- 岩波書店 (2019年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784004317555
作品紹介・あらすじ
啓典の民、離散の民、交易の民、さまざまな呼び名をもつユダヤの人びと。苦難の歩みのなか、深遠な精神文化を育む一方、世を渡る現実的な悟性を磨いてきた。歴史をたどりながら、その信仰、学問、社会、文化を知る。
感想・レビュー・書評
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パレスチナ戦争をきっかけにユダヤ人ないしユダヤ教へ関心が高まったので、読んでみることにした。
歴史的な視点で面白かったのは、離散後のユダヤ人は意外にも福の神みたいな存在で、キリスト教化される前のスペイン、オスマン帝国やオランダなどユダヤ人の移住先の国には繁栄と自由があった。20世紀はそれがアメリカで、今現在も半数近くのユダヤ人はアメリカにいる。ユダヤ人が商売上手だったり、学問に長けていたりするのはよく知られているが、各時代にイケてる国を嗅ぎ分ける嗅覚もあるということだ。
最終章で現在のイスラエルについて、シオニズムの形骸化に起因する大イスラエル主義政策を批判して、既成概念を排除し世俗派と保守派の歩み寄りを求めていたが、具体的な方法論は書かれていなかったので、その点は残念。まあそれが分からないから、人類は今も殺し合いを続けているのだけども。。
蛇足だが、ユダヤ人の歴史を学ぶと進撃の巨人を思い出す。ユミルの民はユダヤ人がモデルだよね…?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
漠然と理解したつもりでいたいわゆるユダヤ人を歴史と思想的背景、現代のフレームワークできっちりくくり直すのに役だった。多面的に理解できるのは良い。かなり複雑なだけに。
ユダヤ人とユダヤ教の成り立ち、および日本から見える一般的な理解とはだいぶ乖離がある。イスラエル国民と、アメリカのユダヤ人社会にも隔絶が見られるという。現在進行中のガザ地区の惨劇、ならびにアメリカ大統領選を理解する上でもこの本の視点は大切にしたい。 -
#2024年に読んだ本 39冊目
#8月に読んだ本 2冊目
うーん…
根本的にユダヤに関する
知識が乏しいからか
読みにくかった…
何も知らないなぁ…ということが
わかった(^_^;) -
ユダヤ人とユダヤ教について「歴史」「信仰」「学問」「社会」の四つの切り口からその概要を紹介したユダヤ思想の専門家による新書。
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超重要なのは下記かな。
・ユダヤ共同体では、聖と俗の分離によって日々の行動規範が定められている。それを経済活動の観点から見ると、近代の自由主義的経済人の理念を先取りしたものであることがわかる。
・貧しさは本人の責任ではない、という考えがユダヤ教にはある。それは離散社会の境遇を思えば納得できる考え方であろう。
農耕民族である我々は彼らの逞しさを見習わなければならない。。。 -
専門用語が多いし、背景知識の説明が少ないからユダヤ人を初めから勉強したい人にとってはイマイチだったなー。まあでもユダヤ人の文化や歴史をゼロから学ぶのであれば、まずはキリスト教の成り立ちを知る必要があるということがよくわかりました。
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1.この本を一言で表すと?
著者がユダヤ人とユダヤ教について学んできた事をまとめた本。
2.よかった点を3~5つ
・真正のユダヤ人(p4)
→ユダヤ人の定義が複雑で難しいことがわかる。
・ユダヤ人という前提自体、もはや選択肢の一つとなったのが現代である(p50)
→ますますユダヤ人の定義が難しい。
・第二章 信仰から見る
→ユダヤ教自体は非常に厳しい教えであると感じた。
・学ぶことは生きること(p126)
→ユダヤ人が優秀と言われる所以がわかった気がした。
・利子取得の二重基準(p139)
→上手く考えたように思えるが騙された感じもする。
・二極分化するユダヤ社会(p164)
→宗教的な集団に帰属しているのか、アメリカ国民として自由を享受したいという態度が入り混じっているというのが分かった。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・結局ユダヤ人とは民族なのか、国籍を表すのか、宗教信者なのか、複雑でわからない。
・現代でもゆ本来のユダヤ教の厳しい教えに習って生活している人はどのくらいいるのだろうか?
・ユダヤの教えでは、個人融資業(クレジットカードのキャッシング等)も禁止なのだろうか?
3.実践してみようとおもうこと
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5.全体の感想・その他
・歴史、信仰、学問、社会、それぞれの視点からユダヤ人とユダヤ教をよく研究していると思う。
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知らないことがいっぱい出てきて面白かった。
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読了 20240317
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市川裕
1953年生まれ。1982‐85年ヘブライ大学人文学部タルムード学科特別生等、1986年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻、宗教史学、ユダヤ思想
ュダヤ人は、そのような邪なユダヤ教から解放されなければ、真に人間的に解放さ れることはない。ユダヤ人は政治的には解放されたが、宗教的にはいまだ解放されな いままである。そのため、真に人間的に解放されずにいる。そして、これはユダヤ人 だけの問題ではない。ユダヤ人を含むすべての人間は、究極的には、ユダヤ教から解 放されなければ真に人間的に解放されない。これがマルクスの主張である。 -
1982年にはシャス党が躍進しユダヤ宗教法をより厳格に社会に適用するよう求めた。またイスラエルの領土拡張を宗教的に支持する国家主義的ユダヤ教徒(レウマニーム)が台頭し入植活動が活発化した。
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資料
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序章 ユダヤ人とは誰か
第1章 歴史から見る
第2章 信仰から見る
第3章 学問から見る
第4章 社会から見る -
國學院大學教員からのおすすめ
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すでにユダヤ教とは何かを粗方分かったうえでの詳細を知る本。さすがにカタカナが多くて途中までしか読めなかった。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/721021 -
■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001139988
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世界史を学ぶに連れてナチスはもとよりなぜそこまでユダヤ人が忌み嫌われるのか、に興味が出たので。残念ながら「なぜ?」の部分はあまり掘り下げられておらず「迫害されてきました」という前提で話が進んでしまうので直接の回答は得られなかったものの歴史、宗教、教育、生活といった切り口でユダヤ民族について掘り下げられておりそれはそれで非常に興味深いものがあった。まずわかったことはかなり特殊な歴史を持つ人々だということで考えてみると絶滅させられたり征服民族に隷属や同化させられたり、という民族は沢山いたのかも、だけど民族丸ごと住んでいるところから追い払われた、というのが珍しいケースであるということ。また確たる宗教があって周囲に溶け込まなかったこと。などなど。今はタリバンやISが目立っているのでイメージし難いがフランス革命までは西欧のキリスト教の方が他者に不寛容でむしろイスラム圏のほうがユダヤ人も自由に活動できたらしい。他者への寛容さが時代が下るに従って逆転していき文明の発達もそれに伴って移行してきているのが興味深い。ユダヤ人は教育熱心で為に他民族より経済的にも優位に立てるケースが多く、それがために嫌われた面が強いのだが確かに教育面は非常に興味深く、聖典の解釈を何百年にも渡って記録に残してあってそれが学べるようになっているところが非常に興味深い。例えば「神がアダムの肋骨からイブを作った」という箇所だけでも数百年に渡る様々な解釈があってそれを議論し合うという文化で単純に信じれば良い、というわけではないところが凄い。その意味では自分は「啓典の民」について誤解をしていた部分があったように思う。異なる意見を否定するのではなく議論し続けているわけでそれは強くなるよな、という気がした。イスラム教においてもそれは同じなのか、についても学んでみようと思う。
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一人の研究者の集大成が新書の形で手軽に手にとれることがありがたい。"ユダヤ人"と"ユダヤ教"について「歴史」「信仰」「学問」「社会」の4つの視座から著者がその膨大な知識を動員し新たなユダヤ人論・ユダヤ教論を描き切った一冊。巷間見られてきたユダヤ人・ユダヤ教の概念をバッサリ落として新たな概念を示しており、この分野の今後の基本書に位置づけられるであろう労作。しかし読めば読むほどやはりユダヤ人とユダヤ教の多面的な姿、そしてイスラエルという国家の有り様について改めて考えさせられている。
著者プロフィール
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