風土記の世界 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316046

感想・レビュー・書評

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  • 風土記=「日本書」地理志の構想が頓挫したもの、という観点からの概説。「日本書紀」はあくまでも、中国にならった正史「日本書」のうち「紀」に当たる部分として構想されたというのが筆者の考えである。

    常陸国風土記にみるヤマトタケル伝承や出雲国風土記にみる日本海文化圏の痕跡など、興味深い内容が展開されており、行間からここまで読み取れることに感嘆した。であるからこそ、五風土記しか残存しないのが本当に残念という読後感も残る。

  • いつもの三浦節。読みやすく分かりやすい。

    ただ、口語訳古事記が衝撃的だったので、読後の驚きはそれにはかなわない。勿論、新書という制約はあるのだろうけど。

    風土記が一部しか残ってないのは悲しい。多くは、完成せず、中央に報告されてないという事は考えられないのだろうか。全くの素人考えではあるのだが。

    ともかく、残されたものの全文を読んでないのでぜひ読みたい。

    やはり、日本書紀より古事記や万葉、風土記に親しみを感じてしまう。

  • 2023/11/5 読了

  • 風土記を再読するために、本書も再読。
    曖昧な点もありますが、著者の視点は見所ありですね。
    日本書紀を日本書+(紀)とするのは、妥当な考えかただとおもいますね。この考えかたをベースに風土記や記紀万葉を読んでいくと納得点多いですね。
    著者が『古事記』前文偽書説を当書ではありませんが、興味深いところです。
    私は、現存『古事記』自体『日本書紀』よりずっと後世の改作だと思いますがね。
    現存の風土記と逸文をさらっと解説されているので次につながる1書だとお薦めできます。

  • 神話の宝庫なんだな

  • 読んでいて、最近読んだ「精霊の守り人」を思い出した。
    征服者が作る歴史。
    その幕の後ろにちらりと見える違った景色を丹念に解いていく道筋に感嘆した。
    飄々とした文章もいい。

    (余談)
    これは夫の蔵書で、「三浦しをんさんのお父さんの本だよ!面白いよ!」と勧められ、じゃあ貸して、と言ったものの夫の本棚から抜き出さないまま数ヶ月。
    読みたくなかったわけでは決してなく、急ぎで読む本が山積みだったからなのだけど、別の本を夫が買って来て、面白そうだからそのうち読みたいと言ったところ、「貸します。これも一緒に」とセットで今作も私の手元に(同じ家の中でも夫の本棚にあれば借りていなくて、私の手元にあったら借りている、だから早く読まねばという気持ちになる)。
    どうしても読んで欲しかったらしい…お待たせしました!面白かったよありがとう!

  • この当時から、中央と地方にはある種の明確な差があったのかと思うと面白い。

    記紀の間でヤマトタケルについて比べている本はいくつかあったけど、そういえば、風土記にもかの英雄は出ているのだと思わされた。

  • 公式史と異なるが続日本記に出てくる朝廷からの指示で編纂された書物から日本社会の実態を探る。常陸国風土記に出てくる「倭(ヤマト)武(タケル)天皇」は平安のうちに国を巡り歩いた!神功皇后も天皇として登場する。記紀との大きな違い。記紀と併せ、今まで知ることの少なかった8世紀初めの日本の姿を知る貴重な史料で、日本の古代の知らない姿が浮き彫りになる。常陸・出雲・播磨・豊後・肥前の5風土記の特徴も分りやすい。古事記と出雲風土記にあり、書紀にはあまり登場しない出雲神話の謎。カミムスミがちょっと間抜けな大男として出てくる播磨風土記。浦島伝説は500年頃から800年頃へ跳んだ浦島子!として書紀に登場するらしいが、風土記への記載がないのは残念!失われた他の風土記が惜しい!

  • <目次>
    はじめに
    第1章  歴史書としての風土記
    第2章  現存風土記を概観する
    第3章  常陸国風土記~もう一つの歴史と伝承の宝庫
    第4章  出雲国風土記~神の国ともう一つの文化圏
    第5章  語り継がれる伝承~播磨国風土記と豊後国・肥前
         国風土記
    まとめにかえて

    <内容>
    勉強不足だったが、当初の朝廷の目論見が『日本書紀』が『日本書』「紀」だったとは。そして『風土記』は『日本書』「志」にあたるとは…。確かに中国の歴史書を踏まえて作ったいるなら、それで該当することになる。そしてその目論見は何らかの理由でうまくいかず、『風土記』は独立した地誌となった。
    また「出雲国風土記」の性格についての考察も面白かった(やや難しかったが…)。撰録者が出雲国造(何となく知っていたが)なのだが、もう国司の時代に出雲だけが「国造」が残っていて、しかもそれは元意宇(おう)氏だった。出雲の東側を支配し、神栖神社を祀ってきた。出雲西側の神門氏は朝廷に抑えられ、意宇氏が出雲を支配し、「出雲臣」となった(出雲国造)。その流れで考えると、「出雲国風土記」が純粋な「国つ神」の神話というよりも、朝廷におもねった「出雲氏(意宇氏)」の取捨選択によるものだという指摘が斬新だった。

  • 2016年6月新着

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著者プロフィール

千葉大学名誉教授。1946 年、三重県生まれ。『古事記』を中心に古代文学・伝承文学に新たな読解の可能性をさぐり続けている。共立女子短期大学・千葉大学・立正大学等の教員を歴任し、2017年3月定年退職。著書に『浦島太郎の文学史』『神話と歴史叙述』『口語訳古事記』(第1回角川財団学芸賞受賞)『古事記を読みなおす』(第1回古代歴史文化みやざき賞受賞)『古代研究』『風土記の世界』『コジオタ(古事記学者)ノート』など多数。研究を兼ねた趣味は祭祀見学や遺跡めぐり。当社より『NHK「100分de名著」ブックス 古事記』を2014年8月に刊行。

「2022年 『こころをよむ 『古事記』神話から読む古代人の心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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