『レ・ミゼラブル』の世界 (岩波新書 新赤版 1655)

  • 岩波書店 (2017年3月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004316558

感想・レビュー・書評

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  • 『レ・ミゼラブル』を全訳した著者による解説書。全部読むとなると、哲学的な部分などがあり難解ということが分かりました。私が読んだ本は完訳ではないため、勉強になりました。

    ナポレオン(1世、3世)の存在が『レ・ミゼラブル』にとって大きな意味をもつこと、時代背景、作者ユゴーの思想背景(王党派→ボナパルト主義→共和主義)を知ることができます。巻末に「実世界の出来事」と「小説内の出来事」が比較できる年表がとてもいい。ナポレオンとジャン・ヴァルジャンが同い年であること、興味深いです。

    ユゴーは、19C 前半のフランス社会の貧困に衝撃受けて執筆をはじめ、宗教的意図をもって『レ・ミゼラブル』を書こうとしました。(ユゴーは、ジャン・ヴァルジャンを素朴で誰しも尊敬できる、19Cに可能な唯一のキリストの肖像として描きたかった。)最終的にナポレオンを葬り去る儀式として『レ・ミゼラブル』を仕上げます。途中、執筆の中断がありました。ユゴーは政治家で、死刑廃止論者であることも知りました。

    『レ・ミゼラブル』は奥が深く面白いです。

  • ちくま文庫版「レ・ミゼラブル(新訳)」(全5巻)を翻訳した著者が世界的な名作を縦横無尽に語るめちゃくちゃ面白い解説本。
    本書の構成は、通読した読者は少ないといわれる「レ・ミゼラブル」の構成とあらすじ、2人のナポレオン(1世ボナパルトと3世ルイ)とユゴーの関係、ジャン・バルジャンの人物分析を詳述。最終章では、通読の挫折ポイントである「哲学的部分」が解説されます。

    特に面白いと思ったのは

    -「レ・ミゼラブル」にはナポレオン1世の名前が111箇所登場する。一方、3世の名前は1度も登場しない。これはユゴーに対する3世の裏切り、ユゴーの亡命に関係する。そして、ユゴーの内面で1世と3世に関する「贖罪」が終わったとき、ユゴーは「レ・ミゼラブル」の再執筆を開始する

    -ユゴーはジャン・バルジャンを「素朴でだれしもが尊敬できる『19世紀に可能な唯一のキリスト』として描きたかったのかもしれない。であれば、彼の超人的な描写(馬車を持ち上げてしまうような)が挿入されていても不思議はない

    -「レ・ミゼラブル」は貧困を大きなテーマとしている。ユゴーの文学的な先見性は「資本主義社に必然的に伴う貧困という現象の端緒に見られた極端な特徴を鋭敏に感じとり、作品化したところ」

    -「レ・ミゼラブル」のクライマックスは世間によく知られている1848年「6月暴動」などの反乱ではなく、あまり知られていない32年「6月蜂起」。これは「蜂起」のほうが、フランス革命の理念を引き継ぎ、高めるものとして理想化し、自らの思想を述べるのに好都合だったため

    私は本書を「レ・ミゼラブル」を通読した後に読みました。先に読むか、後に読むかはもちろん自由ですが、個人的には「後に」読まれることをお勧めします。

  • この本の特徴はなかなか通読されることの少ない『レ・ミゼラブル』の原作に込められたユゴーの思いを明らかにしていくところにあります。 この本では原作のエッセンスがコンパクトかつ絶妙にまとめられていてとてもわかりやすいです。 レミゼの全体像をまず掴んだ上で著者はユゴーの思想やレミゼに込められた背景について解説していくので、これはわかりやすいです。非常にありがたい参考書です。ぜひおすすめしたい一冊です

  • 『レ・ミゼラブル』はなぜ書かれたか、また、なぜ書けたかを論証する試み。その精神性にせまる試み。ありそうで無かった本。

    ユゴーの葬儀は国葬で200万人が参列した。

  • 宗教的視点、政治的視点、ヒューマンドラマ的視点などいろいろな面からレ・ミゼラブルを楽しむ面白さが分かる。ユゴーの政治的活動にも触れ、作品背景なども理解できるので、さらにレミゼラブルを違った目線で読むことができておもしろかった

  • 【新着図書ピックアップ!】“レミゼ”といえば、美しい舞台と音楽。学生時代の貧乏旅行の本場ロンドンでも、東京・帝国劇場でも心が震え、涙した。一方で、児童向け世界の名作“ああ無情”といえば、改心したジャンバルジャンの物語。すっかり身近にしているヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の世界。しかーし!このフランスの国民的名作は大長篇のなかにユゴーの思想や当時の時代的背景が盛り込まれた、とてもとても奥が深い小説だと、東外大の西永先生が仰っている。文学メジャーのあなた、特に仏文学の方におススメ。
    【New Book!】The novel "Les misérables" is very famous for its musicals, movies and translation here in Japan. This book is the focused philosophy of the author Victor Hugo in this novel.
    Highly recommended for anyone interested in French literature.

  • 難しいの一言。映画を見て、改めて心に響くものがあったから、もう少し詳しく時代背景や舞台を知りたいと思ったけど、西洋の歴史をあまりにも知らなすぎてひたすらに難しかった。ナポレオンがどういう人物かも知らず、ヨーロッパの土地勘も無く、無知にも程があるなと、良い意味で実感させられた。
    この本をもう一度読むときに理解ができるように、西洋文学や歴史、人物について知りたいと思った。

  • 953-N
    閲覧新書

  • コミック版の完読にあわせて、図書館で借り受け。購入を検討中。

  • レミゼに関してはミュージカルと映画の内容を知っているだけで、原作の知識は全くなかったから予想以上に削られた状態で自分の元に届いてるんだなと思った。

    ユゴーについても、政治活動を行っていたことや様々な思想を知ることが出来て良かった。
    時間に余裕があるときに原作もチェックしたいと思う。

  • レミゼラブルのことで盛り上がった会社のおじさまに貸して頂いた本。
    ヴィクトルユゴーの政治活動を恥ずかしながら全く知らなかったので大変参考になった。
    レミゼラブルをもう一度読みたい。

  • 2018年4月21日紹介されました!

  • 著名であり難解でもある「レ・ミゼラブル」の解説本。
    当時の文壇の状況、変容は難解さの一因。
    社会情勢は登場人物の形成に関わり、そして政治の変遷期、
    宗教・・・大いなる歴史の流れがユーゴー自身を巻き込み、
    壮大な作品が成立する。
    ナポレオン(ユーゴーの父の代)~王政復古~ナポレオン三世の登場と
    没落までを体現したユーゴーの変容。
    死刑制度反対の考え。
    “無限”と“進歩”というユーゴーの思想。
    巻末の作品とユーゴーの生涯を対比した年表。
    読了したら「レ・ミゼラブル」の読み方が変わる・・・かも!

    「レ・ミゼラブル」が1962年までのヴァチカンの<教会>禁書リストに
    入っていたことを初めて知りました。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=9386

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著者プロフィール

1944年生まれ. 東京大学フランス文学科卒業. 同大学院に入学後, 1969-72年, フランス政府給費留学生として, パリの高等師範学校およびソルボンヌ大学に留学. 1978-80年, フランス国立東洋語学校講師. 2007-09年, パリ・日本館館長. 現在, 東京外国語大学名誉教授. 著作に『評伝アルベール・カミュ』(白水社, 76), 『サルトルの晩年』(中公新書, 88), 『ミラン・クンデラの思想』(平凡社, 98)『激情と神秘──ルネ・シャールの詩と思想』(岩波書店, 2006)ほかがある.

「2018年 『カミュの言葉 光と愛と反抗と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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