語る歴史,聞く歴史――オーラル・ヒストリーの現場から (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316930

作品紹介・あらすじ

文字史料だけでなく、聞き取りによる歴史の重要性に光が当てられて久しい。しかし、経験を語り、聞くという営みはどう紡がれてきたのか。幕末明治の回顧、戦前の民俗学、戦争体験、七〇年代の女性たちの声、そして現在…。それぞれの"現場"を訪ね、筆者自身の経験も含め考察、歴史学の可能性を展望する初の試み。

感想・レビュー・書評

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  •  明治維新期から現在までのオーラル・ヒストリー実践史。明治期の『旧事諮問録』や「史談会」から現在の政治学・政策研究系の政治家・官僚のインタビュー記録に至る系譜(本書では「政治を聞く歴史」と呼ぶ)を横目に見つつ、叙述の中心は「民衆」「庶民」(特に女性やマイノリティの)の生活「体験」を聞く「聞き書き」で、旧来であれば歴史学ではなく、文学、民俗学、文化人類学、社会学などが対象とした生活記録・体験記やルポルタージュ、ジャーナリズム的な「聞き書き」を重視している。方法論の発展・変遷を歴史的に跡付けるだけでなく、著者自身が行ってきた聞き書き実践の試行錯誤を赤裸々に明かすことで、その「体験」の叙述自体が一種のオーラル・ヒストリーとなっているのが興味深い。「語り手」と「聞き手」の関係性、特に「聞き手」の「聞き方」を問題としており、「聞き手」の関心領域に沿って語りを聞き出す「ask」ではなく、「語り手」の経験に即した決して整然としていない(時間的に整序されていない)語りを、その身体性を含めてまるごと聞き(「listen」)、受け止める(「take」)プロセスを提起している。歴史学・歴史認識のあり方を鍛え直す新しい日本近代史学史論と言えよう。

  • 東2法経図・開架 B1/4-3/1693/K 

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横浜国立大学教授

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