賢い患者 (岩波新書 新赤版 1725)

  • 岩波書店 (2018年6月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004317258

感想・レビュー・書評

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  • 昨年の手術以来、当分継続的に病院のお世話になる身になった。
    今一番、自分に必要な本だと思い、手にした。

    患者が医療と向き合うサポートをするNPO、COMLで積み上げられてきた成果がまとめられている。
    学んだことは、患者も、医療者との良好なコミュニケーションを取るべく努力することだ。
    自覚症状と病歴はきちんとメモをして受診すること。
    これからの見通しを聞き、体の変化はよい変化も伝えること。
    話はメモに取り、分からなければ何度でも聞いてよいということ。
    こんな内容だ。

    しかし、そういうことより何より圧倒されるのは、著者とCOML創設者の辻本好子さんの生き方だ。

    著者の山口さんは二十代で卵巣がんに罹る。
    今から二十年前、患者は自分のことなのに治療方針や状況について知らされることがなかったそうだ。
    抗がん剤の壮絶な副作用の中、自分の病状をただしくしりたい、と病気について学び、行動した山口さんの強靭な精神力に驚く。

    辻本さんについては、その最期が書かれている。
    常に人に配慮する人だったとのことだが、その人もまたガンに罹り、最期を迎える。
    こういう活動をしてきた人でも、末期の病の中で揺れ動くのだという事実に、その病の厳しさを思い知らされる。
    山口さん自身が卵巣がんの再発をしながら、辻本さんを支え、看取っていくのだが…。
    二人の絆の強さと、医療者との関係づくりにより、おそらくこの人にとって良い形で最期を迎えることができたように思う。
    家族を看取るとき、あるいは自分が死ぬとき、こんな風にできるのだろうか?
    今掛かっている医師にも話しにくくて困っている自分に。
    まだまだやらなければならないことは多そうだ。

  • 患者と医療者が同じ目標に向かって“協働”するにはどうしたらよいか

    1990年に創設された認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」を1992年からスタッフとして支え、2011年から理事長を務める著者が、自身の経験と会の活動を紹介しながら、患者と医療者や病院、自身の病気との向き合い方を探る

    本文1~6章は、6万件におよぶ電話相談、厚生省研究班への協力、模擬患者、病院探検隊などCOMLの活動にもとづく客観的な記述

    それをはさむように序章には著者自身のがん患者としての闘病体験、終章の7章にはCOML創始者の末期がんを“キーパーソン”として看取った壮絶な経験が記され、テーマを立体的に読むことができる

  • 医師や医療に対して多くの人が不信感や不満を抱くと思うが、患者として現実的にとり得る方策を提示してくれる。医師や医療機関にどのように接すれば、望ましい医療を受けることができるか……。その提言は「新・医療にかかる10箇条」に集約する。▼(1) 伝えたいことはメモして準備(2) 対話の始まりはあいさつから(3) よりよい関係づくりはあなたにも責任が(4) 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報(5) これからの見通しを聞きましょう(治療スケジュール、治療の目標 、予想される日常生活への影響、治療中・後にできなくなること)(6) その後の変化も伝える努力を(7) 大事なことはメモをとって確認(8) 納得できないときは何度でも質問を(9) 医療にも不確実なことや限界がある(10) 治療方法を決めるのはあなたです▼またCOMLの創始者辻本好子さんと著者の強い信頼関係の描写は感動的。辻本さんの闘病の最後の描写、辻本さんの事前指示書は涙を誘う。

  • 創始者の辻本さんと会ったのは一度だけ。
    それでも今のは自分の人生を変えてくれた人。

    自分に何ができるか。精一杯やる。
    その基本を忘れない。

  • 医療トラブルがあったときの対処法がよくわかる。 患者としての体験記でもあるが、冷静な筆致で読みやすい。前理事長の終末期である最終章は、涙なくして読めない。

  • 医師と患者の「良い関係」のための NPO法人COMLの壮絶なる活動録。
    新病院建てる前に「病院探検隊」受けてほしいなっ

  • 医療現場で患者側の知る権利を確保したり患者自身への啓発活動などを行っているNPOの主催者による本。この30年あまりの医療現場の変化の一端はこういった活動によってもたらされてきたのであろう。しかしながら他者をサポートする場合と、自身が当事者になった場合はそのまま一致しない、非対称的な部分がある。自身が死に直面した場合に自らの理論がそのまま適用されなかったというキューブラー・ロスの例なども有名であるが、こういったNPOの主催者であってもやはり例外ではないことは、第7章の記述からもわかる。むしろそういった矛盾と率直に向き合う姿勢が重要なのだろう。

  • COMLを引き継いだ山口育子さんの著作であるが、彼女を通じた創始者の辻本好子さんのがん闘病の姿に圧倒された。「患者は伝えたい医療者を選ぶ」との言葉をその多義性を含めて考えておきたい。

  • はじめに

    序章 私の患者体験
     二五歳目前で,がんに/自分に起きている真実を知りたい/つらい治療/知るための“闘い”/どんなことも一〇〇%マイナスではない/COMLとの出合い/限界のなかでの忘れられない経験/新たなスタートへ

    1章 患者,家族の声を聴くーー電話相談
     五万九〇〇〇件の声/患者を取り巻く環境が変わる/医療安全への関心/どの医療機関を選ぶといいのか/患者の不信感はなぜ医師に向かうのか/不信感の背景/患者と医療者の想いのズレ/セカンドオピニオン/患者の理解を妨げているもの/なぜいまも「説明不足」なのか/医療費を知りたい

    2章 患者や家族が直面したことーーCOMLに届いた相談から
     相談1 老老介護へのかかわりがむずかしい娘の立場/相談2 生きがいである仕事に復帰できず死活問題/相談3 あまりに杜撰な管理状況/相談4 八時間足らずの入院で二日分の請求?/相談5 患者が選べない“かかりつけ薬剤師”って?/相談6 入院継続なら差額ベッド料を支払えなんて/相談7 抜歯中に上あごを傷つけたのに処置もなく/相談8 しわとりの美容医療でいびつな状態になって/相談9 肛門は残せたけれど一日中便が出続ける状態に/相談10 残っていたガラス片が移動して筋肉や神経を傷つけ/相談11 急性大動脈解離だと思い込みの治療をされ死亡した父/相談12 過失がないから医療事故調査・支援センターに届けない?

    3章 患者が医療を受けるときーー『新 医者にかかる箇条』
     賢い患者とは/新 医者にかかる箇条/誕生のきっかけ/子ど10ものための「か条」/子どもと保護者のためのワークショップ
     【コラム】ミニセミナー「患者塾」

    4章 患者が医学教育にかかわるーー模擬患者
     模擬患者と医師の対話/模擬患者とは/なぜ始めたのか/模擬患者から医師が学んだこと/医療面接が試験に/医学生の倫理観を養う
     【コラム】患者と医療者のコミュニケーション講座

    5章 患者が病院を変えていくーー病院探検隊
     利用者の“虫の目”で/どこを見るのか1 外回り,受付/どこを見るのか2 外来/どこを見るのか3 病棟/どこを見るのか4 患者が利用する場/病院の改革につなげる

    6章 患者が参加するーー「医療をささえる市民養成講座」
     医療にかかわる人の講座を/患者参加の場が増える/ますます増える市民参画ニーズ/アドバンスコース

    7章 患者を“支え抜く”ということーー辻本好子のキーパーソンとして
     COMLがNPO法人に/二つの試練/がん患者をサポートする日々/東京まで行ってしまった……/支える覚悟/二つ目のがんが発症/説明をいっしょに聴いたのに……/予想もしなかった厳しい現実/ショックのなかで/現実を受けとめるために頼まれた文章/伝えたい医療者を選ぶ/気持ちを受けとめる/患者としての選択/支える側も病気に/声が聞こえる/遺された事前指示書

    あとがきにかえて
     多くの人に支えられて/プラスの方向に

  • 3回開腹手術を受けたことがあるけれど、どの先生(1名例外がいたが…)も私が納得がいくまで術式の説明をしてくれた。病名の告知もしっかりと受けたし、点滴の薬剤の説明もきっちりしていた。運と時代がよかったんだと思う。

    山口さんの卵巣がんの手術に至るまでの経緯と、術後の抗がん剤治療には驚きしかなかった。自分は何の病気で、今体内に流れ込んでくる薬液(癒着を治す薬と説明を受けるが、実は抗がん剤)は一体何なのか、看護師や医師に聞いてもはぐらかされて、面と向かって質問すると医師が金切り声を上げて「あなたとの話し合いはしたくない!」と拒否されるなんて、考えただけでも具合が悪くなるし、それでは治るものも治らないだろうと感じた。

    自分の病気や病状について納得してから治療が行われるようになったとしても、医師の言いなりになったり、治療を任せっぱなしではなく自分で勉強して、知識を蓄え、賢く立ち回らないとならないのだと改めて思った。

  • 医療に関心のある人にとっては必読書と思う。

  • 背ラベル:490.1-ヤ

  • この本は賢い患者になるための心得が書かれていますが、臨床医の立場からの意見も伺ってみたいです。
    待合室に溢れる患者さん、診断書等の書類作成、カルテの記入。ある程度、診察時間を短くしたいという気持ちが鎌首をもたげやしないかと考えてしまいます。

    お医者さんの独壇場だった医療の舞台に患者として登る時代、私は医療従事者の考えも聞いてみたいと思いました。

    タンゴは一人じゃ踊れない。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26313964

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:490.145||Y
    資料ID:95180736

    医療者と患者のズレはどこからくるのか?医療者こそ読むべき本。患者−医療者の良き連携への示唆があります。1日で読めます。

    (在宅看護学領域推薦)

  • 私の患者体験
    患者、家族の声を聴く―電話相談
    患者や家族が直面したこと―COMLに届いた相談から
    患者が医療を受けるとき―『新、医者にかかる10箇条』
    患者が医学教育にかかわる―模擬患者
    患者が病院を変えていく―病院探検隊
    患者が参加する―「医療をささえる市民養成講座」
    患者を“支え抜く”ということ―辻本好子のキーパーソンとして

    著者:山口育子(1965-、大阪、社会活動家)

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