治史の変遷は、高校日本史レベルの知識か登場する人物の関係表が必要な感じがして、すんなりと頭に入ってこなくて、やはり苦手…となってしまったが、そのあとは読みやすく。世界史の中の日本史を考える上での「後期倭寇」、信長や秀吉の世界戦略と中国観、朝鮮侵略についての章など、知っておきたい知識をしっかり得られた。

  • 変化する国際関係の中で、日本の政権の変化と立ち位置がよくわかった。中華、欧州に比べ日本はお家争いに終始しているように思える。
    1、秀吉は、信長の武力を引き継ぎ、「平和の調停者」として過去数百年に及ぶ家、領土争いに介入。それまでの争いはすべてこの調停のためにあったとも思えるぐらいだ。人民も戦乱に疲れていたのか、徳川のつくる平和によく従った。
    2、日本の自己認識の固定化。中華の内乱・王朝交代の混乱により本格的な日本への攻勢はなかった。中華からみると、日本はわざわざ武力で制圧する必要がなかった。中華と地理的に離れ、制圧する旨味がなかったための幸運なのだが、侵略されなかった事実が日本は特別な国だという自己認識にいたり、それは現代まで続いているように思える。
    3、足利も鎌倉も、ときの棟梁が、台頭する諸侯を排除する歴史とみれる。鎌倉は国内での権力争いに終始していた。足利時代には細川、大内は海外勢力と結びつき台頭した。徳川が外国勢力との結びつきを制限、自ら管理した理由がよくわかった。

  • 16世紀東アジアの国際情勢から見た戦国〜江戸時代初期を概観する。信長、秀吉、家康、家光に至る天下人の対外政策は教科書でもおなじみと言えるが、東シナ海貿易の主要プレイヤーとして琉球王国を外すことはできない。北ではコシャマインの戦いを経て松前藩がアイヌとの通商を担うことになる。文禄・慶長の役後、朝鮮は日本との関係を絶ったが、通行再開を望む幕府は対馬の宗氏に頼るほかなかった。
    鎖国というが、外交は長崎出島で幕府が独占していたわけではない。薩摩、松前、対馬の外交チャネルを通して世界の動きが日本に届いていたのである。

  • 秀吉の朝鮮出兵とヌルハチが明を倒して清を打ち立てたのは同じ方向性だという・・。海外との交流を取り込んだ日本中世史の完結編。

  • 山名宗全、細川勝元が死に応仁の乱は終わる。その後勝元の子政元は将軍義稙を追放。明応の政変という。これ以降将軍は細川三好ら大名の傀儡と化す。
    関東では北条早雲が足利茶々丸を追放。足利、上杉、北条の三つ巴抗争が始まる。
    これら畿内関東双方で画期となる事件が起きた明応二年を戦国時代の幕開けとする説もある。
    秀吉の朝鮮出兵は誇大妄想的に捉えられがちだが、そうでもない。その後辺境民族出身のヌルハチが明を制圧し清を立てることに成功しているからだ。
    その違いは朝鮮、明の文化や制度をうまく利用できたかどうかである。秀吉は国内の国分けを大規模にしただけであり戦略が不足していた。

  • 戦国時代から江戸幕府の創設までを通史で書く。ポイントを的確に抑えた良書。
    朝鮮出兵がバランスよく書いてあることに感心した。
    国際関係との連動もわかりやすい。

  • 日本中世史を通して勉強しようと思って読みました。

  • シリーズ日本中世史の最終巻で室町から江戸初期までの統一過程を扱う。前の3巻と違い、朝鮮出兵の影響等にページを費やしていることから分かるように国際的な視点がかなり盛り込まれている。平安、鎌倉、南北朝は繋がっている印象が強かったが、社会が異なるフェーズに移ったように感じた。

  • 20170913読了

  • 戦国時代をアジアという視点からみる一書。鉄砲、キリスト教、銀、といった要素から戦国時代を位置づけるのは非常に面白かった。戦国時代というとどうしても戦国大名同士が天下統一のために戦うというドラマでイメージされがちだけど、そうではないという視点が印象的である。

  • 何気に読んだ本が、今年最高の歴史の本でした
    考え方の一部に、相容れないものこそありますが
    室町時代を俯瞰して、貴重な視点を提示してくれました

  • 戦国時代から織豊政権、江戸時代へと天下が統一される過程が叙述される。視点がアジアの中の日本になっている点がオモシロイ。
    秀吉の朝鮮出兵って、やっぱりとんでもないことだったんだと教えられる。これによって破壊されたアジアの秩序がいかに回復され、新しい枠組みが誕生したのかをみる。

  • <目次>
    第1章  戦国~自立する地域
    第2章  銀と鉄砲とキリスト教
    第3章  天下統一から世界制覇へ
    第4章  十六世紀末の「大東亜戦争」
    第5章  江戸開府と国際関係の再建

    <内容>
    岩波新書の日本中世史の最終巻。戦国~安土桃山~江戸開府期までが描かれるが、世界史的視点が中心。朝鮮侵略を16世紀末の「大東亜戦争」と見たり、秀吉とヌルハチの動きを同じように見る辺りが、私には新鮮でした(近年は当たり前なのかもしれませんが…)。銀の算出が世界に与えた影響は甚大で、その動きを加速させたのが、朝鮮伝来の「灰吹法」だったのは、授業でももっと強調すべきことなのかしれません。江戸時代の前半の流れも世界史的な眼が中心で、「鎖国」というよりも、中央集権国家の「統制経済(貿易)」(ただし長崎のみ。他の3つの窓は管理している藩の状況からして、必然)だったという言い方に納得できました。

  • 戦国時代、安土桃山時代、江戸時代初期という日本史の中でもよく知られた時代が対象だが、戦国大名間の戦の勝敗や覇権争いは最小限しか触れず、蝦夷や琉球といった日本の辺境であり外国との境界域での動きや、朝鮮・中国・ポルトガルといった当時の日本にとっての外国との関係に注目し、時の権力者・為政者の世界観といったものに迫っている点で、ユニークかつ大変面白かった。

  • 元来なじみ深かったこともあるだろうが、統治、軍事、産業、貿易をめぐって、ぐいぐいと引き込まれた。特に天草、島原の乱を通して、キリスト教の威力を感じ、海禁(鎖国)に踏み切り、宗門人別改が実施されたことは、宗教の力を甘く見てはいけないと学んだ。このことは一向一揆にも感じる。

  • シリーズ日本中世史の最終巻であり、岩波の日本史シリーズの掉尾を飾る一冊。村井先生らしく中世から近世へと向かうこの時代を世界史の中に位置付けるという方向性が全面に押し出された1冊となっている。蝦夷地や琉球への言及も豊富なのはもちろん、秀吉の朝鮮出兵にもかなりの紙幅が割かれていて、日本史ではどちらかというと秀吉の誇大妄想として簡単に片付けられてしまう戦争を東アジア国際秩序再編成の大きな契機として描かれる。

    「以上のように、鉄砲伝来や朝鮮侵略といった「日本史上のエポック」は、世界史的な文脈における巨大な変動の一部として捉えることで、はじめて全体像が見えてくる。その結果として生み出された江戸時代=近世は、アジアにもヨーロッパにも似姿を見いだすことができない独特の軍事国家でありつつ、「武威」で裏打ちされた平和を永く維持し、近代化への準備を整えていった。その近世をくつがえした明治維新が巨大な変革であったことはいうまでもないが、それ以降の欧米をゆるぎない規範とする近代化や、「天壌無窮の神国」をふりかざして欧米に対抗しようとした天皇制・軍国主義が、近世からの連続としてあらわれたことも事実である。」(219-220)

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著者プロフィール

1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。
同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。
専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。
おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。

「2021年 『東アジアのなかの日本文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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