矢内原忠雄――戦争と知識人の使命 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316657

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  • 戦前戦後を大学教授という知識人として、またキリスト教の預言者として、活発に活動をされた矢内原忠雄さんの生涯とその思想を分かりやすく書かれています。生い立ちから少年時代、次第に学問への道へと向かう人生と、そのほかに人生に大きな意味を持つ信仰。迷いなくその道を進む姿は驚きで、何をもってそのようなエネルギーを持つことができるのか。戦後の東京大学で、教養学部をいまの形に築き上げたエネルギーの源は何なのか。知識人という、今はほとんど見なくなった人間の生き方を学ばせていただいた気がします。
    またその知識人を、周囲も肯定的、批判的であっても認め、その周りに集うこと。知識人の言葉を聞こうという姿勢、そこに価値観を認める、その時代の空気は、いまはもう無いような気がします。あるべき姿を背中で見せる、矢内原さんの背中を見ることのできる内容だったと思います。

  • ふむ

  • 「戦後を生きていたはずが、戦前の気配がただよっていた。
     そのことに気がついたとき、長い間読んできた矢内原忠雄という知識人の軌跡が、新たな意味をもって迫ってきたように思う。」

    と「あとがき」に著者は書いている。
    私も著者と同じように感じ、矢内原忠雄の著作をぼつぼつと読み返している。
    矢内原忠雄が何を語っていたか、訴えていたか、簡単だが、この本を通しておおくの人に知って貰えたらと思う。

  • この本も、友人からもらった本。

    矢内原は、神と個人が直接つながることにより、「神の国」が出現すると説いた。それは従来の国家の概念を超える国であったろう。

    個人的には、「神」を「真理」や「宇宙・自然」に置き換えるとわかりやすいのだが。。。それは違うのだろうと思う。

    今、世界は多様になってきている。しかし、ISや自国主義の台頭もあり、政治や宗教では多様性に背を向け、単一を目指す動きもある。

    矢内原が説く「神の国」は、多様性を理解・許容し、一人一人が神と繋がることによる理想の社会の様にも見える。

  • 学者として、そして独立伝道者として、平和理想主義者として、矢内原という人物が実にユニークな存在であった方だということを改めて感じる。キリスト教に否定的な倉田百三とのライバル?関係も興味深い。内省と懐疑に欠けるとの倉田の批判は、矢内原を尊敬する私からも「成程!」という面はある。朝鮮・台湾などの植民政策におけるリベラルさが、この地域からの尊敬を得ていたというのは嬉しい面である。戦後直後の矢内原の天皇のキリスト教回心と神の国への期待、そのことへの失望、そして再臨信仰への傾斜などの動きの説明は大変理解しやすい流れだった。

  • 東2法経図・開架 B1/4-3/1665/K

  • 289.1||Ya

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