ルポ 母子避難――消されゆく原発事故被害者 (岩波新書)

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315919

感想・レビュー・書評

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  • 原発に限らず震災の避難民は多かれ少なかれこのような苦労を強いられているのだろう。実態を全く知らない身として初めて聞く話が多かった。想像にも及ばない苦労の連続で当事者ではないけれど政府と自治体の対応に心底腹が立つ。
    こういったニーズに合わせての継続的な支援が必要だけど、あまり情報が届かないのが問題だ。インターネットは最早発達しすぎて自分に関わる情報ばかり提供される。けれどそんな狭い世界の情報ばかりではどんどん無知になる。トランプとヒラリーの大統領選の時にその問題は顕著になったが、まだ人々に認識はされていないのだろう。

  • 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故で被曝による子どもの甲状腺がんが増えたが、日本でも今同じようなことが起きていることをご存知だろうか。放射能汚染された食品や水道水からも内部被曝するので、当初いわき市は学校給食に北海道産の米を使っていたが、2014年12月から学校給食に福島県産の米を使っている。また福島県内の年間被曝許容量は原発事故前の20倍に引き上げられた。それらを恐ろしいと感じるのは私だけじゃないはずだ。さらに2017年3月末には自主避難者への借上住宅の無償提供がなくなり、県外へ避難している人々は帰還を促されている。除染されても事故前よりもまだ放射能濃度が高いところは沢山あるし、除染すらされていないところもある。仕事がある夫や年老いた両親を地元に残し、子どもを守るために母子避難した人たち。震災から5年以上経ち、離婚した人もいれば、精神を病んでしまった人もいる。家賃助成を切られてしまったら、彼女たちはさらに生きづらくなる。母子避難者の悲痛な叫びを聞き、読みながら涙が止まらなかった。

  • memo

    P114
    腐り順。
    復興庁>>厚労省>>福島県

    P131
    2013.10月
    復興庁
    自主避難者の地域を限定
    浜通り、中通りの33市町村。

    P134
    汚染状況重点調査地域
    宮城、岩手、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の
    2012.2月 104市町村
    2016.1月 99市町村が指定されたまま。

    P137
    自主避難者数は、原発事故の被害の実態を明確に表すもの。しかし政府や自治体は積極的に詳細な人数を調査しようとせず、不正確とわかりながら放置。あるいは福島県のように、調査しても公表しない。

    P170
    横山さん意見陳述書。涙。一部。
    『誰か教えて
     お母さん、夢に出てきて教えてよ

     「心配しなくていいよ。福島で、デーンとかまえて子育てしなさい。」と言ってほしい。

     「そんなことない。少しでも遠くへ避難したほうが良い」と誰かが言っている。

    30年後の私に聞きたい。
    子どもたちは元気ですか。
    元気な、私達の孫は、生まれてきてくれましたか。』

  • 自主避難は、大げさな人たちと言わんばかりの政策。多様な価値観をどこまで税金でカバーするのかを問われている。

  • リスクの評価は当事者の価値観により決まるんだ、が実感できる本。けっこう厳しい。

  •  『原発棄民』の日野行介氏とも連携しつつ、〈自主避難〉の母親たちに心を寄せつづけた筆者によるルポルタージュ。この国の政府がいかに巧妙かつ狡猾に、自分たちの引いたレールとは違う道を歩み出した人たちの首を真綿で絞めようとしてきたか/しているかが浮き彫りになっている。
     この国の一部の人たちは、まるで沈みかけの舟にしがみつくかのように、国や政治家の言うこと以外は信じないと心に決めているようだ。〈自主避難〉者へのやっかみとしか思えない誹謗中傷を繰り返す〈心ない人々〉も多くいる。「少子化」が国家的な問題とされるのに、〈安心〉を最優先させた親子を守ろうともしない。この国の政府も、その政府を信じる人々も、自分たちの信念を揺さぶる言動や行動をする人間は〈非国民〉として排除することを厭わない。

     読んでいて、ほんとうに心が痛むルポルタージュである。いまは「県外に出て行った人も県内に戻りつつある」といけしゃあしゃあと書く開沼博氏は、このルポをいったいどう読むのだろうか?

  • 369.36||Ya

  • うっかり忘れてしまいそうな人々。
    行政はとにかく、県境や期限やもろもろの「線引き」で「おしまい」にしたがる。
    こぼれる人がたくさんいることに配慮は行き届かない。
    原発事故を起こしてしまったという罪悪感が政府にも電力会社にもないことが根源かな。

  • 声を上げなければ存在も許されない。
    空気を読むのは得意なのに、本当に気づかなかんものは見ざる言わざる聞かざるなんだね。

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著者プロフィール

吉田千亜(よしだ・ちあ)出版社勤務を経て、フリーライター。原発事故後、原発事故被害者・避難者の取材を続けている。著書に『ルポ母子避難』(岩波新書、2016年)、共著に『原発避難白書』(人文書院、2015年)がある。

「2018年 『その後の福島 原発事故後を生きる人々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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