裁判の非情と人情 (岩波新書)

著者 : 原田國男
  • 岩波書店 (2017年2月22日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316466

作品紹介

裁かれるのも「人」なら、裁くのも「人」のはず。しかし、私たちにとって裁判と裁判官は、いまだ遠い存在だ。有罪率99%といわれる日本の刑事裁判で、二〇件以上の無罪判決を言い渡した元東京高裁判事が、思わず笑いを誘う法廷での一コマから、裁判員制度、冤罪、死刑にいたるまで、その知られざる仕事と胸のうちを綴る。

裁判の非情と人情 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 法律を扱う仕事をしているのに、法律や裁判にどこか苦手意識を抱いている。
    試しに「裁判」の2文字を頭に浮かべると、イメージとして広がるのは、冷たいコンクリート色したグレーの世界。
    もちろん、公平さを期するために感情を排した慎重なシステムであるべきなのはその通りだし、よくわかるのだけど。
    でも、私が好きなのは、例えば新聞だったら家庭面に「ひととき」などの名前がつけられ掲載されている、誰かが綴った生活の小さなひとコマや喜怒哀楽の話なのだ。

    本書は、長年の間、刑事事件の裁判官を務めていた著者による、裁判や裁判所、裁判官の仕事についてのエッセイ集。
    エッセイといったって、そこは裁判官。
    難しい、厳しいお話が多いのかな? と覚悟しつつページをめくると、予想はくつがえされる。
    なんせ、本書の中の本人の言葉を借りれば、著者は「いらいらするほど、緩いキャラ」。
    裁判官が自分のことを「緩いキャラ」ってふつう言わないでしょ! と突っ込みたくなるが、他にも随所に答えのない悩みに右往左往したり、ユーモラスな仕掛けをしてことの成り行きを見守る著者がいて、とにかく全体的にとても人間くさいのである。

    例えば「裁判の記録」という言葉の意味をインターネットでひくと、「民事訴訟法上、一定の訴訟事件に関する一切の書類を綴り込んだ帳簿」などと表示される。
    これだけだと、正直なんのこっちゃ、である。
    でも、本書の中に登場するのは、持ち帰った記録を無くさないように寝るときは枕元に風呂敷に包んで置いておいたり、列車の網棚に置いていたものを間違って持ち去られそうになりハラハラしたりする著書の姿である。
    このくだりを読んで以来、「記録」という言葉は、私の中でコンクリート色ではなくなった。
    苦手なのではなく、ただ単に、知らないことに気が重くなっていただけだったのである。

    裁判官も、被告人も、私と同じ困ったり怒ったり喜んだりする人間である。
    裁判という、非情な世界を舞台にしているからこそ、そのことが際立つ1冊である。

  • テレビや新聞のニュースでしか知り得ない事件の
    裁判をする人たちのことは、そうなのかと知らないことばかり
    未知の世界と言っていいのか
    ちょっとドラマで見た感じともリンクしているのか
    とにかく、興味深く、驚いたり安心したり
    読んで楽しかった?というか良かったなと思った

  • どうせ裁かれるなら、こういう裁判官に裁かれたい。そんな気持ちにさせてくれるエッセイです。
    裁判官は世間知らずというけれど、逆に人間味があり過ぎるような気もします。裁判官の懊悩も垣間見れて、裁判官の魅力が分かる一冊です。

    #読書 #読書記録 #読書倶楽部
    #裁判の非情と人情
    #原田國男
    #2017年28冊目
    #裁判官 #弁護士

  • ★2017年度日本エッセイストクラブ賞

    配置場所:2F新書書架
    請求記号:327||H 32
    資料ID:C0038075

  • 参考になるところも多い。裁判官はみなさんこんな感じなのかなぁ。違うんだろうなぁ。

  • 元刑事裁判官のコラムである。軽いタッチの気軽な読み物で、想定と異なるもので残念。

  • うーん。硬いなあ。流石元裁判官な感じでした。

  • 裁判官を退官された著者がその仕事人生をエッセイで振り返られています。裁判官としての自分はこんな人なんですよということが紹介されていて面白く読ませていただきました。また他の裁判官のことについても少し話されていて、この仕事に就く人の日常といったものを知ることができます。仕事とプライベート、新人時代のことなど、今まで特殊な世界だと思っていたところが色々と分かって「へえー」と気楽に楽しめる内容になっています。
    裁判官の主とした仕事である判決を出すということについては、現状の問題点含めて考えさせられます。こんなこと考えながら苦労されていたのだなということが分かって、裁判に対する気持ち的な理解を持つことができたとも思います。

  • 長年、刑事裁判に携わった元裁判官が、岩波書店の「世界」に連載した「裁判官の余白録」を纏めたもの。
    逆転無罪判決を多く書いたリベラルな名裁判長だったようだが、内容にそれほどの過激さはない。
    元裁判官の著書を読むと、よく、裁判所組織の中での出世と、良心に基づく判決の両者の間で揺れ動くエリート裁判官心理が感じられる。著者は、裁判所組織の中ではどちらかというと冷飯を喰わされた側なのだろうか。

  • 元・判事、現在、客員教授の方の雑誌定期掲載記事のまとめ本。執筆時点で72歳(2017年明け前後)なので、戦中生まれだが戦中派ではない、という世代。
    中身は、"堅苦しい"ものではないが、"砕けたもの"でもなく。裁判傍聴記の類の書籍とは、筆者の立場も責任も違うので比較するまでも無く、その点では全般に"堅い"。
    筆者自身も"ガチガチの堅物"ではなさそうだが、はやり堅実なお人柄が全体に色濃く出ている。
    筆者的には"柔らかく"を意識されているようだが。
    さすがに旧仮名遣いなどは無いが、やはり年齢層等の文章で、良く言えば落ち着いている。悪く言えば、まあ当たり前なのだけれど堅くて眠くなる面も少なくない。
    "判事"と言われて、その人物像のステレオイメージが沸くか?、と聞かれれば"さあ??"というのが本音だった(正直、余り関心が無かった)ので、筆者を含めてその知人・関係者達の記載には面白い部分もあったか。

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