分裂から天下統一へ〈シリーズ日本中世史 4〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315827

作品紹介・あらすじ

大名どうしの争いが続く「分裂」の時代は、信長、秀吉、家康ら「天下人」の登場とともに「統一」へと転じた。その流れのなかで生じた、銀の増産、鉄砲伝来、そして朝鮮侵略という「日本史上のエポック」は、どれも世界史的な文脈においてこそ、その本質をとらえうる。大きな枠組みから「日本」を問い直す、いま必読の一書。

感想・レビュー・書評

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  • 変化する国際関係の中で、日本の政権の変化と立ち位置がよくわかった。中華、欧州に比べ日本はお家争いに終始しているように思える。
    1、秀吉は、信長の武力を引き継ぎ、「平和の調停者」として過去数百年に及ぶ家、領土争いに介入。それまでの争いはすべてこの調停のためにあったとも思えるぐらいだ。人民も戦乱に疲れていたのか、徳川のつくる平和によく従った。
    2、日本の自己認識の固定化。中華の内乱・王朝交代の混乱により本格的な日本への攻勢はなかった。中華からみると、日本はわざわざ武力で制圧する必要がなかった。中華と地理的に離れ、制圧する旨味がなかったための幸運なのだが、侵略されなかった事実が日本は特別な国だという自己認識にいたり、それは現代まで続いているように思える。
    3、足利も鎌倉も、ときの棟梁が、台頭する諸侯を排除する歴史とみれる。鎌倉は国内での権力争いに終始していた。足利時代には細川、大内は海外勢力と結びつき台頭した。徳川が外国勢力との結びつきを制限、自ら管理した理由がよくわかった。

  • 山名宗全、細川勝元が死に応仁の乱は終わる。その後勝元の子政元は将軍義稙を追放。明応の政変という。これ以降将軍は細川三好ら大名の傀儡と化す。
    関東では北条早雲が足利茶々丸を追放。足利、上杉、北条の三つ巴抗争が始まる。
    これら畿内関東双方で画期となる事件が起きた明応二年を戦国時代の幕開けとする説もある。
    秀吉の朝鮮出兵は誇大妄想的に捉えられがちだが、そうでもない。その後辺境民族出身のヌルハチが明を制圧し清を立てることに成功しているからだ。
    その違いは朝鮮、明の文化や制度をうまく利用できたかどうかである。秀吉は国内の国分けを大規模にしただけであり戦略が不足していた。

  • 国際関係との絡みを軸に、織豊期〜江戸時代を振り返っている。なかでも江戸時代の「4つの口」は、単なる鎖国社会ではなかった、外への門戸を、限定的ではあったが、意味する言葉として印象的。

  • 戦国時代から江戸幕府の創設までを通史で書く。ポイントを的確に抑えた良書。
    朝鮮出兵がバランスよく書いてあることに感心した。
    国際関係との連動もわかりやすい。

  • 日本中世史を通して勉強しようと思って読みました。

  • シリーズ日本中世史の最終巻で室町から江戸初期までの統一過程を扱う。前の3巻と違い、朝鮮出兵の影響等にページを費やしていることから分かるように国際的な視点がかなり盛り込まれている。平安、鎌倉、南北朝は繋がっている印象が強かったが、社会が異なるフェーズに移ったように感じた。

  • 20170913読了

  • 戦国時代をアジアという視点からみる一書。鉄砲、キリスト教、銀、といった要素から戦国時代を位置づけるのは非常に面白かった。戦国時代というとどうしても戦国大名同士が天下統一のために戦うというドラマでイメージされがちだけど、そうではないという視点が印象的である。

  • 何気に読んだ本が、今年最高の歴史の本でした
    考え方の一部に、相容れないものこそありますが
    室町時代を俯瞰して、貴重な視点を提示してくれました

  • 戦国時代から織豊政権、江戸時代へと天下が統一される過程が叙述される。視点がアジアの中の日本になっている点がオモシロイ。
    秀吉の朝鮮出兵って、やっぱりとんでもないことだったんだと教えられる。これによって破壊されたアジアの秩序がいかに回復され、新しい枠組みが誕生したのかをみる。

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著者プロフィール

1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。
同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。
専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。
おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。

「2021年 『東アジアのなかの日本文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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