グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 (シリーズ アメリカ合衆国史)
- 岩波書店 (2020年8月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004317739
作品紹介・あらすじ
脱工業化を模索する危機の七〇年代、保守化と冷戦の終焉を生んだレーガンの八〇年代、ドットコム・バブルの崩壊と九・一一事件で幕を開ける21世紀……。黄金時代の「アメリカの夢」を失った超大国は、統御不能なグローバル化と和解困難な国内の分極化へ向かう。トランプのアメリカはレーガンの遺産を受け継ぐのか。
感想・レビュー・書評
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米国は大統領選挙で活性化する 新しいVISION・戦略に挑戦する
「ドル本位制」を堅持し、世界の盟主であり続けるの基本戦略
=「石油本位制」アラブの支持が不可欠
→「DATA本位制」GAFA+M
トランプ大統領はシェール革命により脱アラブ親イスラエルへ
反環境で世界の潮流には反旗だが、
バイデン大統領は回帰・国際協調路線へ
双子の赤字[財政赤字+貿易赤字]が重荷だが路線は変えられない
リーマンショック後も資産バブルは続いている
ITバブルが本当に花を開かせるか
米国の未来はそこに掛かっている
バイデン大統領はその次に「環境」を用意 間に合うか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1973年のニクソン政権末期から、あとがきまで含めて2020年のパンデミック勃発後・大統領選前までをカバーする。新書に色々詰め込むための制限もあろうが、新聞記事レベルの深さで事実をなぞっていく感じ。リアルタイムで知っていたことも多いので新味には欠ける。論述のフォーカスがどこにあるかわからん感じもして読みづらかった。あと経済ネタも弱い。「低金利によってインフレと財政赤字を抑制し」なんて記述もあった。タイポが校正をすり抜けただけかもしれないけれど。
ただ「引き」のアングルでここ数十年のアメリカの歴史を眺めることで改めて見えてくるものあるかも。普段はすっかり党派的になったアメリカ政治に目を奪われがちだが、長い目で見ればレーガンが先鞭をつけてクリントンが継承した新自由主義的な政治を刷新しにかかったのが(意図的にかどうかは別として)トランプだというのはうなずける。 -
シリーズ最終巻。1970年代のニクソン大統領から直近のトランプまで、現代史ともいうべきおよそ50年間のアメリカについて、時代状況に焦点を当てつつ、主として各大統領時代の外交、内政面について叙述されている。
スター・ウォーズ構想でソ連と対峙し、双子の赤字で苦しんだレーガン時代辺りから記憶に残っているが、あの出来事はそういうことだったのか、今からだとそういう評価になるのかなどと感じながら読み進めていった。
グローバル化、新自由主義のような世界的傾向から、依然解消されない人種問題や移民問題、人工妊娠中絶の是非、同性愛者に対する保障、銃器規制等比較的アメリカに特有の問題があるが、多文化主義とナショナルアイデンティティの相剋が、現在のアメリカの社会的分断を招いている状況が、大分理解できるようになった。
グローバル化の進展により、中産階級の厚みがなくなり格差が拡大していることは世界的傾向であるが、特にアメリカの場合、排外主義につながりかねず深刻な問題である。その上、そうした社会的弱者に応える政策が非常に採られづらい仕組みになってしまっている。
2010年の連邦最高裁判決では、利益団体による選挙候補者の主張に対する賛否の表明は、憲法によって保護されるべき「自由な言論」行為であるとされた(268〜272ページ)。どういうことかというと、アメリカでは、企業などが政党に直接献金を行うことは禁止されているが、政治活動委員会(PAC)という政治資金団体からは許されている。ただし、これまでは献金額に上限があったのに、同判決は献金額に限度を設けてはならないとした。つまり資金を豊富に出せる大企業のロビー活動によって、例えば富裕税など、その影響力により不都合な政策は潰せるということになる訳である。
唯一とは言えなくなっているかもしれないが、アメリカはグローバルパワーであり、その動向は世界に影響する。本書はコンパクトな一冊だが、アメリカの現在を知る上でとても参考になると思う。 -
1973年から2020年の現在まで、つまり冷戦時代から現代までのアメリカを概括する(さすがに大統領選挙までは無理だけど)。オモシロいと思ったのは、各大統領の政策を振り返ることで、各時代を説明できること。そしてグローバル化の進展とともに経済政策が中心になること。オバマ大統領については、経済で語って欲しくなかったけど、それが結果と(つまり他の分野では成果を残せなかった)著者は判断したんだろうね。
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Twitterで発見して先の3冊を読む前に先にこちらを読了。物心ついた時の大統領はクリントン、それより前は私にとって教科書と映画の世界。
レーガン以後、民主党と共和党の入替がありながらもオバマより前は基本的に採られた政策は同じであること、また、オバマもChange!を宣言して就任したものの激しい抵抗で内政上は大きな変革とはならなかった。そこでトランプの登場。こういったリアルタイムで見てきたものと、生まれる前の話を非常にわかりやすく橋渡ししてくれた本でした。
前3冊を読んだ後にもう一度読み直したくなる内容でした。 -
オバマとトランプの共通性という視点は面白かった
著者の言うように、今アメリカは過去からの復讐を受けている。これまでの歴史を踏まえたからこそ現代アメリカの抱える問題がよりはっきりわかるようになった。
通じて、門外漢だけれどもアメリカの動静に興味のある人にとって、学びの多いシリーズとなっていると思う。 -
20200930-1023 シリーズ物の第4編(最後)1970年代のアメリカから現在のトランプ政権までアメリカの全体像を描いている。21世紀に入ってからのオバマとトランプという2人の特異な大統領の登場は、アメリカ民主主義所の一つの帰結といえるのではないだろうか。
それにしても、2020年11月の大統領選はトランプか、バイデンか。今のアメリカは、パクス・アメリカーナを享受したころからはかけ離れているような気がする。以下の状況を生み出した原因はグローバリズムの進展とかいくつかあると思うが、私はレーガノミクスに代表される新自由主義の行き過ぎた経済政策も主な原因にあげらると思う。 -
1973年以降の通史。まず印象に残るのが、「理想化された過去に向けての復古的『革命』」レーガン政権の存在感だ。第2章は父ブッシュ政権も含むのだが、題は「レーガンの時代」。
またオバマとトランプの2人を、ワシントン政治のアウトサイダー、アンチ・ヒラリー(彼女の「経験」)、「世界の警察官」の役割から降りる、という共通項で見るのは新鮮だった。その結果、米は「ポスト・アメリカ」時代の幕開けに入ったという。
更に著者は、80年代以降の政治外交の3つの長期トレンドであるグローバル化と新自由主義と多文化主義、これらの行き詰まりがトランプという新奇な大統領を生んだ、と指摘。また90年代の時点で既に経済・社会・文化の分断や亀裂が描写されており、その後08年の金融危機で格差が可視化された、ともある。即ち、トランプ政権の誕生は米の長期的変化の結果と言えるのだろう。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1773/K