新しい学力 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316282

作品紹介・あらすじ

二〇二〇年に予定されている学習指導要領の大改訂。"新しい学力観"に沿った教育現場の改革はすでに始まっている。教科の再編、アクティブ・ラーニングの導入、評価基準の変化-。大きな変化の中で、本当に求められる"真の学力"とは何だろうか?教師も親も学生も必読、"人"を育てる教育への、熱意あふれる提言の書!

感想・レビュー・書評

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  • 新学習指導要領では、文科省の望む理想の子供像は、まさにスーパー子供。
    従来の教科に加えて、英語ができて、主体的に学び、課題を発見して解決でき、プレゼンができて、プログラミングもできる・・・。
    特に小学校の先生でこれら全てを教えることのできる人、何人いるのかなと、疑問に思うし、先生もパニックじゃないかなと思っている。
    それが、この本を読むと、ざわついていた心が少し落ち着いたように思う。
    やはり、昔ながらの知識の習得は絶対的に必要だし、読み書きソロバン的な基礎学力が大事。とりわけ齊藤さんが色んな本で薦めておられる素読。私自身も十代までに繰り返し覚えたものはなかなか忘れないように思う。もっと覚えておけば良かったと後悔しているくらいである。
    これは暗記容量の増設にも役立つし、型を覚える、真似ることは、どんなことを拾得するにも必要なことなので、是非とも子供にやらせたいと常日頃から思っているが、何故か子供は親のやらせようという気配を察するのか断固拒否。
    古典ではなくポケモンの日々から、どうしたら、上手く子供が関心をもって齊藤さんの提唱する学びをしてくれるのか教えて欲しいなと思う。

  • これまでの伝統的な知識記憶型教育が悪かった訳ではない。
    それに偏らず、それを基礎土台として、問題解決型教育も取り入れていくことが必要。

    2017.12

  • 読みやすい文章でした。「アクティブラーニング」や「主体的・対話的で深い学び」って元々小中では特にやってるのになあと思っていたらもっともっと以前からやったいたことに改めて気づかされました。

  • 学習指導要領を【ソフト】学校・教師を【ハード】だと考えると、
    いくらソフトが良くても、ハードの能力が低かったら、ソフトの良さが活きない。
    今、親と生徒、学校・教師との信頼関係はあるのか。

    親の過剰な要求や、また生徒への暴力や卑猥な行動をする教師の多発、イジメや生徒の自殺の学校対応など。
    正直、学力を伸ばすとか、問題解決能力とか、それ以前の問題を抱える教育現場が増えている。
    現実的に問題解決力能力を有する子を育てる時間とコスト、
    そして教師自身の能力は、果たして国や学校、教師、最後に親にあるのか。

    現状、最高学府である日本の大学生の学習時間は、世界的に極めて低い。
    国立教育政策研究所の2016年の調査報告「大学生の学習実態に関する調査研究」によると、
    日本の大学生の7割の学習時間(週単位 授業以外の学習時間)は、
    週に5時間ほど、1日1時間以下である。NHKが12年に行った調査では、1日39分です。
    この学習時間の中には、もちろん読書も含まれています。

    齋藤氏も指摘しているように、読書は、「新しい学力」が示す問題解決型の学力にとっても、
    基礎となる知的な活動です。ベースに知識がなくては、ディスカッションは、
    単なる語るだけのおしゃべりになってしまいます。少なくとも、
    学習指導要領の改訂の結果として、学習時間の増加につながらないといけません。

    学習時間が全てというわけではないですが、どのみち「何かを学んで生きていく」ことが、前提です。
    重要な指標であることは、間違いありません。
    果たして、増加するのでしょうか?

    また、ソニー生命が中高生1000名に対し「中高生が思い描く将来についての意識調査」を実施した結果
    「日本の10年後の将来のイメージ」の調査で、「明るい」と答えた中学生は39%、高校生は31%。
    かなり衝撃的な結果です。中高生という、多感かつ感受性が強い時期に、
    高校生の場合は7割が、未来に対して悲観的な見方をしています。

    学習指導要領を改訂すると、これが改善されるのでしょうか?

    今、日本社会は、人口減少社会(消費減少)、超高齢化社会(社会保障負担)、
    労働者減少(生産年齢人口が毎年1%以上減少する)する状態になっています。
    以前の経済社会システムが維持できなくなっています。政府も大学も、
    あまり言いませんが、日本の世帯所得は、この20年で20%以上減少しています。
    また、小学校の1クラスに数人の貧困状態の子供がいます。

    まとめると、今の日本社会は、勉強する意欲がほとんどない者が溢れ、
    なおかつ希望もなく、どんどん貧しくなっている人が増加しています。

    学習指導要領を、かなり変更しても、おそらくは、
    日本の大きな問題を解決することにはならないでしょう。
    日本の教育システム自体が、もう既に死に体です。
    中高生の7割が、未来に希望が持てないという国は、先進国でも、日本だけです。
    既に終わっていると思った方がいいでしょう。

    日本の教育システムが、もう終了なのは、誰の目にも、明らかです。
    今の教育システムを、根本から見直すべきだと思います。
    文部科学省は、「教育」に関する多くの部分を、民間や三者機関へ任すべきだと思います。
    といっても絶対にやりませんが。
    官僚や大学教授、各識者(なぜか経営者も含まれる)が作った学習指導要領など、
    正直今必要とされていません。ゆとり教育で、もう十分に証明されたと思います。

    大事なことは、一言でいうと、「学校に期待しない」ことです。
    学校が何か教えてくれるとか、能力を伸ばしてくれるとか、
    助けてくれるとか、思わないことが、一番のアクティブラーニングになります。

    これから、日本社会は、ますます自己責任社会になります。
    その社会とは、「今のあなたの現状は、全てあなたが、招いたもの」という社会です。そ
    ういう社会にあたって、最高のアクティブラーニングは、
    何かに依存することや期待することなしに、自分で人生のゴールを設定して、
    自分で、自ら能力を開発していこうという意気込みです。

  • 2020年に予定されている学習指導要領の改訂。アクティブラーニングの実施や小学校授業への英語教育の導入など、これまでの「知識重視型教育」を見直す動きがある。背景にはグローバル化やAI普及に伴う単純労働の減少などが考えられる。今後は多くの知識を習得することよりも、「生きる力」を養うための課題解決型人材の育成に主眼を置く。
    この大きな改革の流れに、著者は一石を投じている。と言っても、改革の方向性を否定するものではない。これまでの知識重視型教育を否定することに「待った」をかけている。
    その理由は何か。それは、科挙制度の影響を受けたと思われる東アジア諸国がOECDの問題解決能力調査で上位を占めていることに答えがある。この結果が示すように、知識の習得は課題解決に一役買っている。膨大の情報を根気よく丹念に頭に入れていく作業は、集中力や根気を養う。決して否定されるべき教育方法ではないというわけだ。ただ、社会が複雑化し、予測困難となった今、従来の教育に加え、主体性や協調性を養う教育も行なっていくことの必要性を著者は述べている。
    こうした著者の考えに、私は賛成の立場である。まずは地に足をつけて勉学に励むことが必要であり、その根幹となる姿勢を忘れ、プレゼンやディスカッションに注力することは、課題解決を行える人材の育成には繋がらないのではないか。「ゆとり教育」の失敗の再来の予感さえある。同様の失敗を避けるためにも、教育改革のビジョンを抽象的なものに終始せず、具体的な目標を子どもやその保護者、そして教育に携わる者と共有しなければならない。2020年という目標年があるとすれば、残された時間はそう多くない。
    なお、著者は教育改革の課題として、①教員の質の確保、②客観的評価の難しさ、③学習の質の向上を挙げているが、この課題に対する答えは提示されていない。まだ議論の半ばなのかも知れないが、著者なりの考えは知りたかった。

  • 新学習指導要領で示される学びの方法「主体的で対話的な深い学び」に対する考え方。
    「知情意・体」を最後の章で強調する。学びの深さは何で規定されるのか?学び方以外の要因は何か?学ぶ主体の知情意・体を高めることのメリットを説く。

  • 久しぶりに斎藤孝さんの本を読んでみた。アクティブ・ラーニングの概説書程度のものを予想していたが、意外や意外、古いタイプの学力形成と新しいタイプの学力形成の統合を図るという試みについて、幅広く深く論じられていた。3時間くらいで読めたが、とても面白かった。斎藤さんの身体論を少し詳しく読めたのでよかった。エジソンが博覧強記だったというのは、とても示唆的なことだと思った。また、だが、福沢諭吉も漢文を繰り返し読んだ経験があるという。繰り返し読むことの重要性を実感するこのごろだ。

  • アクティブラーニングのことや、これから国が学力をどういう方向に持っていきたいかを書いてある。
    従来の講義型の授業とアクティブラーニングを取り入れた方法とそれぞれの良し悪しがよくわかった。両方を上手に使い分けることが必要なんだということも。
    また、日本人の学力が低くはないというとも知ることができて良かった。

  • 新しい学力には、古典的な基礎学力が必要との事。まさにその通り。

  • リベラルアーツはやはり必須か。暗記学習が良いとは思えないが、生き抜く知恵と知識はできる限り貪欲に得なければと読んで思った。

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