一茶の相続争い――北国街道柏原宿訴訟始末 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316749

感想・レビュー・書評

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  •  文学ではなく歴史学の方法をもって小林一茶を通して江戸社会を構造的に解明する試みとして、同じ岩波新書に青木美智男『小林一茶』(岩波書店、2013年)がすでにあるが、信州と江戸の経済関係を中心にマクロな江戸社会史を目指した同書に対し、本書は一茶が実弟と係争した家産分割相続訴訟の顛末を入口に、一茶の故郷の北信濃・柏原村がかかわった訴訟の分析を通して、地方の一宿場町の社会構造をミクロな視点で明らかにしている。「俳人一茶」ではなく、本来の身分属性としての「百姓弥太郎」の動向を極めて冷めた眼差しで観察しており、流浪の文人を全うせず、晩年は捨てたはずの故郷に舞い戻り、父の遺書を盾に篤農の弟から強引に家産を奪った「俗物」と辛口の評価を与えている。当時の一村落の濃密な人間関係や利害関係をめぐる様々な事件や駆け引きは面白く読めるが、一茶に関しては終始「不都合な真実」を突き付けてくるので、一茶ファンは覚悟が必要であろう。

  • 東2法経図・開架 B1/4-3/1674/K

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