新しい幸福論 (岩波新書)

著者 : 橘木俊詔
  • 岩波書店 (2016年5月21日発売)
3.14
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  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316053

作品紹介

ますます深刻化する格差社会。このなかで、どのようにしたら、より幸せに生きられるのか。格差研究の第一人者が、社会のさまざまな制度の問題点を指摘しつつ、経済学のみならず、哲学、社会学、心理学などから考える。経済的な豊かさに留意し、心豊かな人生をおくるには-個々人と社会のあり方を提言。

新しい幸福論 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 橘木氏の幸福論ということで期待値が上がっていたのかもしれない。ここまでペラッペラの内容で225ページも書いたのはさすがと言えるが、データの分析が浅く、専門的見識からの鋭い提案も皆無で本書から得られるものは何もない。しかし岩波新書もよくこの内容で出版する気になったね。その勇気を誉めてあげたい。

    新しい幸福論の骨子は『日本は成熟国家になったのだから、ホドホドに頑張ってゼロ成長を目指そう』というありふれた発想なのだが、どうしたらそのようなことができるのか?Winner takes allの国際競争社会で、ホドホドに勝つなんてことはまず不可能だ。勝ち組はどんどん豊かになっていくが、負け組はどん底まで落ちるのである。中間層なんてあり得ない。世界中で格差が拡大しているのが良い証拠ではないか。労働人口が急激に減少していく中で成長率=0%を維持しようとしたら、とてもじゃないが『ホドホドに頑張って』なんてことにはならない。それこそ死に物狂いで生産性を高めるか、労働時間を増やすしかない。

    そう言う難しい選択を目指そうというのなら、それなりに理論武装して根拠を示すのが研究者の役割なのに、第5章で提言されている政策は、①若年層の職業訓練、②社会保険料増額や消費増税による高齢者福祉の充実(労働人口からの所得移転)、③女性の社会進出支援、④首都機能の地方移転の4点である。正直誰でも思いつきそうな政策ばかりだが、どれも実現は一筋縄でいかない難しい課題である。この程度のことなら高校生でも言える。

    挙句の果てには、他人と比較しないだとか、必要最小限の消費でつつましく暮らせだとか、ボランティアに精を出せとか、宗教にすがれとか、とても研究者の言とは思えない。

    こんなプアーな内容が著者の研究業績の集大成というのだから恐れ入る。これまで複数の著作に触れて格差社会是正に触発されてきただけに、今回ばかりは本当に失望した。

  • 橘木さんがこんなゆるふわな本を書くなんて残念、、
    説得のためなのだろうとはいえ、真実に対する誠実さを失って欲しくなかった。。

  • ■書名

    書名:新しい幸福論
    著者:橘木 俊詔

    ■概要

    ますます深刻化する格差社会。このなかで、どのようにしたら、より幸せに
    生きられるのか。格差研究の第一人者が、社会のさまざまな制度の問題点を
    指摘しつつ、経済学のみならず、哲学、社会学、心理学などから考える。
    経済的な豊かさに留意し、心豊かな人生をおくるには―個々人と社会のあり方を提言。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■気になった点

    なし

  • 相対的貧困=国民所得の中位者の所得の50%に満たない者をいう。

    国民の目標の多様化が背景にある。

    再配分機能が弱い。今までは所得の不平等度が低かった。

    新自由主義、市場原理主義では資源配分はパレード最適になるが配分を最適にするとは言っていない。

    連合が労働者の代表=正規労働者の既得権益を守ることになる。

    野心と嫉妬心が行動の源泉。
    平等性と効率性のトレードオフ。

    ケインズの弟子 ハロッドドーマー理論=貯蓄率と資本係数によって成長が決まるという理論。

    格差拡大は経済成長にとってマイナス。
    無理に経済成長させると格差が拡大=脱成長戦略を。

    有限の世界で幾何級数的に成長すると考えるのは狂人または経済学者である。

  • ますます深刻化する経済格差。なぜ日本では格差がなくならないのか? 税制度の問題点などを分析し、経済学が抱えている課題も明らかにする。


    第1章 ますます深刻化する格差社会
    第2章 格差を是正することは可能か
    第3章 脱成長経済への道
    第4章 心豊かで幸せな生活とは
    第5章 いま、何をすべきか
    おわりに―私が思うこと

  • 他人の優位を気にしないことだな。

  • 361.8||Ta

  • 経済学に基づき、幸福について長らく支配的であった物質的な観点からの脱却を論じたもの。経済学の議論に全く触れたことがなかった私にとっては、現代日本が抱える病理を経済学的な知見から分析している前半部分は勉強になった。だが、『新しい幸福論』と題しているにもかかわらず、その結論として提示されるのが家族を中心とした「社会づくり」(p.ii)というのは、いささか残念である。もっとも、この家族についても批判を免れ得ないだろう。というの、著者が考える家族像は、LGBTの権利尊重が叫ばれる現代にあって、なおも男女間を基礎にしたモデルとなっているからである。また、個人像についても同様である。現代社会の一つの病理として、共同体から遊離した個人が過剰な負荷を負うようになり、最早近代社会において理想とされた〈強い個人〉は成立しないのである。加えて、これが最も重要だと思われるが、経済学的な議論を踏まえているにもかかわらず、提示されるオルタナティヴがやはり具体性に欠けており、制度論まで落とし込めていない。「新書だから」というのもあるだろうが、この点には不満が残る。以上より、著者の考えは新しくないというべきである。

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