「法の支配」とは何か――行政法入門 (岩波新書)

著者 : 大浜啓吉
  • 岩波書店 (2016年2月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315896

作品紹介

「法の支配」の語は近年、総理大臣をはじめ多くの人に使われるようになったが、正しく理解されてはいない。「法の支配」は、明治憲法の「法治国家」に代えて日本国憲法が採用した統治原理である。法律の九割を占める行政法を素材に法治国家との相違を明確にし、歴史と理論の両面から国家と社会のあり方について考察を加える。

「法の支配」とは何か――行政法入門 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 明治憲法は臣民に憲法遵守義務を課したが、日本国憲法にはない。99条に国民はない。

    日本の法律の大半は行政法。憲法は変わっても行政法は変わらない=オットー・マイヤー。本来は、法の支配の元の行政法に変わるべき。

    国民内閣制説=無制限の解散権と内閣不信任決議を認める=直接民主制に近づこうとする。しかし、むしろ墓穴を掘っているのでは?

    法の支配では、司法裁判所に格別な役割がある=違憲立法審査権。

    多数支配型と合意形成型。

    人民による統治、が民主制の本質。

  • 「法の支配」は、明治憲法の「法治国家」に代えて日本国憲法が採用した統治原理。

    //////////////////

    法治国家論の「法」は為政の道具にすぎないので、議会が制定した法律という形式が重要であり、その内容が問われることはない。「行政権は立法権があらかじめ定めた「法律」に従え」ということ。
    ①法律制定の対象が「自由と財産」に限定され、
    ②制定された法律の内容の適性を問われず、
    ③執行家庭での行政処分の違法性は司法裁判所ではなく行政裁判所によって統制する仕組みをとる。(行政の司法からの独立の法理)

    法の支配は、国民主権が前提。法の支配の「法」は人権保障を目的とし、為政者を拘束するためのものなので、その内容が重要な意味を持つ。
    ダイシーの提示した古典的な「法の支配」の観念は、
    ①憲法原則としての「法」の内容が<市民的自由の保障>の実質をもち、
    ②行政が<市民的自由の保障>を侵す違法行為をした場合には、司法裁判所がこれを統制する役割を担う。

    ////////////////////
    ドイツ帝国(立憲君主制)時代に行政法の父と呼ばれたオットー・マイヤー

    ///////////////////
    「法の支配」の原理の下では、国家と社会におけるそれぞれの法律関係は、「意思自治原則」の下に整理できる。すなわち、意思自治原則の社会(あるいは私法)における発現形態が「私的自治=契約自由の原則」であり、国家(あるいは行政法)における発現形態が「法律に基づく行政の原理」である。
    「法律に基づく行政の原理」は、
    ①国民主権の国家を前提にすること
    ②個人の尊厳を最高価値として承認すること
    ③行政権を法執行機関として把握すること
    の点で伝統的通説のいう「法律による行政の原理*」とは基本的性格が異なる。

    /* 法律による行政の原理 by.オットー・マイヤー
    ①法律の法規創造力
    ②法律の優位
    ③法律の留保 */

    「法律に基づく行政の原理」は次の4つの内容をもつ。
    ①「授権執行の原則」 行政権は個別の法律の授権があって初めて法律を執行できるという意味。
    ②「適法処分の原則」 行政庁の行為は、実体法レベルで法律に適合したものでなければならない。この原則は、行政の執行過程において、実体法上の適法・違法を判断する基準となる。
    ③「手続的デュー・プロセスの原則(法理)」 行政庁が国民の意思たる法律を執行する任にあたる場合、執行を受ける当事者は、当該処分が真に法律要件に合致するものか確認する権利を有する。行政庁は、主権者の意思たる法律をここの主権者である私人に投げ返すのだから、当該私人には、たえず法律の執行過程の適法性を確認し、検証する手立て(手続的権利)が与えられる必要がある、ということ。
    ④「裁判的救済の原則」 法の支配の原理は、裁判的救済を不可欠の要素とし、裁判所に対して「個人の尊厳と自由」の保障機関であることを命じる。現代立憲主義の下では、あらゆる法的紛争は司法審査の対象となる。とりわけ、行政の執行過程における実体的瑕疵および手続的瑕疵によって私人の権利利益が侵害された場合には、裁判上の救済が図られなければならない。憲法32条が「裁判を受ける権利」を保障したことの意味がここにある。

  • 本書は、日本国憲法下のわが国において、行政法はいかにあるべきかという点から、議論を構成しています。明治憲法時代のわが国は法治国家であったのに対し、日本国憲法時代では法の支配であることから、明治憲法からの伝統的行政法理論が日本国憲法下でも通用していることに疑問を投げかけています。

    折々に、法治国家や法の支配とはいかなるものかが記述されるので、少しくどいのですが、逆にそれらの概念がいかなるものかについては、よく理解することができました(本書は雑誌の連載を再構成したものだからでしょう)。

    ただ、個人的に受けた印象としては、法治国家時代からの「法律による行政の原理」と、筆者のいう法の支配の時代における「法律に基づく行政の原理」との間に、どれだけの差異があり、区別する実際的な実益がどの程度あるのかがいまいちつかめませんでした。結局、行政処分をするのであれば、どちらの原理の下でも、法律又はこれに基づく政令や、条例に基づかなければならないことは明らかだと思うので、あまり区別の実得はないのかなと思ってしまいます。

    とはいえ、国家の成り立ちや行政法が生まれてきた歴史、法治国家と法の支配の違いをしっかりと勉強できる本なので、良書だと思います。

  • 最初は基礎的な行政法入門だったのに、後半から政治学の話(デュヴェルジェとかレイプハルトとか)が入ってきたので残念。政治の話ついてはやや、認識が誤っているような気がする。

  • 大学の基礎演習で使用 
    書評が結構書きづらかった 
    解説の詳しさにムラがあるのと根拠の弱い部分があったが
    全体的に丁寧に書かれていたように思う

    ”憲法や国家の変化とともに行政法も変わるべき”
    ”選挙において最も重視されるべきは党利党略ではなく、憲法原理としての「法の支配」の規範的要請に応えること”

  • 「国家の社会への介入は、社会に存在する病理現象を治癒するために何がしかの財政措置をともないながら一定の公共政策を実現する形で行われるもの」。

    行政職として【依るべき思考・哲学は何なのか】、【得るべき知識は何なのか】、【起こすべき行動は何なのか】、この三つの自問は事あるごとに繰り返したいところ。

  • 321||Oh

  • 社会の上に国家がある・・・ということで、すっきりわかりやすくなった。
    現在の安倍政権はおかしい・・と、まったく違う角度から攻めているのがおもしろい。

  • 国家と社会のあり方について
    【配架場所】 図・3F文庫新書 岩波新書 新赤版 No.1589 

    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=175345

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