日本問答 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316848

作品紹介・あらすじ

日本はどんな価値観で組み立てられてきたのか。なぜそれが忘れられてきたのか。常に新境地を切り開く江戸文化研究者と古今東西の膨大な書物を読破し続ける編集工学者が、日本の来し方・行く末をめぐって侃侃諤諤の知の冒険。デュアル思考で、日本の内なる多様性の魅力を発見する。

感想・レビュー・書評

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  • 『江戸問答』を読んだからにはと、こちらは図書館で借りて読んだ。

    なんでも重ねたり、折りたたんだり、開いたり、合わせたり……とにかく編集・アレンジがたくみな日本文化を多面的に論じた対談。
    なにせ、神と仏と儒をごたまぜにし、時と場合によって使い分けてしまう文化というのはよほど独特である。

    悪くいえばいいかげん。
    こうした特質を今も多くの人が持ち合わせているにはいるのだけど、欧米をスタンダードにしすぎているせいか、裏目裏目にしか出ていない気がする。読みながらそう思った。

    例えばこんな一節が刺さった。
    松岡「かつて内村鑑三が日本は大きすぎてはダメだ、ボーダーランド・ステート(境界国家)であるべきだと書いていましたが、そのボーダーを線状的なものではなく、幅のあるものに、さらに動的なものにしていくのがいい。また、浄土真宗の清沢満之は日本人は二項同体を学ぶべきで、国家としてはミニマル・ポシブル(最小限の可能性)に徹したほうがいいと言った。ぼくもこれに近い」

    もっとも今は事実上合衆国の植民地だから、境界国家であることが難しくなっているわけだけれど。ともあれこんなちっぽけな国が、他国にばかり良い顔をし、でもなぜか近隣の韓国や中国はこの期に及んでまだ見下しているところを、さらには自国民までをも見下しているところを見ると、恥ずかしくて仕方がない。明治維新以来の体たらく。
    グローバル資本主義とか言いながら空回りし、かえってただ無意味なナショナリズムを増長しているように見える。

    もうひとつ、なぜだかわからないが、何度読んでも好きなエピソードがある。
    というのは、江戸の研究者である田中優子氏が江戸と出会ったきっかけが、小説家でフランス文学に造詣が深い石川淳の、江戸にまつわるエッセイだったという話。

    本書でも言及されていた『普賢』という小説。高校の頃に読んでなんのことかさっぱりだった。読み直す機会がやってきたようだ。

  • 読みながら
    引っ掛かりながら
    調べながら
    考えながら
    しばし、
    休息しながら
    読み進めていった

    知的な好奇心が
    これでもか と 思われるほど
    揺さぶられるのが
    うれしい

    田中優子さんが
    これまでの日本の歴史は
    誰が何をしたか、誰が勝ったか、誰が何を作ったか
    の 主語の歴史である。
    名を持たぬ人々の営みは埋もれ、彼らによって作られた無数のアート(優れた技術で生み出されたもの)も語られない。しかし「おおもと」は、その中にある。

    の 視点から繰り出される
    「日本のこれまで」と
    「日本のこれから」は
    まことに 興味深い「問答」に
    なっている

    ぜひ、続編を読みたいものだ

  • <目次>
    はじめに 松岡正剛
    第1章  折りたたむ日本
    第2章  「国の家」とは何か
    第3章  面影の手法
    第4章  日本の治め方
    第5章  日本儒学と日本の身体
    第6章  直す日本、継ぐ日本
    第7章  物語とメディアの方法
    第8章  日本の来し方・行く末
    あとがき  田中優子

    <内容>
    歯ごたえのある、手ごたえのある本であった。日本が欧米と違う感覚、感情を持ち、それが歴史を紡いできたこと。その由来を博識な二人がひも解いていく。かなり頭を使い、考えさせられるが、無知な私にも何となく伝わってきた。再読必至な本である。

  • 日本学者2名による日本についての問答、また日本への問答。多くのテーマにより喧々諤々の話し合い。田中優子さんは法政大学の総長としてテレビに和服姿で出ていることが多いが、その背景として祖母が京都の遊女だったという、そこから来ているのだ。天皇がなぜ着物を着ないのかが不思議との意見は、その通りで、日本的なものの象徴である天皇ご一家に和服を着てもらうことは重要だろうと思う。松岡氏もまた京都の呉服屋の出で日本の古い伝統を知り尽くしているように感じる。2人が「国家」という言葉を、おそらく明治の福沢か徳富蘇峰民あたりがStateの略語を造ったのだろうと思って調べてみると、何と聖徳太子の17条憲法に登場するので驚き、そして中右記や平家物語にもあることから衝撃だという場面は面白かった。しかし、秀頼が方広寺の鐘に「国家安康」の銘を刻んだという話も有った!田中氏が中国は漢字そのものに霊力、日本は発音に霊力があると考える!という。成程、気がつかなかったが、確かにそう思う節はいろいろ感じる。

  • 読書会の予習として。松岡正剛の対談は初です。相変わらずの超絶博覧強記。それについていく法政大学総長もさすが。いくつかの概念を提示されるのですが、それらが動的な概念だからか、イマイチピンと来ないのも相変わらず。若い頃イシス編集学校を受講しようと思って結局実行しなかったのだが、やっとけばよかったと思わされた。今からでも遅くはないんだろうけどやり切れる自信がない。

  • 210-T
    閲覧新書

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/704976

  • 日本のデュアル性

  • どうにもお二人の会話が、腹に落ちてこない。特に難解なことを論じている訳でもないのに。よほど自分のリテラシーが’低いのか、それともベクトルが違うのか。二元論というかデュアル構造で日本は成り立っているが故に、一本の原理がないというのには、「確かにそうかも」と思えるが、一方では万世一系の天皇制からは離れられないわけで。うーん、なんともだなぁ。

  • 松岡正剛と田中優子の日本の来し方と行く末をめぐる侃々諤々の知の冒険。

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著者プロフィール

1952 年神奈川県横浜市生まれ。江戸文化研究者、エッセイスト、法政大学第19 代総長、同大名誉教授。2005 年紫綬褒章受章。『江戸の想像力』( 筑摩書房) で芸術選奨文部大臣新人賞受賞、『江戸百夢 近世図像学の楽しみ』( 筑摩書房) で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞を受賞。近著に『遊郭と日本人』(講談社)、
『江戸問答』( 岩波書店・松岡正剛との対談) など

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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