武士の日本史 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004317180

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  • 武士のあり方、日本の政治史における武力の役割と思想史。
    武士は、もともとは武芸を司る専門家として律令国家で育っていった。坂上田村麻呂のように専任の家があった。天皇の穢れを防ぐため、武力や弓を弾く音で居宅を守った。朝廷の権威を必要とする点は、その後も継続することになる。武家による幕府という体制も、江戸時代に頼朝に私淑した徳川家康以降が論拠を示すことになる征夷大将軍にこだわらなければ、兵士も豊臣も幕府と言えると著者は主張する。
    また精神的には武士道は一貫して成立していたわけではなく、もともとは陽平的なところもあったし、あくまで領主との関係であったが、それが江戸の平和になった時代に過去を美化して死を精神的に昇華し、その後のナショナリズムに利用されたとしている。

  • 最新の日本史学を踏まえ、武士の成り立ちから近代における位置づけまで、さまざまな論考をまとめた良書。

    文体が硬めなので最初はやや取っつきにくいけど、とにかく幅が広いので、知的興奮度は高目。平氏と豊臣秀吉の治世も、「幕府」と呼んで差し支えないのではないかという説は興味深かった。

    「武士」という言葉の定義自体は、時代によって大きく変わるので、日本においては通史的な「武士の国」という考えは成り立たないとした上で、「武」のイメージのみが独り歩きする風潮に歴史学者として警鐘を鳴らしている。

  • 本館開架(新書) [日本 -- 歴史] [武士 -- 歴史]
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26127143

  • 著者は以前から東国農村で武士が生まれたという説を批判してきているが、本書でもその内容がわかりやすく展開されている。ただ本書がすごいのは、著者の専門である日本中世史を軽々と乗り越えて、近世の武士道のありよう、さらには近代日本によって「武士」や「刀」がいかなるかたちで(そして中世や近世武士と異なる形で)受容されたかにまで筆が及ぶ。新書にもかかわらず、広い視野で語られる叙述には目をみはる。著者がそのようなスパンで武士を語る理由は、「全時代を通し、全社会で共有される価値観が存在するというのは、国民国家が創り出した幻想であり、国家支配層やそれに追随するイデオロギー集団がそうあって欲しい、と考える願望以上のものではない」(p.248)という叙述からうかがい知れる。また、日本が「武国」であった期間は短いという叙述からは、「我々は日本が武の国とか日本人は勇敢な民族だとかいう確かめようのないプロパガンダに乗せられるのではなく」(p.268)平和と安全保障の国際関係を築く必要を訴えている。この点も共感を覚える点であった。

    ほかに印象的だったのは、武士の切腹に関する叙述で、なんというかリアリティをもって迫ってくる筆致で、単純に身震いを覚えた。このへんは著者の筆力のなせるわざなのだろうか。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=331673

  • <目次>
    序    時代劇の主役たち
    第1章  武士とはなんだろうか~発生史的に
    第2章  中世の武士と近世の武士
    第3章  武器と戦闘
    第4章  「武士道」をめぐって~武士の精神史
    第5章  近代日本に生まれた「武士」~増殖する虚像
    終章   日本は「武国」か

    <内容>
    前半は武士の発生とその発展を描く、通常の歴史。第3章は戦闘の歴史。刀の使用目的がだいぶ違ったことに気づく。第4章以降は、現在に対して警鐘を鳴らす。日本のメンタルが「武士」から来ているのではない。その歴史は高々150年程度で作られた虚像である(もしくは「創られた歴史」)。それを天皇制と結びつけ、「伝統」と呼ぶのはちゃんちゃら可笑しい。それを明言してくれている!

  • 東2法経図・6F開架 B1/4-3/1718/K

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