南北戦争の時代 19世紀 (岩波新書)

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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004317715

作品紹介・あらすじ

「帝国」化しつつあったアメリカを引き裂いた内戦.その実態をさまざまな対立軸とともに描き,再建のなかの国民の創造と「奴隷国家」から「移民国家」への変貌をたどる.一国史を越えて長い一九世紀を捉えなおす.

感想・レビュー・書評

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  • 南北戦争は、奴隷制を巡ってアメリカを引き裂いた内戦。その実態をさまざまな対立軸とともに描き、「奴隷国家」から「移民国家」への変貌を辿る。

  • 第1章 西漸運動の展開―「西半球の帝国」へ(西漸運動の展開と市場革命;ナショナリズムと「好感情の時代」の政治;ジャクソン政治とデモクラシー;北部改革運動;奴隷制度と南部社会;「帝国」への胎動―テキサス併合とアメリカ・メキシコ戦争)
    第2章 南北戦争(連邦の分裂;南北戦争;南北戦争の変質)
    第3章 「再建の時代」―未完の革命(南北戦争と戦後改革―「アメリカ国民」の創造に向けて;リンカン大統領とジョンソン大統領の再建政策;共和党急進派による再建計画;再建下の南部社会―解放民の生活と失われた大義;再建政治の終焉)
    第4章 金ぴか時代―現代アメリカへの胎動(金ぴか時代の政治と社会;最後のフロンティア―西部開発と先住民の一九世紀史;労働者と農民の運動―「アメリカの夢」の陰影;アメリカの帝国主義のかたち)
    おわりに―南北戦争の「終わらない戦後」

    著者:貴堂嘉之(1966-、東京都、アメリカ史)

  • アメリカを形作ったのは19世紀であること。そして現在抱えるあらゆる問題は南北戦争から派生していることが説明される。
    理想国家となるべく誕生したアメリカが、南北戦争を特異点として変質していくことになるのだけど、多数の人間は多数であるが故に、勝手というか横暴な存在になるんだなぁ。聖書で語られるレギオンってわけだ。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=342264

  • 作品南北戦争の時代19世紀
    およそ10万字にまとめる事は至難の業だろう!

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1771/K

  • 2019年8月読了。全4巻の2巻目。

    7ページ
    「奴隷国家」から「移民国家」への変貌ということは、本質的にかの国は「奴隷状態の人」をベースに出来上がっているのかもしれない。というわけで次から次へと「奴隷状態の人」を生み出す仕組みをあちこちで(軍事で、産業で、行政で、その他の色々なレベルで)作っているのでは。

    45ページ
    「マニュフェスト・デスティニー=明白な運命」という発想の起こり。もともとはテキサス併合(1845年)を神意による国民の使命だと解するために使用された言葉。「民主党員のジャーナリスト、ジョン・L・オサリヴァンの「併合論」において最初に使われた」とのこと。帝国主義、拡張主義はこの国を捉えて止むことがない。

    52ページ
    帝国主義、拡張主義が国民的神話として必要とされ、西漸運動が是とされる。事程左様に人間の集団が動くときには巧拙に関わらずストーリーが必要とされる。

    66ページ
    1850年代のニューイングランドでの移民排斥、ネイティヴィズム運動の興隆が、40年代以降の移民の大量流入によって惹起されている点が、現代社会と殆ど相似形と言ってもいいくらいに同じ形態を取っているように見えてとても興味深い。元来人間は異質なものから自分を守るために、それを排除するということなのかもしれない。

    93ページ
    リンカーンの「奴隷解放宣言」の和訳。但しこの宣言で解放された奴隷は、当時奴隷状態と認められる人全てを解放しようとしたわけではない。

    109ページ
    「戦死者を語ることは、古今東西、大衆動員するための最も古典的な手段であり、愛国主義を鼓舞する政治家の政治的資源をなってきた」
    →最近、ウチの国でもよく聞く話。身近な人が急に「ご英霊が…」とか宣い始めたら、アイコクシャにお目覚めされたことの兆候。

    170ページ
    フロンティア開発は実にしばしば「西部開拓史」の美談として語られ、「フリーランドを自力で開拓していくマッチョイムズ」が古典的で強いアメリカ男性の表現だと思うが、こういった「定説」の発生は1893年のアメリカ歴史学会でのターナーによる「アメリカ史におけるフロンティアの意義」という発表にまで淵源を遡る。さらにはこんなことまで紹介されている。
    「ターナー史観の西部開拓美化を修正するために、別の視点から西部開発を絶賛した人物、アドルフ・ヒトラーの評価をここでは紹介しておこう。近年の研究では、ヒトラーが、「数百万ものインディアン銃で撃ち殺して数十万人にまで減らし、現在はわずかな生き残りを囲いに入れて監視している」米国の西部開発の手法をモデルに、「生存圏=レーベンスラウム」の構想練ったことが明らかになっている。」
    レーベンスラウムの発想が時系列的には後に来るわけだが、「麗しい西部劇の時代」とヒトラーの発想が同根であることに脅威を覚える。

    188ページ
    アメリカける富の偏在は何も今に始まったことではない。ヴァンダービルド、カーネギー、ロックフェラー、スタンフォード。一部の才覚ある若者が、濡れ手に粟で富を掴んでやがて独占していく様は、何もアメリカの金ぴか時代にだけ特有の現象ではない。

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著者プロフィール

きどう・よしゆき
一橋大学大学院社会学研究科教授。
アメリカ合衆国史、人種・エスニシティ・ジェンダー研究、
移民研究、歴史教育。
主要著作『アメリカ合衆国と中国人移民――
歴史のなかの「移民国家」アメリカ』(単著、名古屋大学出版会、
2012年)、『<近代規範>の社会史――
都市・身体・国家』(共編著、彩流社、2013年)、
『アメリカ史研究入門』(共著、山川出版社、2009年)など。

「2017年 『「ヘイト」の時代のアメリカ史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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