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Amazon.co.jp ・本 (212ページ) / ISBN・EAN: 9784004317920
作品紹介・あらすじ
「短篇小説を書こうとする者は、自分の中に浸みこんでいる古臭い、常識的な作法をむしろ意識して捨てなければならない」。その言葉どおりに数かずの話題作を生み出してきた作家が、ディケンズら先駆者の名作を読み解き、黎明期の短篇に宿る形式と技法の極意を探る。自身の小説で試みた実験的手法も新たに解説する増補版。
感想・レビュー・書評
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短編小説の名手である筒井康隆による短編小説の形式や手法の極意が述べられている一冊。今では古典として扱われている海外の名作短編を取り扱っており、作家がどのような思考をもとに作品を創作したか、理解することができた。短編小説の黎明期にあたって、海外の作家が道を切り開く軌跡をたどることができた。
世界的な作家も、作家人生のなかで一生に一度しか書けないほどに、生涯の代表作となる短編小説を作るというのは大変であることを痛感した。
現在の日本の文学に向けて提言もなされており、非常に興味深い内容となっている。
30年以上前に書かれた短編小説の創作論が、30年のときを経て、加筆修正により、新たに筒井康隆本人の作品を取り上げた章が加えられている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スラップスティックのところ、すごい面白かった。ということは、増補版以外のところは一回読んでるのかもね。いやしかし文章がいいよね。何様ってコメントですが。
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短編小説の味わい方を教えてくれる。タメになった。
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読む側にとって短編小説は1話完結のドラマを見るようなもので気楽なのだが、そうか、書き手にとってはそんな厄介なものなのかと態度を改めたくなった。例に挙げられていたのは読んだことのない作品が多く、ネタバレされても是非読んでみたいと思うものばかりだった。
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かなり前に書かれた筒井さんのこの小説執筆論が、令和の時代に小説家になろうとする人間に、とても参考になる。
昨今、小説投稿サイトの増加などに伴い、小説を書く人は激増している。新人向けの小説コンテストも多く、規模の大小を問わなければ、投稿できるコンテストは毎月十件くらいあるのではないか、と思う。
そのような環境の中で、短編小説のあり方はまさに多様化していて、筒井さんが言う「小説は自由だ」との主張は説得力を増している。
この本で紹介されている事例は海外作家のものが多いがゆえに、短編小説における様々な試行錯誤の事例が、テーマ選定、文章の構造の斬新さ、という視点に偏っていることは否めない。
令和時代における国内短編小説のカンブリア爆発的多様化は、日本語の特性をフル活用した文体の多様化に負う部分が大きいのではないかと思うが、そのような事例の紹介はない。
とはいえ、「何を書くか」「どう書くか」のそれぞれの軸において、小説はなんでもありの自由なものである、という主張はそのまま流用可能である。
つまり、この本の講義の内容は、具体例としては少し古いかもしれない。だが、短編小説論としては最前線に返り咲いているのだと思う。 -
901-T
閲覧新書 -
筒井康隆といえば気の向くまま、筆の赴くままに大量の作品を生み出し続けてきた印象があるが、しかし本書ではその実、短編小説を書くためのテクニックや心構え、文学界の課題意識について綿密な考察を披露する。紹介されている短編小説とセットで読みたい一冊。
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あれこれ考えすぎて、頭でっかちになってる人、袋小路にはまっている人には、筒井先生のような方に、何を書いてもいいのだ、決まりなんてないのだと言われると少し気が楽になるだろうが、それは裏を返せば誰にも真似できない自分だけの個性を見つけろと言われているのではないか。要するに優れた作品を書くのに近道や決まったルールはなく、ただただ唯一無二の個性を求めて書き続けることが大事だという事ではないか。
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短篇小説を書く指南書を想像していたら、そんな甘いものではない。著者の理想は「孤高に存在し、誰にも真似られることのない短篇小説。つまりその独特な形式も技法も、ただその短篇小説だけにしか通用しないという短篇小説。そのためにはその独特な形式と技法がそのテーマや内容によってしか生かされず、他のいかなるものにも応用のきかない短篇小説」。
才能ある作家でも一生に一度しか書けない、遥か高みのハードルを呆然と見上げてしまう。
テキスト短篇の中、読んでいたのは「アウル・クリーク橋の一事件」とボーナス・トラック「繁栄の昭和」のみ。
「二十六人の男と一人の少女」はメルヘンのようで興味を引かれた。「爆弾犬」は巧みな紹介に頬が緩んだ。 -
2021年7月15日読了。筒井康隆による短編小説の講義。「こうすればキミも面白い短編小説が書ける!」という安易なものではなく、圧倒的で模倣もできないような短編小説を紹介し、その技を堪能し、「名作を学び親しみ、それを超える作品を生みたいと願う苦しみ」をみんなで味わおう、と呼びかけるような本。取り上げられている6篇の短編は確かにどれも抜群の切れ味を持つ作品で、筒井氏による著者紹介の面白さも相まってどの短編も本できちんと読んでみたくなる…。「一生に一度、大傑作が1篇書ければそれで良い」というのは随分きびしい物言いのようにも聞こえるが、才能のある作家が一生をかけて全力で1篇1篇の短編に挑んだとしても、実際そんなもんなのかね…。運とかタイミング、時代もあるし、不朽の名作を生み出す、ということはかくも難しいことだ。
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創作者ならでは視点が興味深い。短編小説と長編小説、戯曲との違いなんてあまり考えたことがなかったなぁ。
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小説を読むくらい面白い。繁栄の昭和を読み直そう。
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f
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本来小説は何を書いても良い最も自由な形式の文学であったが、近年(これが出版されたのは1990年)短篇小説が「お稽古事」とかし、決まりやルールを守ることが重要視されいる。では決まり事も何もなかったはずの短篇小説が生まれた当時の短編はどうやって生み出されたのか。それを探るため、岩波文庫の短編集を虚心に読み返し、自分の鑑賞眼のみで小説を批評し、その作品が何もルールのないところから生み出されたのか、それとも既存の詩や戯曲の影響を受けていたのかを探る本である。
それぞれ短編を上げて、テーマや技法について論じるが、テーマはそれを語る作家の数だけあるわけで自然と話は技法に向く。
紹介された短編で既読なのは「アウルクリーク橋の一事件」のみ。他の本は知らないが、この本を短篇小説の紹介本の視点で読むと、いづれも興味深い作品で読みたいと思わせる。
短篇小説講義の表題にもっともかなっていたのはエンタメの技法を解説したローソン「爆弾犬」だろう。ギャグの解説はともすれば寒くなりがちだがこの爆弾犬は解説越しでも面白い。
今回の増補版で追加された筒井康隆自身の手による短編「繁栄の昭和」は、この解説がなければ自分の経験からでは十分に読み取れなかっただろう。戦後数十年の高度経済成長期も、江戸川乱歩に親しんでいたわけでもないからだ。この一篇はたしかに解説に足る新しさと現在的かつ普遍のテーマを扱っていて面白い。解説のおかげで知識不足でも楽しめた。 -
私が中学生のころ、最初に手にした「短編小説」といえば「星新一」さんか「筒井康隆」さんの文庫本でした。その後はお二人の作品はほとんど手に取らなくなってしまいましたが・・・。
この本も、図書館の新着本のコーナーにあったものです。正直なところ、大宗を占める外国作家の作品を材料にした講義内容はほとんどピンときませんでしたが、最後の筒井さんご本人の作品の解説に至ってようやく少しは頭の回路がつながってきたような気がしました。はるか昔、触れたことのある展開やエンディングだったからかもしれません。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1792/K
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