- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004316800
作品紹介・あらすじ
少なくとも一万人は存在するとされる日本の無戸籍者。嫡出規定や女性の再婚禁止期間など明治からの民法の壁に加え、貧困などで出生届が出されないことがその原因だ。しかし、戦争や災害による戸籍の大量滅失はいつ誰にでも起こりうる。国民を規定し、また排除する戸籍制度がいかにもろく曖昧か、歴史と多くの事例から考察する。
感想・レビュー・書評
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戸籍制度は不思議だ。住民基本台帳が紐づけられる基礎となっていながら、管掌するのはなぜか自治体ではなく法務省。そもそも何のためにあるかさえ今一つわからない。本書で指摘される通り、根拠となる「戸籍法」には通常の法律に備わる立法趣旨についての記述がないのだ。本書はそのような戸籍、ひいては国籍にまつわる様々な矛盾を指摘するとともに、立法・行政の不作為を糾弾する。
本書の前半は「戸籍とはどのようなものか」が、「戸籍がないとはどういうことか」の後景に浮かび上がらせる形で著者の経験を軸に語られており、明解で読みやすい。ただ、後半になるにつれ著者の主義主張、特にジェンダーに関わる議論の度合いが増え(注:別に著者の立場に異議があるわけではない)やや読みにくい。本書でも参考文献として挙げられる遠藤正敬「戸籍と無戸籍」の様に、淡々と議論が展開される方が個人的には読みやすい。ただ、戸籍の持つフィクション性についての問題提起としては十分な内容を備えていると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戸籍の歴史、無戸籍を引き起こす法律の問題等は、もう少し深く勉強してみたい。
無戸籍の人々の生活、沖縄・サハリン等の「戸籍に翻弄される人生」等の具体的事例はとても興味深く読んだ。
「無戸籍」でも行政サービスの多くが受けられることを始めて知ったが、その情報が当事者に伝わっていないことが残念に思う。少しでもこういう情報を広めていきたい。 -
2017/11/26 10:00 「放送大学の本棚」から
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東2法経図・開架 B1/4-3/1680/K
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