武蔵野をよむ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004317401

感想・レビュー・書評

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  • 明治30年代に発表された国木田独歩「武蔵野」を読み込むことを趣旨とした本である。

    この本の主な主張は以下の通りである。
    ①国木田独歩が武蔵野の美を発見した散歩には恋人を伴っており、恋が武蔵野の美の発見と結びついている。
    ②「武蔵野」研究では、これまで近代以前の感性(名所や歌枕という回路を通して風景に触れること)と切り離された、独自の感性を打ち出した作品として見られてきたが、実は近代以前の美意識とも独歩は接続しているのではないか。

    独歩の「武蔵野の美を発見する」という回路が何によって構築されたものなのか、をめぐる仮説として①②ともに興味深いものではある。また、武蔵野が人工林(人々が生活のために切り拓き、適宜管理してきた林)であることや、武蔵野が後代のガイドブックに取り上げられて世俗化した観光地になっていく指摘なども、「武蔵野」の理解を深める一助となる情報だ。

    だが、文章がかなり冗長であり、大変読みづらい(というか読んでてて飽きてしまう)。主張される内容自体は興味深くありつつも、同じ内容を言い方を変えて延々と繰り返しており、論理的な根拠の薄い指摘も多い。さらに、それらの主張が「〜なのではないか」「〜に注意を向けるべきである」といった言い回しが繰り返され、「だったらちゃんと証拠を挙げて論証してくれ」と感じざるをえない。

    もし独歩の「武蔵野」について理解を深めたければ、この本ではなく(本書にも繰り返し引用されているが)川本三郎『郊外の文学誌』をお薦めする。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27015371

  • 「武蔵野」の発見

  • 武蔵野は名作と言われているが、読み方を教えてもらわないとわからなかった。ただ硬い文章なので、本をあまり読まない人には難しいと思う。

    国分寺、府中、武蔵小金井、吉祥寺などに住んでいる人は、近場が舞台なのでとっつきやすいと思う。あと、地図好きにもおすすめ。

  • 東2法経図・6F開架 B1/4-3/1740/K

  • 181103 中央図書館
    『武蔵野』が、国木田独歩の最も好きな作品というわけでもないのだが。。

  • 独歩の「武蔵野」という短いテクストを精読する事でみえてくるもの。文芸評論/武蔵野受容の歴史/ランドスケープの発見など。田山花袋や柳田國男との関係など。前田愛や川本三郎のそれは知らなかったので、読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1953年、東京生まれ。学習院大学教授。専攻は民俗学・日本文化論。
『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。
『異人論序説』『排除の現象学』(ちくま学芸文庫)、『境界の発生』『東北学/忘れられた東北』(講談社学術文庫)、『岡本太郎の見た日本』『象徴天皇という物語』(岩波現代文庫)、『武蔵野をよむ』(岩波新書)、『性食考』『ナウシカ考』(岩波書店)、『民俗知は可能か』(春秋社)など著書多数。

「2023年 『災間に生かされて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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