『レ・ミゼラブル』の世界 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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本棚登録 : 67
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316558

作品紹介・あらすじ

世界的な名作『レ・ミゼラブル』を通読した読者は少ない。原因はその長大さばかりでなく、「哲学的部分」と呼ばれるユゴーの膨大な「蘊蓄」にある。しかし、「哲学的部分」こそ実は一番面白い。作品の成立の過程を辿り、歴史的背景を参照しつつ、作品に込められたユゴーの思想を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 【新着図書ピックアップ!】“レミゼ”といえば、美しい舞台と音楽。学生時代の貧乏旅行の本場ロンドンでも、東京・帝国劇場でも心が震え、涙した。一方で、児童向け世界の名作“ああ無情”といえば、改心したジャンバルジャンの物語。すっかり身近にしているヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の世界。しかーし!このフランスの国民的名作は大長篇のなかにユゴーの思想や当時の時代的背景が盛り込まれた、とてもとても奥が深い小説だと、東外大の西永先生が仰っている。文学メジャーのあなた、特に仏文学の方におススメ。
    【New Book!】The novel "Les misérables" is very famous for its musicals, movies and translation here in Japan. This book is the focused philosophy of the author Victor Hugo in this novel.
    Highly recommended for anyone interested in French literature.


  • 「レミゼラブル の世界 」 ちくま文庫版の翻訳者による解説本。レミゼラブルの意図不明部分(パリの歴史的考察、下水道や隠語の説明など) が理解できる。レミゼラブルには 政治小説の深みがある。

    哲学的な部分=ユゴーの言葉
    *哲学論、宗教論、修道院制度
    *パリの浮浪児、下水道、下層階級の隠語
    *ワーテルローの戦い、フランス革命、ルイフィリップの七月王政、六月暴動の歴史的考察

    マリユス=若い頃のユゴー
    *父ポンメルシー大佐(ナポレオン君主制)と 祖父ジルノルマン(王党主義)
    *マリユスは 共和派(ABC)の会合で ナポレオン賛美

    レミゼラブルの語り手=共和主義者
    *ユゴー は ナポレオン(君主制)賛美→ナポレオン訣別へ
    *ワーテルローはナポレオンの敵目線で小説を書いた
    *共和主義=自由と良心の象徴
    *死刑廃止

    ジャンバルジャンとは
    *「貧困が犯罪を生み 刑務所が犯罪者を作り出す」象徴
    *本能的な悪事→良心の目覚め→宗教的回心
    *良心の正念場=シャンマチュー事件
    *孤独なジャンバルジャンと 孤児コゼットの出会い→美徳の道を歩み続けることができた=父としての幸福

    ユゴー
    *貧困問題を考えるには、貧困の言語である隠語が必要
    *隠語=暗い美
    *レミゼラブルは 社会主義の原則と理想〜進歩という理想
    *無限=神、神の属性、人間の魂
    *祈りには敬意→修道院制度は時代錯誤

    ジャンバルジャンが死の直前に見ていたのが ミリエルの銀の燭台と コゼットの喪服
    *ミリエルの慈愛→ジャンバルジャン→コゼットへ
    *愛の対象の喪失→生命の源が燃え尽きた

    テナルディエが奴隷商人になる=ユゴー の先祖も奴隷商人

  • 2018年4月21日紹介されました!

  • 宗教的視点、政治的視点、ヒューマンドラマ的視点などいろいろな面からレ・ミゼラブルを楽しむ面白さが分かる。ユゴーの政治的活動にも触れ、作品背景なども理解できるので、さらにレミゼラブルを違った目線で読むことができておもしろかった

  • 著名であり難解でもある「レ・ミゼラブル」の解説本。
    当時の文壇の状況、変容は難解さの一因。
    社会情勢は登場人物の形成に関わり、そして政治の変遷期、
    宗教・・・大いなる歴史の流れがユーゴー自身を巻き込み、
    壮大な作品が成立する。
    ナポレオン(ユーゴーの父の代)~王政復古~ナポレオン三世の登場と
    没落までを体現したユーゴーの変容。
    死刑制度反対の考え。
    “無限”と“進歩”というユーゴーの思想。
    巻末の作品とユーゴーの生涯を対比した年表。
    読了したら「レ・ミゼラブル」の読み方が変わる・・・かも!

    「レ・ミゼラブル」が1962年までのヴァチカンの<教会>禁書リストに
    入っていたことを初めて知りました。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=9386

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著者プロフィール

1944年生まれ. 東京大学フランス文学科卒業. 同大学院に入学後, 1969-72年, フランス政府給費留学生として, パリの高等師範学校およびソルボンヌ大学に留学. 1978-80年, フランス国立東洋語学校講師. 2007-09年, パリ・日本館館長. 現在, 東京外国語大学名誉教授. 著作に『評伝アルベール・カミュ』(白水社, 76), 『サルトルの晩年』(中公新書, 88), 『ミラン・クンデラの思想』(平凡社, 98)『激情と神秘──ルネ・シャールの詩と思想』(岩波書店, 2006)ほかがある.

「2018年 『カミュの言葉 光と愛と反抗と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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