日本のマクロ経済政策: 未熟な民主政治の帰結 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004317807

作品紹介・あらすじ

日本の為替,金融,財政のマクロ経済政策を俯瞰しその問題点を解明する.円安誘導による景気浮揚,財政ファイナンスである異次元緩和,政府の責任感の欠如で先送りされる財政再建,最終的に犠牲を強いられるのは国民だ.

感想・レビュー・書評

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  • 全般的に蒙が開かれ、新たな視点が得られた。

    1,2章は為替介入。日本と韓国の特異性を初めて知る。しかし、一括りに為替介入が悪いとは言えないだろう。
    3章はデフレと異次元緩和。本当にデフレだったのか?という問いは説得力がある。
    4章は成長率の妥当性を問う。加えて民主主義の成熟度と財政の健全性の関係を示す。
    5章は財政悪化、超低金利の先にある現実(ダメな企業もゼロ金利で生き延びる。保守的な高齢者の行動をますます防衛的にしてしまう。国債の不信用が社債などにも連動する)。嘆かわしい。その処方箋の妥当性はまだ読める。ここだけではないが自民党・安倍政権への批判は浅い感じがした。4章で示唆された通り、迂遠なようでも有権者が賢くなるしか道がないのではないか。

    しかし、最後まで読んで著者の悲観がよく分かった。

  • 「日本のマクロ経済政策には共通の問題点がある。それらは、(1)客観的な状況分析にもとづいていない、(2)明らかに持続的でない政策が行われている、(3)政策担当者がそのことを認めようとせず、政策目標や会計規則を操作するなどして既存の政策を続けていることなどである。」
    ということを、為替政策から書き始めて金融政策、財政政策と述べていく。見て見ぬふりを許さない良心的な一冊。
     
    円安誘導政策のことから書き始めるのは遠回りに見えて、実は戦略的なものとなっている。
    為替政策において後任のことを考えない短視眼的に振る舞いをした前科のある者が、金融政策においても異次元緩和と称して副作用を考慮しない金融政策を繰り広げて、効果も出ないのにいつまでも続けていることの指摘へとつなげている。
    そう。黒田東彦日銀総裁のことだ。
    「虚心坦懐に統計を見れば当たり前のことだが、近年の日本では当たり前のことを無視して勝手な議論を展開する人が発言力を持ってきた」というフレーズが指し示しているのは、文脈からいって第一義的には黒田氏のことである。
     
    為替や金融における不適当な政策は、いずれも財政赤字を隠蔽するために行われているというのが次の段階となる。
    それで安倍政権であり、歴代の政権であり、それらを許容してきた国民の問題を指摘することに至るのだけど、その結論部分はあってもなくてもよいかな。
     
    まあ日中戦争後の公債発行の急増が現在と重なるということであり、その後に控えるのは預金封鎖であり、デノミであり、ドッジラインであって、その時に周辺で特需が発生するとは限らないのだ。

  • 文章は平易のような気がするが頭にあまり入ってこないのはなぜであろうか。

  • 副題が「未熟な民主主義の帰結」で、本の帯には「冒険主義と非合理主義を監視するのは国民しかいない」とあるが、まさにその通りの内容。アベノミクスがいかにまやかしのデータと論理でもって推し進められているかを丹念に描き出すとともに、それを人々が監視することもなく理解することもなく支持している日本社会の現状を分析しつつ憂えている。読んでいると絶望的な気分になるが、我々がまずやるべきことはその絶望にきちんと向き合うことだろう。

  • 日本経済の低迷は、シルバー民主主義ではなく民主主義の未成熟が原因。
    社会制度設計の責任を負わされることを忌避している。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=342073

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1780/K

  • 332.1||Ku

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