ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)

著者 : 今野晴貴
  • 岩波書店 (2016年4月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316022

ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2016年刊行。著者は一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。なお、ブラック企業対策P共同代表。

     業界で大手と目される企業は、実は労働面でブラックであるにもかかわらず、それを知らずにアルバイト雇用された大学生が被った複数の問題事例を、本書は詳述・呈示している。

     ここで挙げられる業態自体は大学生バイトとしては典型であり、ここで注目すべきは、ブラックに食い物にされた理由に関し、当該学生の責任感の強さが逆に仇となった悪循環である。

     さて、ここで提示される問題点と、開陳される対応策の中身はさほど新味はないが、納得できるものである。
     もちろん、その実践は手間がかかる。
     一方で、一般の人たちが、そこまでする必要はないはずだと呟くほど危機意識が欠如した現実の中、彼らに対応策の実践を求めるのは容易な業ではない。
     しかし、本書に挙げられるような方法論、中でも携帯電子機器を活用した証拠確保の有益性は特に強調したい。

     他方、やや逆説的ではあるが、より一層強調したい点は、ブラック企業の手先に見える店長が、実は名ばかり管理職だったり、過重労働、低賃金・サービス残業ほか、ブラック企業の正社員としての被害者である可能性が高いことだ。
     被害者が、自分の被害や損害、負担を軽減させるべく、第三者に対する勧誘やその他の行為によって、別の被害者を作り出し、結果、自らは加害者と化してしまう。マルチ商法とかねずみ講を想起できる問題が伏在しているのだ。
     勿論、真に悪いのは誰かは、容易に着想できるはず。

  • 2016年4月刊?もっと早くてもよさそうな内容!

  • ぼくの新刊の『西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークシリーズ第12巻』が8月に出版されました。この本を書く時に参考にしたのが今野さんの『ブラックバイト』なんです。この1冊で、ブラックバイトのひどさというのが本当によく分かりました。

    ブラックバイトの場合、学生であっても、勉強する時間とか、家族や友人と過ごす時間、就職活動なんかを全部無視して、「仕事のスケジュールに合わせろ、働き続けろ」っていうめちゃくちゃなシフトを押し付けられるんです。それで学校を留年したり、就職活動できなかったりして、うつ病になって死んでいる子がいっぱいいるの。それぐらいいまは、仕事をするなら何もかも全身全霊ささげろっていう感じなんだよね。普通のアルバイトでさえこの状況なんだからひどいね。

    そしてアルバイトが辞めそうになったら、こう言って脅すんです。「お前が辞めると、この店は経営が立ちゆかなくなる。俺がクビになったら、お前を訴えて、何千万っていう保証金を賠償させるからな」っていうようなウソを言うわけです。

    親は何にも知らないので、最初は「まあ、バイトぐらいちゃんと勤めたほうがいいし、頑張りなさいよ」って応援するんですけど、そのうち「あれ?うちの子、前期試験なんにも受けてない。何があったの?」って気になり始めます。そこで子どもがブラックバイトとしてめちゃくちゃな働き方をしている事実が判明していくんです。そんなところがいくらでもある。だから、これは気をつけなきゃいけないですね。

    (公式メルマガ「ブックトーク」30号より一部抜粋)

  • 「ブラック企業」みたいな言葉が定着して、アルバイト定員によるSNSでの悪ふざけも問題になっている。一部の企業と一部の人間の行動で真面目に生きている人がバカを見る。

  • 以前夕方の情報番組で目にした“ブラックバイト”という文字。
    興味があったが予想を上回る劣悪な環境に驚きを隠せなかった。
    負の連鎖をどこかで断ち切らないとこの国は本当に沈んでいってしまうと感じた。
    いち消費者として考えたお金の使い方をして、意思を示したいと思う。

  • 学生のアルバイトの意味を考え直すことができる!(byワッサン)
    (866485/366.8/Ko/大学図書館)

  • マルクス経済学において、搾取はありだ。資本家と労働者との関係において、合理的だからだ。

    新自由主義の成果なのだろう。日本においても貧富の差がはっきりわかるようになってきた。富めるものが利益を上げるには労働者を決まった料金で使い倒すしかない。
    バイトや非正規労働者を使い倒すことで、資本家が儲かる。

    19世紀のヨーロッパに先祖返りしたような内容だった。

  • 学生が戦力になっているということなのだろうが、ブラックバイトで学生が自殺しようとするようなことは困る。

  • 2016年6月新着

  • <目次>
    第1章  学生が危ない~ブラックバイトの実態
    第2章  ブラックバイトの特徴
    第3章  雇う側の論理、働く側の意識
    第4章  どうすればいいの?~対策マニュアル
    第5章  労働社会の地殻変動

    <内容>
    「ブラック企業」を指摘し、キーワード化して一躍注目させ、政府をも動かした「POSSE」の今野さんの本。今度が、バイト!中村淳彦さんの女性の貧困の本の中でも垣間見えた「ブラックバイト」。その実態から対策まで、詳細に書かれている。しかし読みやすく、2、3時間あれば読み通せる。この本のすごいのは、対策が具体的で、それもたやすく対応できることだ。ただ、予防策について考えると、われわれ教員の事前指導が大事だと感じた(今野さんも書いているが…)。高校の「現代社会」の中で、「産業社会と人間」(これは総合学科のみだが…)や「総合的学習」の中で、「労働法規」や「社会の実態」をもっと伝えていかないといけない。教科書にはそんなことは一言も書かれてなく(政府側は企業側の論理で動いているから…)、教師の勉強に委ねられていることが怖い…。
    社会状況の変化もあるが、もともとの日本の労働慣行が根っこにありそうで、「終身雇用」「年功序列」「一括採用」などの流れ(形はなくなりつつあるが)が、こうした「ブラック」な企業や就労慣行を呼んでいるのではないか?

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