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Amazon.co.jp ・本 (270ページ) / ISBN・EAN: 9784004317852
作品紹介・あらすじ
「これは絶滅戦争なのだ」.ヒトラーがそう断言したとき,ドイツとソ連との血で血を洗う皆殺しの闘争が始まった.日本人の想像を絶する独ソ戦の惨禍.軍事作戦の進行を追うだけでは,この戦いが顕現させた生き地獄を見過ごすことになるだろう.歴史修正主義の歪曲を正し,現代の野蛮とも呼ぶべき戦争の本質をえぐり出す.
■呉座勇一氏推薦
冷戦期のプロパガンダによって歪められた独ソ戦像がいまだに日本では根強く残っている。本書は明快な軍事史的叙述を軸に、独ソ両国の政治・外交・経済・世界観など多様な面からその虚像を打ち払う。露わになった実像はより凄惨なものだが、人類史上最悪の戦争に正面から向き合うことが21世紀の平和を築く礎となるだろう。
みんなの感想まとめ
テーマは独ソ戦の実態とその影響を多角的に探ることで、歴史的事実を知る喜びと恐怖が交錯します。この作品は、両国による不可侵条約の破棄や、指導者たちの意図的な意思決定が引き起こした絶滅戦争の過程を明らかに...
感想・レビュー・書評
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ブクログの評価も良くて楽しみにしていたが、旅中、毎夜の付き合いで読書時間取れず、二日酔いの頭で流し読みしてしまったので後悔が残る。集中力が必要だ。
とは言え…恐らくタイトルに見える通り「戦争の類型化」によって独ソ戦の壮絶さを分析、可視化した点が本書の秀逸な点。確認しておきたいのは“死者の数から見るその規模”である。独ソ戦は「史上最大の地上戦」とも言われるが、人的被害の面で他の戦線とは比較にならないスケールだ。
まず前提として、独ソ戦における総死者数はおおよそ2,500万〜3,000万人規模とされ、ソ連側は約2,700万人が死亡したとされる。日本の戦死者数が民間含めて310万人と言われるので、10倍近い数だ。尚、内訳には、戦闘による兵士の死だけでなく、飢餓・疫病・強制労働・包囲戦による市民の死が大量に含まれる。特にレニングラード包囲戦では、約90万人以上の市民が餓死や寒さで命を落としたとされ、「戦闘以外での死」にも注目すべきである。
一方、ドイツ側も甚大な損害を被り、東部戦線だけで500万〜600万人規模の死者を出したとされる。こうした「死を生み出す構造」を通常戦争・収奪戦争・絶滅戦争という切り口で分析する。
通常戦争のレベルでは、独ソ戦もまた激烈な消耗戦だった。スターリングラード攻防戦では、双方合わせて100万〜200万人規模の死傷者が発生。しかしそれだけでは、先の死者数に至らない。
収奪戦争のレベルでは、ドイツ軍は占領地から食料を徹底的に徴発し、都市や農村に飢餓を巻き起こす。いわゆる「飢餓計画(Hungerplan)」のもと、数百万人規模の住民が計画的に餓死させられた。戦略的な殺害である。
そして絶滅戦争。ここでは数字の意味がさらに一段上がる。ユダヤ人、スラヴ人などが「存在してはならないもの」と規定され、組織的に殺害された。独ソ戦の文脈におけるホロコーストだけでも、数百万単位の命が奪われている。特にソ連兵捕虜の扱いは象徴的で、ドイツに拘束された約570万人のうち、300万人以上が死亡したとされる。
通常戦争だけであれば、ここまでの犠牲にはならない。収奪戦争だけでも不十分。絶滅戦争というレベルに至り、この桁外れの死者数が現実となってしまった。
戦争の見え方が変わる本。戦闘の勝敗や戦術の巧拙ではなく、「どのような前提が置かれたとき、戦争はどこまで逸脱するのか」。ウクライナ戦争もイスラエル、イラン紛争も何をキッカケに終結させられるのか。考えさせられ、視点を増やす一冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020年新書大賞の第1位受賞作。
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、当地で過去に起こった歴史を知っておくのもよかろうと思い手に取った。
著書は膨大な史料を読み込み分析されている。よって新書にしてはかなりアカデミックというかマニアックとさえ言える中身。おそらくは歴史マニアや軍事オタクにはたまらない一作だ。
本書でよくわかったことは、独ソ戦はイデオロギー戦争だったがために双方妥協の余地はなく言語に絶する惨酷な闘争を徹底して遂行したということだ。これがこの戦争の本質だと思う。
イデオロギー戦争だったがために、人を人とも思わない残虐無比、極悪非道な殺戮が大量に起こった。
諸説あるんだろが太平洋戦争の日本の犠牲者は軍人民間人合わせて約300万人。独ソ戦の両国の犠牲者はなんと3000万人を超えるという。この点だけ取ってみても人類史上最低最悪の戦争と言っても過言ではない。
日本ではともすれば、戦争の悲惨さと言えば原爆の被害や沖縄戦が強調されている。自国で起こった出来事なのだから当然と言えば当然である。
ただもっと世界に目を向けて、悲惨な戦争の歴史を知ることも意味があるんだろうと思う。
そういう意味で本書が新書大賞を受賞してたくさんの人の目に触れられているのは好ましいことだ。
読んでいておやっと思ったのが、「戦略」と「戦術」の間ににある概念としての「作戦術」なるものがソ連軍により志向されていたことだ。「戦略」と「戦術」の区分というか使い分けは、経営やビジネスの現場でもよく言われるが中間概念があるということは初耳だった。実に興味深い。
あと印象に残ったのはヒトラーのマイクロマネジメント。軍事には素人だろうに自分で前線軍の司令官を兼務するなどトリッキーなことしてる。一国のリーダーがやるべきでないことは少し考えればわかることだ。よほど人間不信だったのだろうか。
ともあれ、戦争は絶対悪だと改めて実感出来た著作だった。
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独ソ戦である
要するにヒトラーVSスターリンということである
まずは2人の共通項をあげてみたい
どちらもひげのおっさんである
ヒトラーの有名なちょび髭に対しスターリンはいわゆるカイゼル髭である
カイゼルとはドイツ語で皇帝を意味し、ドイツ皇帝ウィルヘルム2世の口髭が始まりとされていいわ!髭の話はいいわ!
ふざけちゃいけないやつだわ!
はい、話戻します
2人の共通するのは極悪独裁者ってことです
そんな2人の全面対決ですから、それはもう悲惨です残酷です
そして本書ではそんなところにも目を向けつつ、戦史、軍事史面から独ソ戦を紐解いている
注目したいのは戦略戦術についても多くページが割かれていることで、これがかなり面白かった
独ソともに捕虜や民間人の虐殺に手を染めており、このような惨禍は二度と繰り返してはならないんだが、やはり冷静に独ソ両軍の作戦概要なんかを振り返るのは普通に面白いのだ
いかんな〜と思う
「バルバロッサ作戦」とか「土星(サトゥールン)作戦」とか言われちゃうと普通にかっこいいのだ
「第4装甲集団」とか「第6機械化軍団」とか激突しちゃうと普通にワクワクしちゃうのだ
いかんいかん
そういうのはフィクションの中だけにしよう
これ約束な!-
ユッキー
電撃作戦とかなー
ちょっと憧れを抱く気持ちもあるのよ正直
男の子ってそういうもんなのよ
タミヤのティガー戦車とか組み立てしまうの...ユッキー
電撃作戦とかなー
ちょっと憧れを抱く気持ちもあるのよ正直
男の子ってそういうもんなのよ
タミヤのティガー戦車とか組み立てしまうのよ!ドイツ兵を横に立たせてしまうのよ!2025/04/20 -
ん?
呼んだかね。
(((((((((((っ・ω・)っ ブーン
マキさん。
土曜は土がつくので土瓶の日と覚えておいてください。ん?
呼んだかね。
(((((((((((っ・ω・)っ ブーン
マキさん。
土曜は土がつくので土瓶の日と覚えておいてください。2025/04/20 -
2025/04/20
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「同志少女よ、敵を撃て」を読み始めた時点で、ちゃんと理解すべく入門書として読み始める。
研究が進められるにつれて、両国で隠されてきた事実に基づき記されている。
指揮者の判断の誤りや過信など、なんとも風刺画のようなモノが頭に浮かぶ…
学生の時、歴史に興味が持てなかったが、経緯や理由を理解しながら流れを追うとこんなに面白いのかと驚き、不謹慎と思いながらも楽しめました。
互いに存在を滅するまでの「絶滅戦争」に加熱した、そのの性質について「独ソ戦」における変遷、「戦略と作戦」の違いなど、もう少し詳しく学びたくなった。 -
えっぐっっっ!!
人類史上最大の泥沼戦。
しかもその沼は泥水ではなく人の血肉でできている。って感じですかね。
普段はこの手の本は読まんです。
ほぼほぼフィクション専門で、こういう教養になりそうな、教養を高めそうな本はパスしてました。
が、3つ前の「戦争は女の顔をしていない」が結構な衝撃だったので、今度は独ソ戦というやつを下からでなく上から見てみようかいという気になってしまいました。
柄にもなく。
まず死者の数がエグい。
ソ連の当時の人口1億8879万人。
そのうち2000~2700万人が死亡。
ドイツは人口6930万人。
そのうち600~831万人が死亡。
ちなみに日本の場合、人口7138万人。
そのうち265~310万人が死亡。
(いずれも民間人含む)
しかし両国の指導者のアホさ加減には呆れる。というかそれで多くの死傷者出してんだから怒りを通り越して殺意さえ覚える。
フランスを電撃戦で落として調子に乗ったドイツは、将来の英米に対抗するため広大な領土をもち、そこから生み出される食料と原油を狙ってソ連に侵攻。
短期間で勝利できると思ってたらしい。
曰く「ソ連軍は頭のない粘土の巨人」と侮った。
一方ソ連は、イギリスからの情報をまったく信じず、ドイツが攻めて来るなんて思ってなかった。
また、来られては困る事態も起きていた。
なんつっても大粛清の最中である。
スターリンのクズは自身の権力を安定させるために秘密警察によってありとあらゆる人間を投獄、または銃殺していた。なんと軍の最高幹部101名中91名を逮捕、そのうち80名を銃殺。元帥も5名中3名を銃殺。
もう殺しまくっていたので軍に人手がいない。いても経験の浅いのしかいないというていたらく。
あ~、くだらない。
ドイツはドイツで兵站をろくに考えておらず、ソ連の道路はフランスみたいに整備されてないので得意の電撃戦のスピードが出せない。食料も油もなく時間がかかるので侵攻した村々からあらゆるものを略奪しなければならなかったとか。
それで恨みを買って大規模なパルチザンの抵抗を受け、そのパルチザンを殲滅するために苛烈で非道な行いをし、より恨みをかうことに。悪循環や。
だから「戦争は女の~」の記述で驚かされたように十代の女の子まで進んで軍に入ったりすることになったんだろうな。
独裁国家はあかんね。
しっかし今のロシアは、当時のドイツみたいにすぐに終わらせられると過信してウクライナを攻めてるけど、結局泥沼になっとることをどう思ってんのか。
まあ、どうせ西側が悪い。全部西側のせいや。くらいにしか思ってないんだろうけど。
アホすぎる。
は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
それはそうと筆者さん。
★2にしてごめんね。
この手の学術書?みたいなの読み慣れてないし、学もないものだから読んでくのが苦痛で、途中からはザッと流して読んだ。
内容よりも読み手の能力不足によっての★2です。
やっぱ戦争を上からみた学術書より、下からみた「戦争は女の~」のほうがスッと入って来るな。
ああ疲れた。-
雪見酒さん。ありがとうございます。
さすが! 既読だったとはおみそれしましたよ。
スターリンといい、プーチンといい、ロシアってなんとかな...雪見酒さん。ありがとうございます。
さすが! 既読だったとはおみそれしましたよ。
スターリンといい、プーチンといい、ロシアってなんとかならんの?
ゴルバチョフのときは少し光が射したと思ったんだけど甘かったなぁ。
2024/06/11 -
クマさん。ありがとうございます。
クマさんのレビューは正座して拝見いたします。
嘘です。ごめんなさい。
私も最近目がショボショボなので...クマさん。ありがとうございます。
クマさんのレビューは正座して拝見いたします。
嘘です。ごめんなさい。
私も最近目がショボショボなので目薬必須です。2024/06/11 -
2024/06/11
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不可侵条約を結んでいたはずのドイツとソビエトによる戦争、その起承転結が綴られた一冊です。
何故、条約を破ってまでドイツがソ連侵攻を決断し、最後の最後まで戦うことになったのか。
第二次世界大戦は早期講和が可能である戦争でしたが、ドイツも日本も時期を見誤りました。
戦況悪化に伴った対話を頑なに拒む内部の存在、ドイツにおけるNSDAPと日本における軍部は大変似ています。
戦争と対話は外交政策上では表裏一体ですが、齎す結果は全く違います。
独ソ戦は飢餓や虐殺が日常の地獄と化したのです。
外交を軽んじた場合の高額なレッスンを枢軸国は受けましたので、同じ轍を踏むことのないようにしたいものです。 -
【はじめに】
各所でも非常に評判が高い『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』。特に読書サイトHONZで成毛眞さんが大絶賛していたこともあり、手に取った。
読後の評価として、確かに賞賛に値する本だった。この本の素晴らしいところを3つ挙げてみる。第一に何よりコンパクトであるということ。第二に、独ソ戦の過程をその目的から「通常戦争」「収奪戦争」「世界観戦争」に分類して次第に後の二つの位置づけが占める割合が増えていったという陰鬱だが的確な分析を与えてくれること。最後に、実際に起きた事実に対する真摯さとその追究への意志があり、さらにそのために読者へのガイドが丁寧で適切であること、となるだろう。著者はすでに多くの関連書籍の翻訳もされていて、資料面での網羅性や論考の確かさには信頼がおける。今後、さらに他にも翻訳や著作の予定があるとのことで楽しみである。
【概要】
独ソ戦の特異性は、その人的・物的損害の数量的甚大さであるが、それに加えて相互憎悪から来る徹底した残酷さを挙げることができる。
「ナチス・ドイツとソ連のあいだでは、ジェノサイドや捕虜虐殺など、近代以降の軍事的合理性からは説明できない、無意味であるとさえ思われる蛮行がいくども繰り返されたのである」
実際にそこで何が行われたのかについては、ヒトラーが何も語らずに死んだことを利用して、国防軍の上層部が自己保全のために過度にヒトラーの責にするために事実をゆがめてきたこと、また世間もその物語を求めたことによって長く隠されてきたものがあるという。またソ連側も、戦後のスターリン体制による抑圧によって、正しい情報が明らかにされるまでの時間がかかった。そのため、二十一世紀に入った今もまだこの領域では新しい事実の発見があるという。本書は、そういった最新の事実をもとにした独ソ戦への道案内である。
中学生のとき、社会科の教科書に第二次世界大戦におけるソ連の死者が2,000万人と書かれていて、それが群を抜いて多かったことを不思議に思ったことを覚えている。情報を統制する社会主義国家なので、過度に多めに見積もることで戦後賠償などを有利に進めようとしたんだろうかと思っていた。しかし実際は、逆にそれは国威のため低めに見積もった数字ですらあるとのことだ。独ソ戦については、アントニー・ビーヴァーの『スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943』『ベルリン陥落 1945』を読んでいたので大枠の流れやその過酷さは知っていたが、この本であらためてそれが並大抵のものではないことがわかった。
ソ連側では、スターリンの猜疑心から来る軍上層部の大量粛清に加えて、ドイツのソ連侵攻の情報を得ていながら、現実を顧みることなくそれを陽動作戦であるとして退けて準備を怠ったことが事態の深刻化を招いた。一方、ドイツ側ではヒトラーが陸軍指揮権を握ることになり、最終的にヒトラーの思い込みと楽観から来る非合理な作戦指示により戦争の泥沼化を招いた。軍事でもビジネスでも、システムの中で適切な権限移譲がなされているかどうかはことの成否を大きく左右する。また、それ以上に両トップによる「世界観戦争」-ドイツでは「東方植民地帝国の建設」、ソ連では「大祖国戦争」と呼ばれた - は、互いに限界のなさを兵士に強いることになり、そのためお互いに必要以上の残酷さを引き出すこととなった。ドイツがソ連兵の捕虜を過酷に扱い、捕虜となったら命の保証がないとの認識がソ連側で拡がることで、ソ連兵士の抵抗はさらに激しくなり、泥沼化を極めていったのは皮肉でもある。兵站が伸び切ったドイツが食物の略奪を始めてしまったことも現地で敵を作ることになり、住民の憎悪を煽る原因ともなった。ドイツ側から見ると、そもそもが収奪戦争の側面もあったのだ。想像を超えた惨禍となったことにはある種の必然性があったとも言える。
【所感】
「筆者の試みが、未曾有の戦争である独ソ戦を「人類の体験」として理解し、考察する上での助けとなることを期待したい」という書く意味を、果たして私たちはどこまで理解することができるだろうか。
ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは、ナチスやスターリンが権力を握る前の1919年に出版された本の中で次のように警鐘を鳴らした。それは警鐘であったが、処方箋はなく、またそれが必要な人たちには決して届くことのない警鐘であった。
「とてもたくさんのドイツの若い世代の人たちが預言者を探し求めていますが、まさにそんな預言者などいない。これは決定的な事態です。この事態についての知が、この事態の十全な重みをもっては、若い世代の人たちに生々しく受けとられない。これが、みなさんがしてしまうことです」
(『仕事としての学問』マックス・ヴェーバー)
「近代国家では、実際上、政治を行う手段すべてを思いのままに動かす権力は単一の頂点に集積していく。自分が使うカネ、あるいは思うままになる建物、貯蔵、道具、戦争の装備を個人として所有する役人は、もはや誰一人としていない。行政スタッフ(行政官僚や公務労働者)は、実質的な行政手段から「切り離される」。この「切り離し」が完遂されるのが近代国家で、これこそが近代国家に特徴的なことなのです」
(『仕事としての政治』マックス・ヴェーバー)
最後に著者は、ドイツ国民の「共犯性」についても厳しく指摘する。ナチスは、ドイツ国民の優越感をくすぐり、また実態としても当時ドイツ国民は他国民からの略奪によって得られた富で比較的恵まれた待遇を享受していた。少なくとも将来他国よりも恵まれた待遇を享受する可能性を期待していた。おそらくはその待遇を満たすものがどこから来るものなのかを彼らは知っていた。そうであるがゆえに、彼らは多かれ少なかれナチスの共犯だったのだ。著者は、そのことについて明確に次のように指摘する。
「彼らは、初期帝国主義的な収奪政策による利益を得ていることを知りながら、それを享受した「共犯者」だったのである」
なぜ、西にイギリスという敵を抱えながら、ドイツが対ソ戦に踏み切ったのかの理由のひとつがソ連から食料を収奪し、国民および国防軍の食料を与えることにあった。そのために、ソ連の住民が飢餓によって死ぬことも承知の上であったのだ。
著者によると、「絶滅・収奪戦争を行ったことへの贖罪意識と戦争末期におけるソ連軍の蛮行に対する憤りはなお、ドイツの政治や社会意識の通奏低音となっている」という。第二次世界大戦は、文明という観点において最も進んでいた欧州で、人類がどれほど野蛮になることができるのかを示した。それは人類として正しく知るべき史実であると思う。
また改めて、日中戦争含めた日本の戦争についても深く知っておくべきものだと思う。当時の多くの日本人も、同じ意味において軍部との共犯者であったと言えるのかもしれない。歴史を学ぶというのは、単に史実を知るということではない。そういうことを教えてくれる本でもあった。
お勧め。
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『ベルリン終戦日記―ある女性の記録』(アントニー・ビーヴァー)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4560092087
HONZレビュー「『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』2019年のNo1新書」 (成毛 眞)
https://honz.jp/articles/-/45311
『仕事としての学問 仕事としての政治』(マックス・ヴェーバー)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4065122198
『「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨』(大木毅)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4040822552 -
岩波新書 新赤版1785
独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
著:大木 毅
1941年6月22日のナチス・ドイツのミンスク、レニングラード、ウクライナへの、ソビエト連邦同時侵攻から、1945年5月11日プラハの闘いまでを、独ソ戦と呼ぶ
その戦場は、フィンランドから、コーカサスまでの数千キロに及ぶ長大な戦線と、独ソ両国民に甚大な被害をもたらした。
独ソ戦における、ソ連の被害は、死者行方不明者 1129万、一方、ドイツは、最大、832万である。
戦闘のみなら、ジェノサイド、収奪、捕虜虐殺が繰り返し行われ、人類史上最大の惨劇と言っても過言ではない
ナチスドイツ 世界観戦争 劣等人種スラヴ人を奴隷化するための戦争、絶滅戦争
ソ連 ロシアを守るための大祖国戦争
ソ連の捕虜はその場で殺害し、一方、ドイツの捕虜も、その95%が生きて祖国に戻ることはできなかった
互いに、捕虜になれば殺される闘いであり、そのために各戦線で、熾烈な戦いが繰り広げられることとなる
気になったのは、以下です。
■緒戦
・粛清によって弱体化していた軍に、ドイツ侵攻の情報が届いていたにもかかわらず、スターリンは、対抗しなかったため、奇襲をうけた形で独ソ戦はスタートした。
・ヒットラーというよりも、参謀本部は、独ソ不可侵条約をソ連が継続的に守るとは思っていなかった
・西部戦線で、イギリス軍と膠着状態になっていたドイツ軍は、同盟国ルーマニア油田の保護と、ソ連領内のマイコープ、クズヌイの油田の簒奪をもとめて、東進する計画を進めていた
・ソ連は、フィンランド戦争を仕掛け、レニングラードに隣接したカレリア地方の割譲を要求した。ドイツはこれをみて、ソ連が、国境を西に動かそうとしていることを認識した。
・ドイツは、北方軍、中央軍、南方軍を同時にソ連に侵攻させる、「バルバロッサ」作戦を立案し、1941年6月22日に実行に移した
北方軍 リガ⇒プスコフ⇒レニングラードへ(フィンランド軍と連携作戦)
中央軍 ミンスク⇒スモレンスク⇒モスクワ⇒ゴーリキへ(ソ連首都制圧、政治拠点制圧)
南方軍 オデッサ⇒キエフ⇒ハリコフー>スターリングラードへ(石油資源確保)
・ドイツ軍を待っていたのは、劣悪極まりない、ロシアの環境であった。フランスでは、舗装道路、給油できるガソリンスタンドも、乗り入れ自由な鉄道も、なかったため、ドイツ得意の電撃戦も発動することができなかった
・前線と補給との乖離、燃料などの物資は、まばらにしか届かない
・バルバロッサの失敗とは、ドイツ軍の惨敗でも、ロシア軍の善戦でもなく、兵站の不足が原因であった
■ドイツ軍VSソ連軍
ドイツの戦法は、電撃戦である、短期決戦指向、戦車と航空機を集中して、戦線を突破、敵を包囲して殲滅する
ソ連軍の戦法は、接近戦、指揮命令系統が混乱しても、降伏せず、徹底抗戦
ドイツ軍は、戦車、燃料不足に陥り、兵站の失敗が明らかになる。加えて、バルバロッサの短期決戦の構想が崩れ、独ソ戦が長期化することとなる。これは、ソ連軍が優位になることを意味していた。
ソ連軍は、予備役を呼集し、前線に段階的に投入した
赤いナポレオン、トゥハチェフスキー元帥の用兵思想
現代戦は、激烈な消耗戦であり、それに勝利するためには、無停止の連続攻撃を行い、戦略的な広域レベルで突破を実現することが必要不可欠である
空軍、砲兵、前線部隊の攻撃により、敵の最前線から中間陣地、さらに後方陣地までも、一気に制圧する
砲兵や、前線部隊の手が届かない後方は、迅速に突破した戦車・機械化部隊、空挺部隊が抑え、敵の再編成や予備兵力招致の阻止にあたる
この作戦術は、ベトナムで敗れた米軍の目にもとまり、米軍のドクトリンとして大きな影響力と発展を遂げていく
■ソ連の反攻
3つの反攻策
天王星作戦 スターリングラードのドイツ軍殲滅計画
土星作戦 東部戦線南翼のドイツ軍殲滅計画
火星作成 ドイツ中央軍先端突出部の殲滅計画+木星作戦+海王星作戦
ウクライナ奪回作戦
ドイツ軍のクルスク、城塞作戦 プロホロフカでは、ソ連235両を撃滅、ドイツ3両の損害なるも
連合軍のシシリア上陸への対応のため、ドイツ軍の抵抗はここまでで終わる
バグラチオン作戦
1944年6月~8月のソ連のドイツ反攻作戦、レニングラードから、オデッサにいたる長大な戦線で
ソ連の反攻が始まる
連合国のノルマンディ上陸に先立つこと、ソ連軍は、すでにベルリンにその進路をすすめていた
ドイツを制し、第二次世界大戦を終了させたのは、ソ連軍の功績によるところが大きい
目次
はじめに 現代の野蛮
第一章 偽りの握手から激突へ
第一節 スターリンの逃避
第二節 対ソ戦決定
第三節 作戦計画
第二章 敗北に向かう勝利
第一節 大敗したソ連軍
第二節 スモレンスクの転回点
第三節 最初の敗走
第三章 絶滅戦争
第一節 対ソ戦のイデオロギー
第二節 帝国主義的収奪
第三節 絶滅政策の実行
第四節 「大祖国戦争」の内実
第四章 潮流の逆転
第一節 スターリングラードへの道
第二節 機能しはじめた「作戦術」
第三節 「城塞」の挫折とソ連軍連続攻勢の開始
第五章 理性なき絶対戦争
第一節 軍事的合理性の消失
第二節 「バグラチオン」作戦
第三節 ベルリンへの道
終章 「絶滅戦争」の長い影
文献解題
略称,および軍事用語について
独ソ戦関連年表
おわりに
ISBN:9784004317852
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:860円(本体)
2019年07月19日第1刷発行
2019年09月13日第6刷発行 -
第二次世界大戦といえ自国のことを中心にし知らないことが多い。独ソ戦によっていかに人が死んだか。恐ろしすぎる。通常戦争ならまだ人としての倫理もあるが後に収奪戦争となり、さらに世界観戦争となると地獄そのもの。悲劇としかいえない。
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独ソ戦は通常戦争、収奪戦争、世界観戦争(絶滅戦争)が並行する形で始まったが、次第に世界観戦争の色が強くなり、絶対戦争に変質していった。互いに相手を人間だと思っていないので、捕虜や民間人の扱いも酷いもの。結果として、想像を絶する惨禍となった。
ウクライナ侵攻で、ロシアがやたらと「ネオナチ」を引き合いに出すのは何故だろうと思っていたのだが、ロシアは独ソ戦で膨大な犠牲を払ったことがトラウマとなっているとのこと。但し、ロシアは一方的な被害者ではなく、ナチスと同様に加害者でもあった点を踏まえると、良いように独ソ戦の悲劇を利用しているとも言える。
あと、スターリンによる粛清のせいで戦闘経験のある軍の幹部が死んでしまい、軍が弱体化してしまったという話はちょっと笑ってしまった。。(こんなこと書いたら、私も粛清されそう) -
この本は、明快な軍事的史実を元に、非常にリアルな絶滅戦争の惨禍を描いており、独ソ戦の政治、外交、経済、世界観など多面的な事実を知ることが出来ます。
今読むべき一冊だと思いました。
ぜひぜひ読んでみて下さい。 -
これを読めば第二次世界大戦における独ソ戦の全てが理解出来る名著。
今まで誤解されていた面も丁寧に説明されているので、ドイツの絶滅戦争に関心のある方はこの本から始めるのがお勧めだと思います。 -
2020新書大賞第一位。
失礼ながら、このタイトルにして一位になるのだから、只者ではないんだろうなと予感していたのだけど、非常に分かりやすく読めて驚いた。
「新書でスタンダードな独ソ戦通史を書くという大きな課題が、はたして達成されたかどうか。落ち着かない思いのまま、読者の審判を待つしだいである。」
筆者のあとがきより。
これまで言われてきた独ソ戦史観を改めながら、その「通常戦争」「収奪戦争」「世界観戦争(絶滅戦争)」の三つの目的の輪が、戦局の後半になるに至って「絶対戦争」と化していく姿を論じている。
ヒトラーさえいなければ、ではなく、そもそも独ソ戦の初期設定からして国防軍も噛んでおり、そして見誤っていたということ。
また、収奪戦争かつ絶滅戦争の色合いから、ルール無視の暴虐と報復をお互いに繰り広げながら、戦後ソ連の隠蔽が行われ、オフィシャルな見解までも歪められていたということ。
そのヴェールを一枚一枚剥がしていった時、イデオロギー的勝利って、劣等人種の絶滅って、結局何だったんかな、とポツリと思った。
物資の獲得という目に見える利益だけではなく、思想的な、ヒトとしての優越を得たところで、何が満たされるんだろう。(当然、支配権を持っているという自負?)
不勉強ですいません。
私は2001年に公開された「スターリングラード」という映画が割と印象に残っていて、独ソ連についても、そのイメージと、その後ドイツが分割統治されていくイメージしか持っていなかった。
なので、こういう、ビギナーに優しい一冊は本当にありがたいし、そういった本が脚光を浴びる舞台があって良かったなと思う。 -
歴史上空前絶後の凄惨な戦争、それが独ソ戦。さまざまな思惑とフェーズが入り組んだ、新しい資料から解釈しなおすことで、より解像度を上げて再評価した。
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かねてから第二次大戦のヨーロッパ戦線のことについて少し深く知りたかったので読んでみました。主に戦史として客観的に整理されているので、あまり感情を揺さぶられずに読めたかな、と思いました。
さすがに専門家が書いた(あくまでも一般向けの)本だけあって、戦略、戦術から作戦術という概念からドクトリンを理解したり、戦争を「通常戦争」から「世界観戦争」や「収奪戦争」「絶滅戦争」「絶対戦争」とフェーズを変えて捉えていることが大変学びになりました。
特に独裁者がその非常に個人的な世界観から踏み入れる「世界観戦争」という整理にはなるほど、と思いましたし、同時に本当にげんなりしました(ちょうど今般のウクライナ戦争はこれに当たるかと思います)。戦争というのは人の思惑から始まるので、どんな非合理なことでも個人的な意識の中では収まってしまう恐ろしさがあります。それが収奪〜絶滅戦争へと憎悪が膨らみ、周辺の犠牲が雪だるまのように増えていく様子には本当に恐ろしい人間の業だと思わされます。
こうした過去の惨禍を受け入れず反省せず、学ばない独裁者の真似事をしたい人物が、今の世の中でも国を率いてしまうこと、それを市民が選んでしまうということが本当に恐ろしいです。「独ソ戦」という絶滅戦争の惨禍は、人心が油断したらすぐに再び発現するのだろうと思います。今はその瀬戸際でしょうか。もう踏み入れているでしょうか。 -
第二次世界大戦でも最も悲惨かつ破滅的な独ソ戦を、その背景となる二人の指導者ヒトラーとスターリンの思想面を絡めて描く。
ナチス・ドイツ、特にヒトラーはソ連との戦争を「通常戦争」ととらえておらず、広大な土地を持つソ連からの収奪なくしては経済的にも回らない実情を作り、All or Nothingの破滅的戦いに自ら突き進んでいったこと、そして短期決戦で片が付くとソ連を過小評価していたこと、短期決戦思想ゆえに兵站をまともに考えない作戦だったこと、
ソ連はソ連で、スターリンの大粛清のせいで戦力が激減し、まっとうな軍事作戦の実行にも支障をきたしていながら、各種報告から伺えるドイツの敵対姿勢に目をつぶり序盤の戦争に後手に回ったことがよくわかる。
ヒトラーは「絶対戦争」としての絶滅戦争の一面を捨てきれず、「通常戦争」の軍事合理性を唱える将校が次々と粛清されていく。
両指導者の軍部への不信も相まって、スターリングラードの凄惨な戦いにもつながる。そしてソ連を撃破する力を失ったナチス・ドイツは、転がるように敗勢が濃くなる。
歴史にifを言い出すときりがないですが、大粛清がなかったらドイツはソ連に侵攻していたんだろうか。ナチス・ドイツの経済的背景を考えると避けられなかった気もしますが、序盤の勝利もなく、早々に(壊滅的被害を被る前に)撤退していたかもしれない。しかしナチス・ドイツの短期決戦思想や相手の過小評価、ソ連側の情報戦への無理解は、旧大日本帝国軍をテーマにした「失敗の本質」のようでした。 -
著者は、「はじめ」において、本書は「独ソ戦に関して、史実として確定している事は何か、定説とされている解釈はどのようなものか、どこに議論の余地があるのかを伝える、いわば独ソ戦研究の現状報告を行うことを目的とする。」と述べている。
本書を読んでいくと、通説とその後の研究結果に基づく現状報告について多々記載してあるが、著者は終章において次のようにまとめて述べているので引用しておく。
通説としては、まず、ソ連側であるが
「戦後のソ連と衛星国においては、対独ソ戦の実態は隠蔽された。「大祖国戦争」は、不可侵条約を無視したファシストの侵略を、ソ連邦を構成する諸国民が正面から受け止め、撃退し、輝かしい勝利を獲得して、共産主義とイデオロギーとその原則によって築かれた体制の優位を示したとする公式史観が流布されたのである。
かかる国民の「神話」を維持するため、機密文書の多くは封印されたままとなり、さらに、歴史家までも加わって公式史観に都合の悪い事実に歪曲と隠蔽が施された。」
現状は
「ソ連邦崩壊後の機密文書解除と歴史議論の自由化により、ようやく新資料や新証言による独ソ戦の真相解明が進みつつある。」
一方、ドイツ側においては、
「軍事的な意味でも、ナチ犯罪・戦争犯罪と言う面でも、対ソ戦の責任は、戦後ながらく、死せるヒトラーに押し付けられ、歪められた独ソ戦争が描かれてきた。」
「独ソ戦の歴史は、政治的に利用されてきたし、一面では、現在も利用されている。
例えば、戦後の西ドイツでは、陸軍総司令部は、適切な作戦指導を実行してきたのであり、ヒトラーの誤った決断とマイクロマネジメント的な介入がなければ、戦争に勝っていたとの言説が有力であった。
軍事的にも国防軍は、作戦・戦略的に優越していたのであり、ただソ連の流血もものともしない人的資源の投入と、物質的優位に敗れたに過ぎないとする主張が認められてきたのだ。」
研究の現状報告という点では、
「歴史研究が進み、また、冷戦終結後に国民意識が変化するにつれて、突き崩されていった。例えば、本書で触れたように、ヒトラーのみならず、ドイツ国防軍も、また、軍事的な観点から対ソ戦やむなしと考えていたことをが暴露されたものである。」
「陸軍総司令部が立案した対ソ作戦は、敵の実力を過小評価し、自らの兵站能力を無視した、ずさんなものでしかなかった。ソ連の人的、物的資源の優位は、なるほど、彼らの勝利の一因であった。しかし、独ソ戦中盤以降、ソ連軍は、作戦術基づく戦略次元の優位により、ドイツ国防軍を圧倒したと言うのも事実なのである。」
ヨーロッパ大陸における第2次世界大戦については、ほとんど知らなかったので、本書によつて、多くを知らされ有意義であつた。
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この最新の独ソ戦研究は、例えば、ドイツ人はヒットラーの狂気に振り回されたなどという俗説を完全に否定します。ヒットラーは初めからロシアの資源を収奪し民族を絶滅させ、そこに生存圏を確保するという冷酷で独善的なプランがあり、ドイツ人はその恩恵を目当てに加担していました。桁違いのジェノサイドや捕虜虐殺、ユダヤ人虐殺を引き起こした世界観戦争とは何か。コンパクトにまとめていますが、酸鼻の極み、眼から鱗のオンパレードです。優れているというロシアの用兵思想、そしてそれを踏まえた満洲侵攻の詳細も知りたくなりました。
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通常戦争だけではなく、世界観戦争(絶滅戦争)・収奪戦争という側面から始められた独ソ戦。そのヒトラーの思想により、スラブ民族・ユダヤ人などドイツ人以外の民族を殺戮、占領地から収奪しながら東進。憎悪に燃えるソ連軍もドイツ人を凌辱・虐殺・収奪しながら戦うという、おぞましい戦いが続く。ドイツ国民はナチスに先導されただけであって、ドイツ国民も被害者との言説がくつて流布されていたが、ドイツ国民はナチの恩恵を受けて積極的に参加した共犯という説が今では主流らしい。それを踏まえると、第二次大戦の責任は一般の日本国民にもあるのだろう。戦後の日本人にまで責任を負わせるのは違うと思うが。
ヒトラーのマイクロマネジメントは稚拙であるだけでなく、自分の思想(絶滅戦争・収奪戦争)に引っ張られ、現状を何も認識していない。強い「思想」の恐ろしさが本書でも描かれている。 -
『同志少女よ、敵を撃て』の世界により没入するために購入、並行して読んでいたので、ストーリーに大きく絡む都市や作戦が出てくるたびにドキドキした。
戦争の性格、というものを考えたことはこれまで一切なかったので、ナチス・ドイツにとっては通常戦争に加えて収奪戦争と世界観戦争(絶滅戦争)の3種の特徴を孕んでいるものだったという解説は、独ソ戦の理解を深めるうえでのキーポイントだった。
歴史を知ることは楽しい。すべてが今に繋がっているのだとしみじみ思うし、今起きていることを知る手がかりは結局、歴史にしかないのだ。それにしてもロシアなぁ……はぁ。
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