近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)

著者 : 山本義隆
  • 岩波書店 (2018年1月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316954

近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 明治以降の150年間の産業技術について、その負の側面を痛烈に気持ちいいぐらいバッサリと批判している。さすがこの人だという傑作だ。特に第6章「そして戦後社会」では、高度成長の裏にある公害問題について、産官学マスコミを強烈に批判している。御用学者の企業援護とそれに乗っかるマスコミ。それが次章の原子力発電につながる。この部分がハイライトと感じた。何度も読み返したい名著。

  • 広重徹『科学の社会史』に勝るとも劣らない、近代日本における科学技術の受容の仕方とその歪みを描いた書。江戸末期から現代までを新書一冊で総括するというのはかなり野心的な試みであるが、産・軍・学一体となった「科学技術総力戦体制」が出来上がっていく様子が目に浮かんでくるような構成になっている。ただ、個別の例に関しては筆者の主張に合う部分だけ取ってきたという感があるので、この本に出てきた科学者全員が戦時体制を望んでいたと考えてはならない気がする。

  • 明治以後の150年を、科学と技術という観点から見て書かれた通史。圧巻は5章以降で、戦中の戦時即応体制を作るために社会や政治経済の仕組みが総力戦体制に編成され、それが戦後の高度経済成長をも可能とした条件になったという。社会経済について1940年体制ということはすでに言われているが、科学、技術の面でそれが明らかとなっている。

  • 東2法経図・開架 B1/4-3/1695/K

  •  さすが、元東大全共闘委員長の著者の観点は鋭い。明治以来150年の文明化の日本における特殊性、それが軍事技術への関心の高さから戦争と密接に結びつき、「兵学」であったこと、それは戦後も一貫しており、朝鮮・ベトナム戦争における兵器開発、なんと原子力発電の維持までが、岸首相以来の核兵器をいつでも持てる潜在的核保有の意味を持たせ、諸外国への牽制としていることを論破していく!驚きだが、全く肯けるところ。一方、ドイツ、イタリアは脱原発を宣言したらしい。それが2011年の原発事故において、日本の科学技術体制の破綻を迎えているという認識は私自身もしっかりと持つべきだと感じた。気象、海洋研究までもが海軍の1935年の三陸沖演習における大事故の反省から本格的に進んだとは知らなかったが、成程!明治期の欧米への劣等感は森有礼文相の留学生への訓示「欧米女性との交際による雑婚の奨め」に見える、確かに荒唐無稽。

  • 山本氏の著書については高校生のころ「物理学入門」で勉強して以来だ。みすずの本は、読んでみたいと思いながら、ついに手が出なかった。そして、岩波新書。広告を見てすぐ書店に向かった。しかし、どこにもない。もう売り切れたんだろうか。書店員に確認すると、それは来月発行とのこと。ややこしい広告を出さないで。と思いつつ、1ヶ月待って手にし、すぐに読み始めた。分かりやすい。おもしろい。知っていた事実も知らなかったこともいろいろとあるが、最終的にはやはり戦争はもうかるということ。そしてそれに乗っかってもうけたいという人間がいかに多いかということ。原発についても同じこと。なんだかおかしな話だ。国は借金だらけだというのに、高価な兵器を購入しては、古くなったら処分する。造る企業もしかり。もうかるからか。そして、選挙はあんな結果になる。なんだか情けなくなる。足尾銅山や、水俣病の教訓は全く生かされていない。人間の本性は変わらないということか。しかしである。本書は売れている(たぶん一部で)。そういう意味では期待はできる。(選挙のときも一瞬期待したんだけどなあ。)こういった事実を、なんとか、子どもたちにも知らしめていきたい。最終的な判断は本人次第だが。

  • 404||Ya

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