新しい幸福論 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316053

作品紹介・あらすじ

ますます深刻化する格差社会。このなかで、どのようにしたら、より幸せに生きられるのか。格差研究の第一人者が、社会のさまざまな制度の問題点を指摘しつつ、経済学のみならず、哲学、社会学、心理学などから考える。経済的な豊かさに留意し、心豊かな人生をおくるには-個々人と社会のあり方を提言。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、著者の本を読んだときに、この本が紹介されていて興味をもったので読んでみた。論調はかなり私が支持するところに近い。だけど、以前読んだこの著者の本でも感じたのだが、何だか妙に冷めた感じがする。大いにうなずけることが書いてあるのだが、そこに熱意が感じられないとでもいおうか。データを示しながら論を展開しているでそれなりに説得力があるかのように感じられるのだが、サラサラッと書いた感じで魂込めて論をぶってる感じがしないのが残念。
    OECD諸国の所得格差(ジニ係数、2000年ごろに観測、p.55)を見ると、アメリカは大きく0.379、日本は0.329で韓国0.315より所得格差が高い。ちなみにデンマーク0.248、ノルウェー0.250などが、格差が低い国。韓国ドラマとか見ていると貧富の差が大きそうに思うけど、韓国より日本のほうが高いという驚き。再分配前所得の不平等度ではOECD平均並みのところ、弱い再分配効果した保持していないからこうなる。
    日本は一億総中流などといわれた時代があったが、それはつくられたものだったということか。特に最近は聞かない政府の横暴にいいようにされている感があるが、それでも国民の支持率は高い。何てふしぎな国だろう。

  •  日本では、少子高齢化が急速に進行中でありながら、格差の問題も深刻化している。この中に、どのようにしたら、より幸せに生きられるのかは本書の核心である。

     筆者はまず日本の格差社会化と、その是正が進まず、ますます深刻化している格差社会の現状とそうになっていた理由を分析する。そして、今の日本経済を評価したうえで、「日本経済はこのままなら、負の成長率にならざるを得ない宿命になる」を予測し、脱成長路線を提唱するとともに、経済成長は格差を縮小せず、逆に格差を引き上げるとしている。その以上を前提をとし、心豊かな生活は何かとその生活のためにどうすればいいのかを述べる。最後のおわりにで、筆者は幸せな生活を送るために、どのような心掛けを持ちながら生活すればよいのかを書いている。

     本書の前半は、いろんな経済理論や専門用語を用いて、わかりにくいと思ったが、図表なども利用され、他国との比較を行ったから、結論としてはわかりやすいと思う。そして残る部分は結構分かりやすいと思う。それから、この本には「食べるために働くべきが、それが全てではない」、「人は生まれながらにして他人との比較をする習性を持った動物である」という言葉がある。初めて読んだとき、目から鱗が落ちた感じだった。自分が何のために働くのか、自分が幸せじゃないと思った原因がわかった。その他、「家族とともに」、「何かひとつ打ち込めることを」などの私に共感させる言葉も綴っている。

     そういうような言葉、本の中に結構ある。今の社会に、お金持ちと貧しい人がどんどん増え、幸せではないをと思いながら、幸せを求めることに精一杯だった人がだんだん増えている。しかし、幸せの意味を間違え、無駄な努力をし、幸せを求める道に迷った人もいる。本書はそのような人に役に立つかも知れない。そして、私のような幸せを追求し始めったばかりの人たちもアドバイスがもらえると思う。

  • 橘木氏の幸福論ということで期待値が上がっていたのかもしれない。ここまでペラッペラの内容で225ページも書いたのはさすがと言えるが、データの分析が浅く、専門的見識からの鋭い提案も皆無で本書から得られるものは何もない。しかし岩波新書もよくこの内容で出版する気になったね。その勇気を誉めてあげたい。

    新しい幸福論の骨子は『日本は成熟国家になったのだから、ホドホドに頑張ってゼロ成長を目指そう』というありふれた発想なのだが、どうしたらそのようなことができるのか?Winner takes allの国際競争社会で、ホドホドに勝つなんてことはまず不可能だ。勝ち組はどんどん豊かになっていくが、負け組はどん底まで落ちるのである。中間層なんてあり得ない。世界中で格差が拡大しているのが良い証拠ではないか。労働人口が急激に減少していく中で成長率=0%を維持しようとしたら、とてもじゃないが『ホドホドに頑張って』なんてことにはならない。それこそ死に物狂いで生産性を高めるか、労働時間を増やすしかない。

    そう言う難しい選択を目指そうというのなら、それなりに理論武装して根拠を示すのが研究者の役割なのに、第5章で提言されている政策は、①若年層の職業訓練、②社会保険料増額や消費増税による高齢者福祉の充実(労働人口からの所得移転)、③女性の社会進出支援、④首都機能の地方移転の4点である。正直誰でも思いつきそうな政策ばかりだが、どれも実現は一筋縄でいかない難しい課題である。この程度のことなら高校生でも言える。

    挙句の果てには、他人と比較しないだとか、必要最小限の消費でつつましく暮らせだとか、ボランティアに精を出せとか、宗教にすがれとか、とても研究者の言とは思えない。

    こんなプアーな内容が著者の研究業績の集大成というのだから恐れ入る。これまで複数の著作に触れて格差社会是正に触発されてきただけに、今回ばかりは本当に失望した。

  • 橘木さんがこんなゆるふわな本を書くなんて残念、、
    説得のためなのだろうとはいえ、真実に対する誠実さを失って欲しくなかった。。

  • ■書名

    書名:新しい幸福論
    著者:橘木 俊詔

    ■概要

    ますます深刻化する格差社会。このなかで、どのようにしたら、より幸せに
    生きられるのか。格差研究の第一人者が、社会のさまざまな制度の問題点を
    指摘しつつ、経済学のみならず、哲学、社会学、心理学などから考える。
    経済的な豊かさに留意し、心豊かな人生をおくるには―個々人と社会のあり方を提言。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■気になった点

    なし

  • 相対的貧困=国民所得の中位者の所得の50%に満たない者をいう。

    国民の目標の多様化が背景にある。

    再配分機能が弱い。今までは所得の不平等度が低かった。

    新自由主義、市場原理主義では資源配分はパレード最適になるが配分を最適にするとは言っていない。

    連合が労働者の代表=正規労働者の既得権益を守ることになる。

    野心と嫉妬心が行動の源泉。
    平等性と効率性のトレードオフ。

    ケインズの弟子 ハロッドドーマー理論=貯蓄率と資本係数によって成長が決まるという理論。

    格差拡大は経済成長にとってマイナス。
    無理に経済成長させると格差が拡大=脱成長戦略を。

    有限の世界で幾何級数的に成長すると考えるのは狂人または経済学者である。

  • ますます深刻化する経済格差。なぜ日本では格差がなくならないのか? 税制度の問題点などを分析し、経済学が抱えている課題も明らかにする。


    第1章 ますます深刻化する格差社会
    第2章 格差を是正することは可能か
    第3章 脱成長経済への道
    第4章 心豊かで幸せな生活とは
    第5章 いま、何をすべきか
    おわりに―私が思うこと

  • 他人の優位を気にしないことだな。

  • 361.8||Ta

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プロフィール

橘木俊詔(たちばなき・としあき)1943年兵庫県生まれ。小樽商科大学卒業。大阪大学大学院修士課程修了。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学教授,同志社大学教授などを経て,現在京都女子大学客員教授,京都大学名誉教授。専門は労働経済学,公共経済学。元日本経済学会会長。著書:『21世紀日本の格差』(岩波書店,2016年),『日本人と経済』(東洋経済,2015年),『「幸せ」の経済学』(岩波現代全書,2013年),『女性と学歴』(勁草書房,2011年),『日本の教育格差』(岩波新書,2010年),『女女格差』(東洋経済新報社,2008年),『格差社会 何が問題なのか』(岩波新書,2006年),『日本の経済格差』(岩波新書,1998年)など多数。

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