- 岩波書店 (2019年5月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (186ページ) / ISBN・EAN: 9784004317784
作品紹介・あらすじ
世界的に廃止の流れにあるなか、オウム真理教事件の死刑が大々的に執行された。先進国では例外として死刑制度を維持する日本とアメリカを比較することで日本が「独特の死刑存置国」であることを示す。秘密裏の執行、日本の刑事司法における否定の文化、死刑制度を取り巻く日本の政治社会を鋭く分析する。
みんなの感想まとめ
死刑制度に関する日本とアメリカの比較を通じて、独特な文化や司法制度の問題点を深く掘り下げた作品です。読者は、日本国民の死刑に対する意識や司法制度改革の拙速さに疑問を抱き、特に世論の影響を考慮する必要性...
感想・レビュー・書評
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死刑廃止論者から、日本の死刑制度に対する疑問。
「死刑の選択は慎重に行わなければならない。」
アメリカでは、陪審員1人でも死刑に反対すれば死刑は選択できないし、自動的に上訴される。他方で日本は…という話。
とはいえ、何が正しいかは分からない中、筆者も、死刑廃止への一番の近道は「世論を完全に避けて通ること」であることを、他国から得られる教訓として認めます。
最近ようやく観た去年のNNNドキュメント「裁判員裁判10年~死刑判決はなぜ覆るのか」では、「裁判員裁判で死刑を選択したのに上訴審でひっくり返される。一審裁判員と被害者遺族の憤り」が主題で、従前の裁判官裁判の思考を継ぐ上訴審が死刑を回避する仕組みが働いていることが描かれていた。
そういうところも踏まえると、裁判員制度に対して、刑事司法制度全体との関係では「一石を投じ、さざ波を波及させている」と評価しているものの、死刑制度の賛否との関係では、どういう評価を、筆者がするのかは難しいところ。
この本でも番組でも千葉地裁の堅山被告の事件が出てきました。
筆者は裁判中に裁判長に手紙送ったらしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/724398 -
第三者からの意見は非常に参考になると思う。日本における司法の問題点が淡々と記載されている。
典型的な日本のだめな文化。臭いものを蓋をする。が随所に現れてて嫌になるが、かといってこれを読んで死刑制度に反対するかと言われたら反対はしない。むしろ、消極的賛成から変わらない。
なぜだろうと考えるとやはり最終的には被害者の感情が最優先されるんだよね。確かに冤罪や事件の真相や被告人を援護する仕組みが整ってない、死刑制度は犯罪発生率が低下しないなど問題点はあるんだろう。
だけど、シンプルに人の命を奪ってる人がなぜ生きているのか。
という疑問が溶けない。 -
やや偏りすぎだが、アメリカの死刑制度との比較で、日本の死刑制度の問題点がよくわかる。
死刑でレポートを書く大学生にも便利そう(笑)。 -
日本では世論調査で死刑を「やむを得ない」とする回答が8割を占める。そのため,しばしば日本政府の国際的な説明の中心は,世論にあり,死刑存置を民主的であると説明する。しかし,筆者は,死刑存置が「非民主的」であると批判する。日本では,世論や選挙に関わる代表民主主義と裁判員裁判に関する参加的民主主義ばかりが強調されて,依法民主主義や自由民主主義が軽視されてきたからだ。国家は,権力の象徴としてあるいは統治手段として死刑を利用する。そのためヨーロッパや韓国等では,独裁国家を民主主義国家が打倒した時に死刑が廃止された。
日本は,第二次世界大戦後にアメリカが戦犯者たちを死刑にするために民主主義国家に転換させつつ死刑を存置した,という分析がさらにその理論を裏付ける。押しつけ憲法論がしばしば議論されるが,このことからすると,日本の民主主義が民主主義たり得ていないのは,草の根の民主主義ではなかったからではないかと推測される。わたしは国家が怖いし戦争も怖い。人は「正義」を大義名分に人を最も簡単に殺すからだ。しかし,その恐怖感を持つ国民が少ないというのは,日本が平和だからなのかもしれない。しかし,まだ戦後100年も経っていない。
戦争世代がいなくなった後の日本はどんな方向に進むのだろうか。日本は死刑について極度の密行主義を取るからこそ,人々が自らの意思で人を殺しているという感覚がないのではないか,と考えてきたが,「人は死刑について知らないから死刑に賛成する」というアメリカのマーシャル仮説は実証研究の結果から正しい仮説だとされていないそうだ。わたしはしれば知るほど自分が死刑という制度を自分が選んだとされる代表者により存置され,構成員として参加している国の統治システムとして人を殺すことを意思決定し,毎年人を殺しているという現実が怖い。
民主的,とされながら死刑執行の現状を公開せず,いつ誰を執行するかをどのように決めているのかすら,わからない日本で,国民を殺すことを国民が支持しているからという理論で正当化することが民主的とはわたしには思えない。過去に人を殺したことに対する非難と,これから人を殺すことの意思決定を今するかどうかとを区別し,わたしは人を殺すという意思決定をしたくない,と心から思うが,死刑を存置し続けるのであれば,死刑という国家権力の行使を透明化し常に国民からの批判の目に晒すことは不可欠だ。まずそこから,少しずつ変えていきたい。 -
アメリカと日本を除くほとんどの先進国で廃止された死刑制度について、その問題点を丁寧に論じた良書。冤罪の可能性や国家による残虐行為という問題点は確かにあるがそれでもオウムのような重大犯罪者を死刑にしなくて良いかという感情論を考えれば判断が難しい問題。一般人向けの本ではない。
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先進国で死刑が廃止の流れなのはわかるが、死刑の存在が犯罪の抑止力にならないと言えるかどうかは現状結論づけられないのではないかと思う。犯した罪に対する適切な罰として、死刑以外にはあり得ない場合もあるのでは。
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死刑制度の廃止根拠の1つに冤罪抑止を掲げているのは理解できるが、その他、死刑は野蛮で残虐であるからとか、先進国では死刑廃止が主流であるからといった、上から目線かのような考え方が好きではなかった。
死刑制度についてもっと市民は知り、議論を深めるべきと指摘するが、そもそも廃止論者の考え方の根底には死刑廃止以外には選択肢はなく、賛成派の考え方に歩み寄ろうとする意識が感じられず、議論が成り立たないのではと疑念を感じた。
ただ、第6章にある、日本が死刑存置する理由として憲法9条の観点から考察しているのは興味深かった。 -
326.41||Jo
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東2法経図・6F開架:B1/4-3/1778/K
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