系外惑星と太陽系 (岩波新書)

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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316480

感想・レビュー・書評

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  • >なぜ、それまでの半世紀もの間、系外惑星を発見できなかったのか?
    >最大の理由は、中心星のそばに巨大な惑星が回っているなど、だれも想像していなかったからである。

    1995年から始まった系外惑星発見ラッシュは、2009年のケプラー宇宙望遠鏡運用開始を経て、2016年現在、3500個以上、ほぼ確実な候補天体を含めて6000個もの惑星を発見するに至っている。

    ここ10年以上宇宙関連のニュースを見て来て、ホットジュピターの衝撃、エクセントリックジュピター、スーパーアースと次々にニュースになり、昨今はハビタブル惑星が見つかった見つかったと怒涛の情報量に目が回る思いでいる。
    そのあまりに急速な現在の系外惑星研究について、改めて整理して分かりやすく教えてくれる、良書。

    現在進行形で変化しているジャンルの話なので、
    とにかく「まだ分からないが」「かもしれない」「現在活発に議論されている」が連発される。
    ほんとうに移り変わっている最中ということが良くわかりとてもエキサイティング。
    5年後・10年後にまた話を聞いたらさぞかし面白いだろう。
    リアルタイムでホットジュピターSF「老ヴォールの惑星(2005年/小川一水)」とかM型恒星系ETSF「沈黙のフライバイ(2007年/野尻抱介)」とか読めたのは大変幸福な事でした。


    ポイントとしては、
    ○惑星系は、たいへんな多様性がある。
     20年前には太陽系は必然性のある構造であると思われていたし、自分もそう教わってきた。
     が、ホットジュピターの発見からこっち、太陽系がどうやって出来たのかという美しくも説得力にあふれていた惑星形成の標準理論は、完全に崩れてしまった。
    なんだったら、ジャイアントインパクトで月が形成されたかどうかも怪しくなってきた。
     これは当時の識者たちが無能だったのではなく、サンプル数1の状況で多様性を予測する難しさの典型であったということ。
     岩石惑星もガス惑星も系内をあっちこっち移動するのが普通であるかもしれない。

    ○現在の観測限界では太陽系タイプの惑星系を見つけることはできないので(ギリで木星が引っかかるくらい)、太陽系が良くあるパターンなのかまだ分からない。
     たぶんハビタブルゾーンに岩石惑星がある確率は1~2割くらい。以前の予想よりめちゃくちゃ高い。

    ○太陽系しか知らなかった我々が「私の視点」で議論していたところに系外惑星という「天空の視点」が導入されたことで、新たな議論が可能になった。特にハビタブル惑星の研究はさらに面白くなってきた。
    ハビタブル条件は絶賛拡大中。現状見つかっているハビタブル惑星はM型恒星系の惑星なので、地球とは似つかない異界であろう。

    ○ハビタブル衛星とか、ハビタブル銀河域とか。

    ○2020年代に完成予定の超大型望遠鏡(TMTやE-ELT)でハビタブルゾーン惑星の分光観測が出来るようになりそう。

  • ★2017年4月21日読了『系外惑星と太陽系』井田茂著 評価B+

    結論から言えば、人類は宇宙唯一の生命である可能性は低く、数え切れないほどの生命の可能性が高いということ。
    最先端の系外惑星研究を素人にも分かりやすく解説してくれている本書の出来は非常に良いと感じた。

    系外惑星とは、太陽系以外の惑星のこと。
    この本のテーマ 
    ①太陽以外の恒星に、太陽系と同じような惑星系が存在するのか?
    ②その惑星系にはどの程度の確率、個数で生命が存在する可能性があるのか?

    近年の長足の測定機器類の進歩により、太陽系外の恒星、銀河系だけでも数千億の惑星系が存在。その10-20%に生命が生息している可能性のあるいわゆるハビタブル惑星である可能性が高まってきた。

    また、太陽系の形成がどのような経緯をたどって、それぞれの惑星が形成されてきたのかも現在の学説を丁寧に説明している。
    さらに、地球での生命進化の歴史も駆け足でたどってくれる。

    冥王代(45億~38億年前)に生命は誕生。6-7億年前のカンブリア大爆発と呼ばれるタイミングで生命の大幅な進化の記録がある。
    太陽型星のハビタブル惑星の炭素循環が重要で、海と陸、マントルでの炭素循環は、プレートテクトニクス、火山噴火、温室効果などを通じて気候が安定化、不安定化を繰り返す。この環境変動により生命の遺伝子コピーミスが誘発され、生命はそれを契機として飛躍的な大進化を遂げてきていると推測されている。実際、地球全凍結は、火山活動によるCO2大気中放出による温室化効果で凍結が解除されたと考えられている。

    (ということは、地球上の生命体進化のためには、火山噴火、温室効果、氷河期、全球凍結は必要ということなのか?我々人類はどう対処すべきなのかも考えさせられてしまう。)

    また、系外惑星についても、最新の研究で分かってきたその大きさや成り立ちの推測についても解説をしている。

  • 系外惑星といえば、太陽系のようなものを想像していたが、全く別物の「太陽系」があるとのことでびっくり。図書館から借りたのだが、本書にはデータもたくさん載せてあり、所有したい。
    (後日、購入しました)

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プロフィール

東京工業大学・地球生命研究所(ELSI)・副所長・教授。東京生まれ、京都大学物理系卒、東京大学大学院地球物理学専攻修了。専門は惑星形成理論だが、ELSIの研究目標は地球と生命の起源、宇宙の生命なので、アストロバイオロジー研究も行う。著書に「系外惑星と太陽系」(岩波新書)、「地球外生命」(岩波新書、長沼毅氏と共著)、「スーパーアース」(PHP新書)、「異形の惑星」(NHK出版)など多数。

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