学びとは何か――〈探究人〉になるために (岩波新書)

著者 : 今井むつみ
  • 岩波書店 (2016年3月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315964

作品紹介・あらすじ

「学び」とはあくなき探究のプロセスだ。たんなる知識の習得や積み重ねでなく、すでにある知識からまったく新しい知識を生み出す。その発見と創造こそ本質なのだ。本書は認知科学の視点から、生きた知識の学びについて考える。古い知識観-知識のドネルケバブ・モデル-から脱却するための一冊。

学びとは何か――〈探究人〉になるために (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は、「学びの探求人」であろうとするときに役に立つ材料として、人の記憶や思考の仕方、心と脳の中での知識のあり方、新しい知識の獲得の仕方などについて、認知科学で明らかにされてきたことを伝え、そこから「よい学び」を考えていくためのヒントを提供することを目的としている。本書では、「学び」とは、たんなる知識の習得や積み重ね(知識のドネルケバブ・モデル)でなく、すでにある知識からまったく新しい知識を生み出すあくなき探究のプロセスであり、発見と創造こそがその本質であると主張される。
    本書におけるキー概念の一つである「スキーマ」という概念が特に勉強になった。「スキーマ」とは、行間を補うために使う常識的な知識のことであり、子どもの母国語の習得の過程でも重要な役割を果たしているという。学びを通してある分野で熟達していく上で、誤った知識を修正し、それとともにスキーマを修正していくことが重要であるという指摘は心に留めておくべきことだと感じた。
    子どもの母国語の習得の過程の解説も非常に興味深かった。生まれたときには乳児は自分の母国語になるはずの言語はもちろん、それ以外のすべての言語で使われるすべての音素の違いを識別できる能力を持っているといった事実は驚きだった。ただ、どの子どもも自然と母国語を習得できる(一方で大人になってから外国語を習得するのが困難になる)メカニズムが十分に理解できたとはいえないので、さらに詳しく知りたいと思った。

  • 筆者は「覚えた事実の量」で知識があると思ってはいけないと説く。つまり本当に大事なのは「生きた知識」でなければならないのだ。ではどうすれば獲得できるかといえば「自分で発見する」ことが大事だそうだ。
    私たちは自分が観察したり経験を自分なりにつじつまがあうように理解したいという強い欲求を持っている。その結果「スキーマ」という経験則のようなものが産まれる。スキーマは直感的につくり上げた「思い込み理論」というべきものである。人は、このスキーマによって判断を間違えることがある。つまり起こる現象を色眼鏡で見てしまうのだ。だから、自分が持っているスキーマを常に点検する必要があると著者は力説している。
    思い込みの強い人にはオススメだ。

  • 登録数やレビュー数が多いので、こちらにびっくり。
    まだまだ「学ぶ」に日本人は関心が強い。
    読みやすかったし、若い著者でもあるので「バレエ」とか「ダンサー」とかも出てきて、ちょっとうれしい。

  • 個人的に良書。英語教育を例にとって説明しているくだりは学びの本質をついていてとても分かり易い。多くの事を知ることも重要だが、一つの事を突き詰めていくことも新たな学びをつくる。才能も学びが作る、新たな考え方を吹き込んでくれる1冊。

  • まさに同じ、「学びとは何か」について日々悶々としていた所で、本書にドキドキさせてもらった。
    時間がないという人は、第6章以降でいいので読むといいと思う。
    きっと同じ問いを抱えている人には、何かが整理されて見えるはずだから。

    私が抱えていた問いは、学校教育における学びの揺れだった。
    考えること、と、覚えることのズレ。
    たくさん量をこなし、問題を解き、身に付けば点数になるじゃん、という考え方への違和感だった。

    第6章では、論理的思考力・批判的思考力ということばから始まる。

    事実を覚えることが知識であるという思い込み。
    そこで、事実として切り取り可能な断片を頭の中にどんどん貼り付けてゆく。
    そのことを本書では「ドネルケバブ・モデル」と呼んでいる。

    そうではなく、知識とは可変的システムである。
    そうでなければ、「使える」ようにならない。
    そこには暗記をする上でも意味合いや精査、解釈の方を重要視する。

    「批判的思考とはつまり、前項で述べた科学的思考と基本的に同じで、ある仮説、理論、あるいは言説を、証拠にもとづいて論理的に積み重ねて構築していく思考のしかたのことを言う。」

    「豊富で精緻な知識を持っていれば直観の精度は上がり、「ひらめき」になる。知識がないところで直観に頼れば、「あてずっぽう」になってしまう。」

    探究心を育てるためには粘り強さも必要だと述べる。これも、非常に納得させられた。

    「学校は「知識を覚える場」ではなく、知識を使う練習をし、探究する場となるべきた。知識を使う練習とは、持っている知識を様々な分野でどんどん使い、それによって、新しい知識を自分で発見し、得ていくということである。それこそがアクティヴ・ラーニングの本質である。」

    そこには子どもだけでなく、大人の姿勢、そして大人がどう子どもに教材を提供し、調理させるかが重要だということも忘れてはならない。

    また、もう一つ。
    「大事なことは、一人で考えることをおろそかにしないことだ。」
    もちろん、グループワークへの批判ではない。
    タイトルには「人と一緒に、人を頼らずに」とある。

    この一冊は、私がずっともやもやしていた、どっち付かずの問いに、明瞭な道を示してくれたものだった。きっと、何度も触れることになるだろう。
    心から感謝したい。

  • 認知科学の視点から見る学び。
    まず著者は知識には大きく五つの種類があるとし、それらについての特徴や違いについて言及する。自分の身につけたい知識はどのような知識なのかをまじ見極めることが大事なのだと感じた。
    断片的な知識でなく、知識システムを作り、それを常に本当に正しいものなのか問いかけ修正していく。主体的に学ぶ。

    何度も読み直したい

  • 実用的でもあり、科学と教育、仕事術などのいいとこ取り。

  • 幼児教育を生業とするものにとって、子どもが母国語を学習する過程や知識を、とくに「生きた知識」を身に付けるということがすごくわかりやすく、興味深かった。

    また、最終章では「遊び」で学ぶことの大切さが書かれていて、保育をしてきた人達にとっては、自分だちは間違ってなかったと再確認できる内容だ。

    自分はカタカナが苦手だが、「シェマ」「スキーマ」「エピステモロジー」を自分の「生きた知識」にしたい。

    この先生のお話聞いてみたいな。

  • 目次:はじめに、誰にでもできる研究、第1章 記憶と知識、第2章 知識のシステムを創る、第3章 乗り越えなければならない壁、第4章 学びを極める、第5章 熟達による脳の変化、第6章 「生きた知識」を生む知識観…他

  • 2017/6/5

    141.33||イ (4階哲学)

    「学びの達人(探究人)」として紹介されている日本ラグビーに奇跡をもたらした監督 エディー・ジョーンズさんの「人間は、楽な方にすすみがちで変化することは難しいので、日々の生き方・考え方を変え、ほんの3~5%の小さな意識の変化を生むことが、大きな違いを生む。」との言葉が印象的でした。

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