ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2019年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (318ページ) / ISBN・EAN: 9784004317937

作品紹介・あらすじ

ニューヨークを飛び出し中西部に広がるラストベルトへ。再訪のロードトリップで見えてきたトランプ王国のその後を追う。都市と地方の中間に位置し揺れる「郊外」、さらには深南部(ディープサウス)に広がる熱心なキリスト教徒の多い「バイブル(聖書)ベルト」へ。4年半で1005人に取材した真のアメリカがここに。

感想・レビュー・書評

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  • トランプ大統領を支持した人々の生活する街をめぐり、様々な人から話を聞く。

    単純に旅とともにある取材の様子が生き生きと描かれており、すごく面白かった。
    トランプ前大統領は演説の言葉も荒々しく、なかなか個性的すぎる人物だっただけに、なぜ支持を受けているのかという点は非常に興味があった。

    また、これだけ個性的な人物が大統領となっても堅持されている政策もあり、アメリカという国がどのような国家なのかも改めて興味を持って眺めることが出来たような気がする。

  • 「ルポトランプ王国2」金成隆一著、岩波新書、2019.09.20
    303p ¥1,034 C0236 (2024.08.23読了)(2024.08.16借入)
    副題「ラストベルト(rust belt)再訪」(赤錆地帯)
    2016年のアメリカ大統領選挙でトランプさんが当選しました。この本は、その3年後に出版されたものです。トランプさんはなぜ当選できたのか。当選後の実績の評価はどうか。次の選挙にも勝てるでしょうか。
    有権者の望んでいることを上手に探り当てて公約に盛り込んでいたんですね。働く場所の確保、選挙は自己資金でやる、メキシコからの不正入国は国境にフェンスを作って防ぐ、フェンスをつくる代金はメキシコに出させる。アメリカの不利なTPPからは離脱する。
    対抗馬のヒラリー・クリントンが嫌いだからトランプ氏に投票したとかヒラリー氏がどうせ当選するだろうからと投票に行かなかった、ということもトランプ氏に有利に働いたようです。
    当選後の評価については、公約通りよくやっているという評価が結構多いようです。
    もちろん、効果が実感できないとか、メキシコ国境のフェンスの代金をメキシコに出させてない。大統領のスタッフを気に入らないからと言って次々と懐妊している、というようなことで批判的な人たちもいます。
    2020年の選挙では、トランプ氏はバイデン氏に負けてしまいました。2016年の選挙でも総得票数では、ヒラリー氏のほうが勝っていたので、ヒラリー氏への批判票やヒラリー氏が勝つだろうから投票に行かなかった人、白人以外の人たちに投票機会を与えることによってバイデン氏が勝利したということでしょう。
    2024年の大統領選挙はどうなるか。トランプ氏はお金がないので自己資金では戦えません、したがって大口支援者に対しては、自由な政策が打てません。メキシコ国境のフェンスはバイデン氏でも作れました。トランプ氏の敗北でしょうね。今度は敗北したら大統領権限は使えないので反乱を先導したら、刑務所行きですね。
    イ―ロン・マスク氏やロバート・ケネディジュニア氏を取り込んでますが、自分が目立つことを優先するので、いずれ顕川涸れでしょうね。トランプ氏は、中学生みたいだ、と誰かいってました。

    【目次】
    はじめに
    プロローグ―就任式へ、ラストベルトから山を越え
    第1章 新たなブラック・マンデー
    1 就任式
    2 トランプ凱旋集会
    3 地元の民主党トップと飲みに行く
    4 果たされない約束
    第2章 3年後の「王国」再訪(ロードトリップ前半)
    1 ペンシルベニア州ルザーン郡
    第3章 次もトランプで決まり(ロードトリップ後半)
    2 ペンシルベニア州ウェストモアランド郡
    3 ペンシルベニア州ワシントン郡
    4 オハイオ州マホニング郡
    5 オハイオ州メダイナ群
    第4章 郊外で「王国」に揺らぎ?
    1 中間選挙でのスイング
    2 郊外の象徴「レビットタウン」
    第5章 帰還兵とアメリカ
    ロングインタビュー①どうしちまったのか民主党? トマス・フランク
    第6章 バイブルベルトを行く
    1 アラバマ州北部
    2 ルイジアナ州からテキサス州へ
    ロングインタビュー②アメリカン・ドリームという『物語』を生きる右派 アーリー・ホックシールド
    第7章 もはや手に入らないアップルパイ
    エピローグ―クリスマス、ラストベルトから山を越え
    おわりに

    ☆関連書籍(既読)
    「ルポ貧困大国アメリカ」堤未果著、岩波新書、2008.01.22
    「ルポ貧困大国アメリカⅡ」堤未果著、岩波新書、2010.01.20
    「ルポトランプ王国」金成隆一著、岩波新書、2017.02.03
    (アマゾンより)
    ニューヨークを飛び出し中西部に広がるラストベルトへ。再訪のロードトリップで見えてきたトランプ王国のその後を追う。都市と地方の中間に位置し揺れる「郊外」、さらには深南部(ディープサウス)に広がる熱心なキリスト教徒の多い「バイブル(聖書)ベルト」へ。4年半で1005人に取材した真のアメリカがここに。

  • 外交史やってる人間からすると、
    アメリカの国内問題ってどうしても
    忘れられてしまうエリア。
    アメリカの内政の歪みを垣間見れてとても面白かった。

    「トランプは原因じゃなくて結果」
    そんな事を言う人がいたけど、本当に納得する。
    一人一人に分析できてないから大方の選挙予測ははずれたわけで。

    移民の問題とか日本にも起こりうるし、
    イギリスはアメリカと同じような様相だし、
    なぜトランプは生まれ、支持され続けているのか、
    を人に焦点当ててるこの本は一読に値する

  • 332P

    こんな凄いアメリカを知れる本がKindleUnlimited読み放題で読めるなんて。ニューヨーク、ロサンゼルス、フロリダ、ハワイ以外の本当のアメリカのリアルを知る日本人はどれぐらい居るんだろう。 #読書 #KindleUnlimited

    金成隆一
    茨城県出身。2000年朝日新聞入社。2005~09年の大阪社会部ではトラック運転手の同乗ルポや事件の取材に没頭。2009~10年米国留学。2011年に社会部に戻ると、東日本大震災を機に米公文書館に通い、1950年代の米政府の対日本「原子力平和利用」政策を調査報道。その後、教育担当になり、オンライン教育の急速な発展を米国やモンゴル、ドイツで取材。2014~19年ニューヨーク支局員として国連本部や米社会を担当。戦闘部隊の強化など、変容する国連平和維持活動(PKO)をコンゴ民主共和国から報道。2016年大統領選では前年からラストベルトに通い、草の根のトランプ旋風を伝えた。2019~20年は東京経済部で通商政策を担当。2020年3月に機動特派員になり、米大統領選を取材。2021~23年は欧州総局員(在ロンドン)として、ロシアの軍事侵攻を受ける前後のウクライナや英イングランド北部の社会を取材。帰国後の23年9月から2年間は大阪社会部でデスク勤務しました
    第36回大平正芳記念賞特別賞(『ルポ トランプ王国』『ルポ トランプ王国2』で)
    2018年度ボーン上田記念賞(大統領選など一連のアメリカ報道で)
    第21回坂田記念ジャーナリズム賞(「教育のオープン化」報道で)
    仕事で大切にしていること
    いまいち理解できない現象について、現地取材を通して、自分で考えて、背景や構造を伝える努力を大切にしたいです。


    「とはいえ、トランプ政権で支持できない点はないのだろうか。そう質問すると、しばらく考え込んで、こう答えた。「オレはマティスを信頼も尊敬もしているから、トランプのシリア撤退の判断が正しいのかどうか、わからないな。必ずしもアメリカがシリアにいなくてもいいとも思うし、中東全域に展開しなくてもいいと思うけど、でも米軍がいなくなったら何が起こるのかも気になる。でも、それぐらいだよ」。マティスは撤退に抗議して国防長官を辞任すると表明したばかりだった。  そうなると 2020年の大統領選では、やはりトランプの再選を支持するのだろうか。  「トランプの経済政策がこの地域で正しいということについては、まさにオレが生きた証拠だよ。トランプは最高だ。転職は正しい判断だった。トランプがあと 6年やってくれれば助かるよ。人々が財布と相談して投票するのであれば、彼が負けるわけがない。(元大統領の)ビル・クリントンが再選できたのだって景気がよかったからだよ」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「当初、私はトランプが何をやらかすかわからないと、少し怖かった。でも今は彼が好きです。彼は本心を口に出す。普通の政治家はそれをしないでしょう?  政治家は、問題を避けてうやむやにするが、トランプは政治家ではない。太っている人には「太っているから減量した方がいい」と言う男だ。トランプが大統領になって以降、私は以前よりも政治に関心を持つようになった。どの時点でそうなったかわからないけど、確かなのは、次回の選挙では彼に投票するということです」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「 「そうやって両親に育てられましたし、これがアメリカの歴史です。誰もが、必死に働けば成功できる。これがアメリカです。ネイティブ・アメリカンでない限り、誰もが移民か移民の子孫です。その意味では、今も移民を私は尊重しています。ただ、違和感を覚える点があります。かつての移民は、アメリカ人になりたくてアメリカに移り住んできました。移住してアメリカ人になったのです。ところが、この 3、 4年の現象でしょうか。移住してきたのに、その後もメキシコ人やアラブ人として生きている移民がいる。とてつもない違いです。この国の成り立ちは、そうではない。イタリアやドイツ、ポーランドからやってきた移民の第一世代は、片脚はアメリカにあっても、もう一方の脚は出身国の文化に残していました。でも子ども世代には英語を覚えさせ、アメリカ人として育てた。なぜならば、アメリカ人になることが移り住んだ動機であり、それが成功の機会を得ることだったのです。ところが今、英語を学ぼうとしない人が多い。アメリカ社会に同化しようとせず、出身国のルールを持ち込もうとする。だったらなんでアメリカにいるのよ?と思います。理解できません」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「キャサリンの娘はブルック・バンポペレン( 39)。保守的な母キャサリンに育てられ、地元の大学を卒業したが、その後はシカゴ( 4年間)、ニューヨーク( 10年間)、ロサンゼルスと都市間の引っ越しを繰り返した。大都市を転々とするうちに、「気付けば、母とは真逆のリベラル派になっていた」。やけにしゃべるのがうまいなと思っていたら、本職がコメディアンだった。数年ほどテレビ番組の司会も務めたという。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    金成隆一『ルポ トランプ王国2』読んでる。前著に続いてたいそう面白い。やはり大手新聞社の取材環境とエース級の人材の取材能力はたいしたものだ。

    「ルポ トランプ王国2」ですが、
    ・アメリカの(地方の)保守派に共通するエートスとは?
    ・どうして享楽的で不道徳なトランプが福音派の支持まで取り付けられたのか?
    ・中道リベラルの凋落の要因とは?
    ・アメリカにおける小さな政府とは?
    といった疑問への一定の答えが得られる名著でしたね。

    あれらの候補者が排外主義者のポピュリストであることを知らないのではなく、排外主義者のポピュリストであるからこそ投票したんだろう、ということはもっとわかられていいと思う(わかりたい人は岩波新書の『ルポ トランプ王国2』を日本や東京や大阪に置き換えて読んでみてください)

    金成隆一さんの「ルポ トランプ王国2」を読んだ。とても面白かった。リベラル以外ありえない、大学という環境にいると分からなくなるアメリカの難しい問題について、学者ながら客観的に見れていなかったことを反省。うちの妻は彼女の地元の職場で経験したことと被っていて特に驚きはないみたい。

    金成隆一『ルポ トランプ王国2』(岩波新書)
    正直日本の政治もかなりアメリカに似てるな〜と思った。リベラルが弱いのはどうしてもインテリ特有の不勉強な人間軽視の傾向のせいなんだろうな……と反省。

    『ルポ トランプ王国2』で、「LGBTがどの便所に入るかも重要な問題かもしれないけど、明日の自分が飯を食えるかの方が大事なんだ。だからトランプに投票した」って話があって、まさにそれが日本で起こりつつあるという話。 x.com/hiroko_TB/stat…

    「特にツイッターはひどい。メンタルが安定しなていない。子どものようにわめきちらしているだけだ。大統領らしくない。それどころかプロフェッショナルでもない。僕が同じことをやれば会社をクビになる」(金成隆一『ルポ トランプ王国2』117p、オハイオの会社員の話)

    『ルポ トランプ王国2』読了。後半でなぜ米民主党は労働者の党であることをいつしかやめていった理由が興味深かった。そしてアメリカの分断は想像以上なんだなって。この本が書かれたのは2019年の半ばでここからアメリカはコロナに突入するというさらなる混乱が待ち受けるとかハードモードすぎる

    「ルポ トランプ王国2」で、登場するトランプ支持者の多くが仕事に誇りをもち面倒見の良い人達で、決して特異・異常な人達ではない。
    そんな人達が既存の政治家に絶望してトランプ支持をせざるを得ない状況というのは今の日本にも当てはまりそうですね・・

    岩波新書『ルポ トランプ王国2』を読破。トランプのプロレス・格闘技エピソードがなかったのが残念、というのは冗談で、地方に生きるアメリカの人々の声を丁寧にすくいあげていて面白い。日本人の知らないアメリカが見えてくる。
    トランプ当選という大事件は、決して偶然ではなかったんだなあ‥。

    「私の雇用よりセクシャルマイノリティの便所の話ばかりしてる」「リベラル派が重視する争点は選挙ではメインではなくサイドディッシュ」とか名言が飛び出まくるのでめちゃくちゃ面白い
    ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書) amazon.co.jp/dp/4004317932/…

    アメリカの物価高を経験したうえで帰りの飛行機内で朝日新聞の金成隆一氏が書いた『ルポ トランプ王国2』を読んだけど、向こうのリベラルが労働者から支持を失っていった過程がまんま我が国と一緒だった…。それと朝日新聞記者×岩波新書って組み合わせでも良書あるんだなあと。

    「 「今は政治に関心を持つことが困難な時代です。 82歳になるけど、こんなのは初めての経験です。私はよい市民になろうと努めてきた。選挙日の直前に娘が転倒して足を骨折したときも、何とかして投票所に連れて行ったほどです。でも、今の政治には心をかき乱されるので、なるべく政治の話題が耳に入らないようにしている。共和党一家で育ちましたが、私はあの男(トランプ)が好きではない。信じられる人物ではない。誰か別の人に勝ってほしかった。彼と、そのスタッフがホワイトハウスにいる映像を見ていられない。悪い言葉ですが、あまりに不快だからです。部下を解雇することを楽しみ、やっている政策は企業優遇。私の信念体系に反することばかりです。ウソつきは嫌いです。なるべく視界に入れたくないのです」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    岩波新書『ルポ トランプ王国2』
    アメリカの様々な地域を回って人々の声に耳を傾けている。
    アメリカ社会を理解するのにもってこいの一冊。

    ふと思ったけど、これの日本版みたいなやつって意外と少ないのでは。他国だからこそフラットな視点で取材ができているのかも。。

    「 「そもそも戦地のことは思い出したくも、話したくもないから、ずっと考えてこなかった。戦争映画を平常心で見られないことぐらいは気付いていたけど、これが病気( PTSDの影響)とは思っていなかった。若い頃は女の子とのパーティーや酒のことで頭がいっぱいだろ?  仕事だって忙しいし、家庭を持てば子育てにも忙しい。でも歳をとると、じっくり考える時間が増える。ヘルニアや糖尿病の症状が出るようになって、「なんで突然こんなことになった?」と考えるようになる。そして、それらが枯れ葉剤に起因する症状だということに気付いた。中には、なんとなく症状に気付きながらも申請しない者もいるし、そもそも申請できるということを知らない者もいるんだ」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著


    「だ。「トランプが誰に何を言われても引き下がらないところは好きだ。あんなタイプの大統領は見たことがない。でも日々の言動には大統領らしさがない。だから点数をつければ 60点だな」  でも一つだけ明確に支持するものがある。トランプが表明した、シリアからの米兵の撤退方針だ。「(シリアの混乱は)そもそもオレたちには関係ないと思う。他人の家庭の夫婦ゲンカに口出ししないだろ?  それをやっている気がする。アメリカは海外の問題に首を突っ込みすぎている。それにトランプによれば、イスラム国( IS)の影響力を排除したんだろ?  じゃあ、もういいじゃないか。ベトナムのように米軍が撤退した後に挽回されることは心配だけど、若い米兵が早く自宅に戻れるようにしてやってほしい」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「長い時間を要したが、民主党は目標を達成した。ここはメリーランド州のモントゴメリー郡ですが、米国の最も裕福で、高等教育を受けた人々が多い街です。この街は 20年前までは共和党支持が強かったが、今ではすっかり民主党優勢。同様にカリフォルニア州オレンジ郡も共和党だったが、今ではヒラリーを勝たせるまでになった。全米の傾向です。民主党は、勝ちたいと思っていた地域で実際に勝てるようになった。幸せなのです。裕福な、高等教育を受けた人々の街で強い。専門職階級が民主党を支持しているのです。一方で、白人の労働者階級は少しずつ民主党を離れ、共和党支持になりました。──つまり、民主党は望んで今の姿の政党になった?  そうです。この変化を、民主党の上層部は「勝利」と捉え、とても喜んだ。達成したのがビル・クリントンで、彼は「ニュー・デモクラット」と呼ばれた。もう古い民主党ではなくなり、伝統的なスタイルとは縁を切った。クリントンは黒人指導者ジェシー・ジャクソンを中傷した。さらに NAFTAを巡って労組を裏切った。労組は徹底的に自由貿易協定に反対だったが、クリントンは突き進んだ。クリントンは金融業界の規制緩和もやった。ある意味で、共和党のレーガン政権より規制を緩和した。クリントンは、減税や規制緩和の面で、レーガンのアジェンダを完遂した。要扶養児童家族扶助( AFDC)と呼ばれる福祉プログラムもクリントンが廃止した。共和党がずっと廃止したがっていたプログラムだったが、長年できなかった。「リベラル国家」への打撃を、クリントンは共和党政権よりも激しく加えた。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「トランプは賢い。ワシントンの夕食会に出ると、多くの人が「トランプはバカなのか、賢いのか?」と困惑しています。トランプのツイッターなど言動は明らかに愚か者です。演説を聞いても、英語に親しんでいる様子はない。でも、打ち出す姿勢は政治的には賢明です。対中国の貿易戦争などが好例です。自由貿易の方向を反転させています。決着はついていませんが、少なくとも選挙集会で「皆さんのために中国からこんな譲歩を獲得した」と言えます。やるふり、やったふりがうまい。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「 私はトランプを痛烈に批判してきましたが、彼の姿勢で真に新鮮なのは、そうした「不可避論」を破壊したことです。支配階級の代表だった(元フロリダ州知事)ジェブ・ブッシュを倒し、ヒラリー・クリントンも退けた。彼は 2大政党の支配層を破壊した。民主党の候補者を見ていると、クリントンの系譜が弱まっている。多くが、サンダースのような口調で話し始めている。共和党は混乱中で、とりあえずトランプのマネをしている。何もかもが(定まらずに)宙に浮いている。もはや規定路線などない。すべてはトランプ勝利が引き起こした変化です。誰もが大統領になると思っていた、その意味で「不可避」だったヒラリー・クリントンが負けたのです。ニューヨーク・タイムズがヒラリー勝利の確率を 9割超としていたことを忘れてはいけません。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「トランプ政権が全米支持率で 4割前後、共和党支持層でおおむね 8〜 9割を維持できているナゾを探るには、岩盤とも呼べる強固な南部州の支持者にも会いたい。  いったん選挙戦が始まると、記者はなかなか南部州に行けない。保守的な南部州では、共和党候補が当然のように勝つ。勝敗が最初から見えているので、どうしても取材の優先順位が落ちてしまうのだ。特に深南部では近年、共和党候補が圧倒的に強い。  深南部がどの州を指すのかは、いろんな定義があるが、一般的にアラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ、ジョージアの 4州は含まれる。過去 10回の大統領選では、アラバマ、ミシシッピで共和党候補が全勝。ルイジアナとジョージアでも 10回のうち 8回は共和党候補が勝った。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「白人の割合が高い。もちろん南部州は黒人も多く、アラバマ州の白人比率は 65%にとどまる。しかし、私が取材したアラバマ州北部を郡別に見ると、ウィンストン郡 94%、カルマン郡 92%、マリオン郡 92%、ウォーカー郡 89%、ブラウント郡 87%と跳ね上がる。トランプが圧倒的に支持されたのが、この白人エリアだ。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「ニューヨークで6月に行われるパレードでは、大勢の人々が「誇り高き LGBTQ」などのプラカードを掲げて五番街を堂々と歩く。中高年の参加者は、自らの幼少期の頃から今に至るアメリカ社会の歩みを「進歩」として感慨深げに語る。企業は山車で参加し、多様性を大切にする企業姿勢を熱心にアピールする場になっている。  こんな特別なイベントの時だけではない。同性の 2人が手をつないで歩き、路上でキスする光景は日常的なものになっている。都市部に住んでいると、そんな変化を全米が「進歩」として歓迎していると考えたくなるが、実際は不満を募らせている人々は少なくないのだ。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「私は同性婚を信じません。神は男と女を創造しました。男性 2人や、女性 2人で赤ちゃんを誕生させることはできない。神は男女を創造したのですから、婚姻は男女間のものであり、男性同士や女性同士のものではない。同性婚が正しいと思いません。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著



    「 「私たちはアメリカ人だというのに、フランス語を話すということで蔑視され、とにかく他の米国社会から信用されていなかった。祖先はカナダから移住した時、迫害されて各地を転々としてルイジアナにたどりつくと、今度はインディアン(原住民)にも追い出され、最後はルイジアナ南部に落ち着いたというわけです。この辺りには仏語圏の姓が多いのはそのためです」  いくつか具体的な姓をあげてくれたが、聞き慣れないためメモもできなかった。いまアメリカで人種差別といえば、アフリカ系やイスラム教徒、ヒスパニック系が被害を受けるケースが多い。ただ、歴史を通して見れば、フランス系の白人が差別の対象だったこともあったのだという。「両親はシェアクロッパー(小作農民)でした。子どもの頃、母は農場でいつも働いていた。隣人は黒人で、やはりシェアクロッパーの一家。母は私をその黒人一家に預けて仕事に行く。私は人種的に多様な地域で育ったので黒人に対する偏見なんて、これっぽっちもない。そもそも知っていますか?  ケイジャンである私たちこそが「ホワイト・トラッシュ」と呼ばれてきた。「レッド・ネック(赤い首)」や「クーンアス( Coon-ass,アライグマのケツ野郎)」とも呼ばれていた。まあ、私はケイジャンであることを誇りに思っていますがね。この国では、どの人種にもひどい呼び名があるんですよ」  そう言うと、大きな声を出して笑った。ちなみに最後の「クーンアス」。私は初めて聞いた。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著


    「 「私は地元高校を出ました。 1968年、ビダー出身の最初の妻と結婚しました。製紙工場で働き始めました。引退するまで 39年間、溶接工一筋の人生でした。なぜ製紙工場かって?  向こうが私を選んだんです。製油所にも複数の願書を出したけど、製紙工場から先に来いと言われた。その 2週間後に製油所からも OKが出たけど、もう仕事をしていたからね。そんなもんですよ、当時は。仕事はいくらでもあった。給料は製油所の方が良かったけど、私は製紙工場に残った。すると最後は製紙工場の方が高くなっていた。引退時、私の時給は 28ドル。大きな金額です。私は超過勤務をたくさんやったので 10万ドル以上の年収がありました」  確かにウッディーの自宅は、手入れの行き届いた立派な一戸建て。数万ドルはするであろう大型ピックアップトラックが駐車場にあった。ミドルクラスの暮らしを手に入れたのだ。  忘れる前にノートに名前を書いてもらおうとお願いすると、ウッディーは「もちろん、でも私の手はうまく動かなくてね、書くのが苦手です。無理な仕事ばっかりやってきたもので。両膝も人工です。かかとは 5回も手術した。働き詰めの人生です。身体を酷使する仕事ばかりで、あちこち壊しました」  「製紙工場では、もちろん組合に入ってました。それは普通のことだった。工場は当時とても組合の強い職場で、昇給で交渉もするし、労働者を守る活動もしていた。周囲には組合指導者がいっぱいいて、たくさん議論しましたね。何か問題に気付くとね、私なんかが暴れるんですよ。とても活発でした」「根っからの組合員ですから、かつては民主党員でした。党の会合にも出席していたぐらい。ところが地元の郡政委員の選挙でね、最初に応援していた民主党候補が予備選で負け、もう一方の民主党候補を応援する気になれなかった。対立候補の共和党候補の方が私の考えに近いからです。だから共和党候補の支持に変えたんです。党に忠誠を誓ったつもりはないし、私はどこまでも個人ですからね。ところが民主党の地元幹部は怒っていましたよ。私を呼び出し、「共和党候補に投票するのはかまわないが、あんまり目立たないでくれ」なんて言う。だから私は民主党の会合で言ってやった。「私はまずアメリカ人であり、次に民主党員だと。それが理解できないのなら、私は二度と民主党に戻らない」とね」」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「 私の著作は右派についての「報告」ではなく、彼らの感情を言葉にした「翻訳」です。翻訳することで、彼らの感情が当事者以外にも認識可能になります。翻訳しないと、彼らの「感情」に基づく行動を理解できず、彼らがモラルに反する人々に違いないと思うでしょう。彼らにも全ての人と同じようにモラルがあります。ただその奥底にあるものが違うのです。右派の人々が、自分の人生をどのように感じているのか、右派の人々の感情に興味を持ちました。 5年間かけて、多くの声に耳を傾け、彼らの心の奥底に横たわる物語、「ディープ・ストーリー」を見つけました。彼らに共通する感情を抽出し、どんな比喩を使えばうまく表現できるかを考えました。その比喩とは、本人も自覚していない、夢のような物語です。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「 あなたは山の上へと続く長い行列に並んでいます。遠くの山頂にアメリカン・ドリームがある。でも、なかなか列は前に動かず、夢を達成できない。行く手を妨げているものが何かも見えない。グローバル化(による製造業の海外流出)なのか、オートメーション化(による雇用の喪失)なのか、わからない。あなたはじっと待つ。両足は疲れてきている。勤勉に働いてきたし、ルールにも従ってきた。誰かをうらやんだり、誰かにひどいことをしたりもしてこなかった。あなたは自分にもアメリカン・ドリーム達成の資格があると感じている。  そんな時に、誰かが前方で行列に割り込んだのが見えた気がしました。ディープ・ストーリーの第 2幕です。おかしなことが前方で起きているように感じました。きちんと順番を待ちなさいと幼少期に教わったのに、それに反したことが起きた気がした。黒人や女性に対し、積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)などで、歴史的に阻まれていた雇用や教育への機会が用意されました。その結果、白人や男性はしわ寄せを受けた。続いて移民が行列への割り込みを始め、難民も加わり、公務員も横入りして必要以上の厚遇を受けているように見えた。しまいには海洋汚染の被害を受けた、油で汚れたペリカンまでもが環境保護政策によってヨタヨタと行列の前の方に加わり始めた。「(寛容を説く)リベラルの連中は、行列の後ろで不当に待たされている私たちより、動物を優先しているぞ」と感じたわけです。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「では、どういう時に彼らは自分を誇りに思えるのか。「私は南部人だ」はうまくいかない。南部人は軽蔑されていますから。「私はキリスト教徒」というのも小さな街でしか通用しません。「私は伝統的な暮らし方を尊重する。女性の居場所は家庭です」もダメです。現代では女性のキャリア形成が脚光を浴び、彼ら自身が配偶者の収入に頼っている部分もあります。「異性結婚していること」に誇りを感じることはできるか?  同性愛者も結婚する今、「同性愛は誤り」という考え方は軽蔑されており、そんなことを口に出せば罰を受けたかのように感じるだけでしょう。「手に職をつけること」に誇りを感じられるだろうか?  いや、最近の人々は「学位をとりましょう」と言います。であれば、「白人であること」を誇りにできるだろうか?  早晩それも通用しなくなる。今日のアメリカの 6歳児では、既に白人が過半数を割っています。彼らのアメリカン・ドリームとは、それらを含む、失われたものの回復。だからトランプは「米国を再び偉大にしよう」と叫び続けた。この言葉に、彼らは過去の復活を重ねています。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

    「 私は、トランプ本人ではなく、問題の多いトランプを支持する現代アメリカに興味があった。「なぜ支持するのですか?」「高校を卒業後の半生を語って下さい」「アメリカ社会の現状に満足ですか?」。ラストベルトなど地方を訪れ、そんな質問を繰り返した。   2015年 11月に本格化した取材は、トランプ当選を経て、私のニューヨークでの任期が切れるまでの 3年半に及んだ。取材者リストは、トランプ支持者だけで約 450人に膨らんだ。「なんで日本人記者がここにいるんだ?」。そんな質問を何度も受けた。「街が気に入った」「市井の人々の声を通して、私のアメリカ理解は深まっている」と答えた。彼らは不安や不満を語り、取材への助言もくれた。本書第 5章の帰還兵への取材は、そんな助言がきっかけだ。」

    —『ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪 (岩波新書)』金成 隆一著

  • ラストベルトから新南部まで、トランプ支持者の当選後の話を聞いて回ったルポ。
    民主党支持からトランプ支持に変わった労働者の多くは、トランプの政策を支持して、次もトランプに投票するという意見が多いようだ。
    民主党が労働者の意見に耳を傾けなくなってしまい、エスタブリッシュメントな人達の政党になってしまった事がその大きな要因と思われる。
    左派の候補者の政策は極端で、民主党主流派の支持は得られず、サンダースではトランプに勝てないだろう。困ったものだ。誰でもいいからトランプを引き摺り下ろして欲しい。

  • トランプ当選後のラストベルト(中北部州)とバイブルベルト(南部州)でインタビュー取材した本です。ラストベルトの経済凋落や労働者の失業という現実は今の日本と合わせ鏡。労働者の党だった民主党に職を失った製造業労働者は完全に愛想を尽かしており、次もトランプにという。決してトランプが彼らの生活を回復させているわけではないのにこのような状況が。何が彼らをそう思わせているのか、ぜひとも読み取り、現在日本と比較してみて欲しいと思います。
    また、現代アメリカを憂う2人の著名なジャーナリストにもインタビューしています。この部分だけでも現代アメリカの抱える病理を理解できると思います。

  • トランプがなぜあの時勝ったのか。既に今のアメリカはトランプが1期やってバイデンになってさらに中間選挙が終わったところ。トランプを積極的でも消去法でも応援、投票した人々の顔がくっきりと見える。

    『貧困になるのは「働かない人だけだ」「教育を受けなかった人だけだ」と。全部私には当てはまらない。両親や国家から、やるべきだと言われたことを私は全てやった。私は働き、学び、軍隊にも入った。それでなぜ、私は空腹なの?なんで借金返済ができないの?』

    この人はトランプを応援している人ではない。オバマからトランプの間もずっと生活に苦しんでいる。そして自分の声を届けてくれると信じた候補者のために活動している。

    選挙の時に活動するということがどういうことなのかもまた、彼らに教えられる。

  • トランプ王国1からの続き。とはいえ2020年の大統領選のかなり前までの記述。前著と同じように丁寧な取材でアメリカの多様性を描く。明るい未来を描くことができない市井の人々という図式は日本も似たようなものかも知れないけど、逆説的に考えるとそれでもアメリカは(生き方の困難さですら)多様性に富んでいる。とはいえ第二次世界大戦後1950年代の黄金時代は日本の高度成長期と同じように二度と戻らない時代であることは受け入れざるを得ないだろうし、本当に身近にいない他人のことを自分のことのように気にして生きることも現実にはできない。ではどこに解決策があるのか。いや、そんなものはないのだろう。それでも人生には期待を持たないとやっていられないし。というように出口のない話であることは確かなので読んでいるとかなり落ち込む。
    トランプの敗戦後の姿を見た人々の、特に東西海岸でない場所での声を聞きたいけどそこは含まれない。

  • 本作は、トランプが大統領になった後の取材をもとにしたものです。
    トランプ支持者(大統領になる前は支持していた人)への取材がメインですが、著者はトランプ支持者という訳ではなく、なぜトランプなのかというような立場であり、トランプの発言の誤りや支持者の誤解も適宜指摘しているため、バランスのいい構成になっていると思いました。
    前作と本作を読んだことで、アメリカ大統領選挙関連のニュースや記事の捉え方も大きく変わりました。
    色々論点はあるでしょうが、福祉制度や雇用創出といった課題に対する政策に注目していきたいなと思いました。
    トランプは移民排除や貿易協定の見直し、オバマケアの廃止などをアピールしていましたが、今回の大統領選挙はどうなるのでしょうか。

  • 前作に続く米国の草の根のルポ。体当たりのような取材に今回も頭が下がる。
    トランプ大統領の施政を振り返って「自分たちのためによくやっている」という評価が思いのほか多いことに改めて驚いた。それでも彼ら/彼女らをわかっていない、と批判してはいけない。わかっていないのはNYタイムズなどの上から目線の大メディアとそれに依存してわかった気がしている我々の方だからだ、と思い知った。
    大統領選まで1年を切った時期でタイミングも良かった。

  • 朝日新聞の記者が、ここまでトランプ支持者に寄り添う取材をしているとは、ちょっと驚き!トランプ現象を理解したくて読んだが、印象に残ったのは、2人のリベラルな著者へのロングインタビューの中で出てきた、民主党の変貌への言及。民主党は、ベトナム以後、「もはや労働者階級の政党ではない」路線を選び、「見識があり、高等教育を受け、裕福な人々の政党」になってしまった。ルーズベルトは、なりふり構わず、ダムを作り、インフラを整備し、多くの労働者を雇った。失業した労働者の側に立っていた。今でも、人々は、これはルーズベルトが建てたものだと認識できる。が、同じ巨額なお金を使って、オバマは、同じエリート層が運営している大銀行を助けた。言われてみると、そうだったなぁ。日本もそうだが、「労働者」に寄り添えるかどうかは、リベラルの課題。「労働者」のイメージも変わってきていると思うけど。

  • 2018年中間選挙から2019年1月までのアメリカ草の根政治状況の朝日新聞記者取材のルポルタージュ。この手の本は新鮮さが大切。再選後では賞味期限切れ。
    ・ラストベルト、バイブルベルト、郊外とトランプ岩盤地域を中心に取材する。バーでの取材、突撃取材により、人生を語らせトランプへの評価に踏み込むが、散漫すでにわかっていること。
    ・復員軍人援護法では復員軍人であっても農業労働者・家庭内労働者(ほぼ黒人)は支援対象外。
    ・民主党が支持層を専門職・エリートの移行し、経済のリベラルから文化のリベラルへ。伝統的支持層である労働者の支持を失う。
    ・選挙の最も大きな争点は仕事、減税と規制緩和は歓迎される。
    ・トランプは少数派と少数派に陥ろうとしている人々の連合を組んだ。

  • 2016年の大統領選挙でトランプが当選し、その後、トランプが就任して1年ぐらい経った頃のルポルタージュです。
    アメリカはニューヨークやサンフランシスコのような大都市とはまったく違うところがある、というのを前作と同じく実感しました。
    ベトナム戦争や湾岸戦争の帰還兵に話を聞く章が印象に残りました。この本の主題とは関係ないですが、戦争で精神を病んでしまい、今も苦しんでいる人の話、体験が書かれていて、戦争は絶対にやってはいけないと思いました。
    アメリカにも、トランプが大統領になって恥ずかしい、と思っている人がいることも書いてあって、ほっとしました。
    インタビューされた人たちの多くは高齢者ですが、レーガン大統領、サッチャー首相になってから社会がはっきりとかわったと感じている人が多くいることが印象的でした。
    今のトランプ大統領についてのルポルタージュもあったら読んでみたいです。

  • 2025/12/13

  • めちゃくちゃ面白い。
    これまで、トランプが問題発言を繰り返し、それを批判する人々の姿をニュースで見ていてとても不思議だった。じゃあなぜ当選したのかと。
    この本を読んでアメリカという国の理解が深まりました。

  • トランプ当選後、2018年中間選挙までの2年間の取材録。

    アメリカの分断(貧富の差)、経済的苦境と抱えるラストベルトと文化的危機を感じる南部バイブルベルト、民主社会主義の台頭など、2024年現在にも通じる論点が多数。

    トランプとはやや関係性が薄いが、帰還兵の苦悩という観点は考えたことがなかったので、大変勉強になった。世界の警察として活躍する米軍も、多くの軍人の犠牲や苦悩によって成り立っていることは忘れてはいけない。

  • ラストベルト、白人主義のところでトランプ氏の素直さが受け入れらた。真っ直ぐで、有言実行。よく言えばそうなりますね。

  • 前作に引き続き、地道な取材を通して等身大のアメリカを描出したルポ。
    加えて本書では、専門家へのロングインタビューも収録されており、これがたいへん面白い。市民取材による各論と、専門家取材による総論。この両輪があるお陰で前作以上に読み応えがある。

  • トランプ王国の続編となる、ルポ書籍。

    アメリカンドリームというのは、一攫千金で成り上がることだと漠然と思っていたが、「親の世代より裕福になること」のようだ。それはサービス業ではなく、製造業で成り立っている。

    残念ながらそうなれなかった人たちにトランプのメッセージが刺さっている、という構造。

    結局トランプが公約を全て達成できるわけでも、紳士的な振る舞いをするわけでもない現状に対し、引き続き支援する人、離れる人、理論的、感情的な実情について。


    本筋とは離れるが、アメリカでは、(製造業のような労働集約型では、)時給ベースでの賃金体系で雇用されているようだ。

  • ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書) 新書 – 2019/9/21

    もう私達の知っていたアメリカ合衆国は無くなった
    2020年5月31日記述

    ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪
    金成隆一氏による著作。
    2019年9月20日第1刷発行。

    1976年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
    (大学の恩師は久保文明氏)
    2000年朝日新聞社入社。
    大阪社会部、米ハーバード大学日米関係プログラム研究員、国際報道部などを経て、2014年9月からニューヨーク特派員。教育担当時代に「教育のオープン化」をめぐる一連の報道で第21回坂田記念ジャーナリズム賞(国際交流・貢献報道)受賞。
    好物は黒ビールとタコス。
    他の著書に「ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く」
    『ルポMOOC革命―無料オンライン授業の衝撃』がある。

    トランプ大統領を支持、不支持をしたアメリカの市井の人々の話を取材しまとめた本。
    回答した人々の顔写真もついていて良い。
    とのトランプ王国2は前著に比べるとあまりヒットしていないようだ。
    しかし、未来に当時アメリカの人々は何を思っていたのかという
    第1級の資料になる事は間違いないと言える。
    いつインタビューしたのか西暦、年月日が入っている点も良い。

    今コロナウィルスの影響で2000万人もの失業者が出たアメリカ。
    本書で出てきた人々にも多大な影響が出ていると思う。
    そういった中で果たしてトランプ再選がなるのかどうか・・・
    バーニー・サンダースが民主党候補として今回も出てこれない。
    バイデン氏で果たしてトランプに勝てるのか・・・・
    現職有利であることは間違いない。
    ただ分からない要素が多い。
    今回はどのメディアもまだ勝敗予想とかを出していないように思う。
    相当に変数が多くて難しいという事だろう。
    また別件で意外だったのが、ベトナム戦争時に
    アメリカ兵が地上にいたにも関わらず枯葉剤をまいていた事だ。
    ベトナム人だけではなくアメリカ兵も犠牲になっていた。

    関税を引き下げて自由貿易を推進することで互いの国々が交易の利益を得ると経済学では解説される。
    しかし現実社会ではそれは難しいというという実例をこれでもかと紹介された思いがする。
    結局そこに人間が介在している以上は簡単にはいかない。
    ただ同時に同じ仕事をずっと続けることができるほど幸福な時代はもう過ぎ去ってしまったということも言えるだろう。
    常に勉強や努力を(方向性を大きく間違えず)続ける。
    可能ならば住居地も動くことができる。
    そんな生き方を模索するしかない。
    ただ全員が全員そうは動くことも出来ない。
    大変に難しい問題だと思う。

    印象に残った点を下に列挙していきたい。

    ラストベルトの労働者たちは、一般的に労働組合に属し、民主党を支持する傾向が強かった。彼らに「そもそもなぜ民主党支持だったのか?」
    と質問しても、「そんなこと考えたこともない」
    「この街で生まれ育てば、親の代から、みんな民主党支持だた」などと答える人が多い。

    同じ街で暮らしていると昔の人間関係が戻ってしまうのね。小さな街だから。

    後で調べると、ティモシーの「オバマフォン」発言は間違いだった。
    「オバマフォン」とは、実際は連邦通信委員会が共和党レーガン政権下の1985年に始めた低所得者向けの制度「ライフライン」で、通話や通信を提供する。月額9ドル25セントで「無料」でもない。
    ワシントン・ポストによると、オバマが就任した2009年ごろから、誤った情報が匿名メールなどで拡散し、ラジオ番組は「オバマがマイノリティや
    貧困層を選挙に動員する道具として無料配布中」という陰謀論まで流していたという。
    私はオバマフォンを理由にオバマ政権や民主党を批判する人に多く出会ってきた。
    シンプルな偽情報は広がりやすく、何年経っても修正されない。
    そんな典型例のように感じた。

    トランプは「雇用を戻す」と連呼してきた。
    この日の集会でも「出て行った仕事は「全て」戻ってくる」と言い切っていた。
    ただマークもジョーも、それが無理なことは「わかっている」という。
    非現実的と批判されることが多いトランプの言葉を、彼らはそのまま信じているわけではない。
    ここにトランプ政権が一定の支持率を維持できている理由がある気がした。

    トランプが約束の1割でもやれば十分だよ
    溶鉱炉の建設には膨大な資金が必要で戻ってくるわけがない。
    そんなことはわかっている。トランプには環境規制の緩和やインフラ整備などでビジネスを刺激し、若い世代に少しでも仕事をつくってもらいたい。

    地元の民主党トップ、デビッド・ベトラス
    トランプのヤングスタウン集会の評価
    私(著者)はこの民主党委員長ほど、この地方の実情を的確に説明する人を知らない。
    彼は、アメリカの都市と地方の分断を皮膚感覚で理解している人物だと思う。

    「あの演説の最大の見せ場は、「家を売るな」です。この意味がわかりますか?
    この地域の労働者たちは、地元から仕事がなくなってしまったから、
    価値の下がった自宅を二束三文で売り払って、どこかに引っ越すべきかと悩んできたわけです。
    知ってか知らずか、トランプは「家を売るな」
    「私が仕事を取り戻す」と言った。つまり、「私が仕事を取り戻すから、皆さんは大切にしてきたコミュニティにとどまって下さい」という
    メッセージです。みんなそんな言葉を待っていた。
    だから彼の演説に夢中になるんです」

    オハイオ州などラストベルト諸州で連勝し、トランプ大統領が就任して半年。
    民主党は敗北から立ち直れていますか?

    民主党全国委員会はまだ敗因を十分に理解していない。
    党の将来を全く楽観していません。
    まず、トランプの言動一つ一つを
    非難することをやめることが重要です。
    非難ばかりしていると、
    それが当たり前になり、誰も聞かなくなる。
    民主党は失敗を今も繰り返している。
    トランプや支持者を、人種差別主義者や
    外国人嫌い、バカなどと侮辱すれば、彼らは二度と民主党に戻らない。
    怒りにまかせての批判をやめないといけない。
    批判は(自身への)支持にはならない。
    有権者に響く方向性を示し、
    メッセージそのもので勝たないといけない。

    選挙期間中、街中にはトランプの看板があふれていました。

    公式の看板だけでなく、手作り看板も多かった。
    支持者が自宅ガレージで気持ちを込めてトランプ支持を呼び掛ける看板やポスター、バッジを作っていたのです。
    あれは本物の支持者ですよ。
    クリントンのメッセージが労働者に響いていないことは明白でした。
    同じことは、ミシガンやペンシルベニアなど
    他州の労働者にも起きているはずだ、と思ったのです。
    製造業の流出に拍車をかけた自由貿易協定や貿易赤字などの争点で、立場を変えたクリントンは信頼されていなかった。
    労働者の立場から声高に一貫して自由貿易を批判したのはトランプだけだった。
    彼は黄金の便座に腰掛けながらラストベルトの労働者に
    「皆さんはだまされたのです」
    「私がワシントンに乗り込み、既成政治家の
    問題を一掃してきましょう」とツイートを送り続けた。
    彼には執事もメイドも調理人もついているでしょう。
    アメリカ人の普通の暮らしがどんなものかも知らないはずだ。
    そんな候補者に我々は負けたのです(頭を抱え込む)。

    民主党は今後、どう変わるべきですか?

    配管工、美容師、大工、屋根ふき、タイル職人、工場労働者など、
    両手を汚して働いている人に敬意を伝えるべきです。
    重労働の価値を認め、仕事の前ではなく、
    後に(汗を流す)シャワーを
    浴びる労働者の仕事に価値を認めるべきです。
    彼らは自らの仕事に誇りを持っている。
    しかし、民主党の姿勢には敬意が感じられない。
    「もう両手を使う仕事では食べていけない。教育プログラムを受け、学位を取りなさい。パソコンを使って仕事をしなければダメだ」。
    そんな言葉にウンザリなんです。
    労働者たちに民主党は自らを「労働者、庶民の党」と伝えてきたが、民主党や反トランプ派はメディアを通じて(性的少数派の人々が)
    男性用、女性用どっちのトイレを使うべきか、
    そんな議論ばかりしているように見えた。
    私が選挙中に聞かされたのは
    「民主党は、私の雇用より、誰か(性的少数派の人々)の便所の話ばかりしている。」という不満だったのです。

    そもそも、この地域で民主党支持だった労働者の多くは自らをリベラルとは認識していない。
    リベラル派の争点は、彼らにとって最重要ではないからです。
    労働者の関心は、よい仕事があるか、きちんと家族を養えるか、子供の誕生日にパイを用意できるか、教育を用意できるか、十分な休暇を取れるか、
    自分の仕事に誇りを持って引退できるかなのです。

    かつての製造業をラストベルトに戻すのは容易ではないと多くの人が言います。

    そんな言葉は候補者の口から聞きたくないんです。
    労働者の再教育という訴えも何度も聞かされた。
    40歳代や50歳代になってプログラミングなんて出来ませんよ。
    そんなメッセージは響かない。
    なぜ労働者のための政策を実施すると訴えないのか。
    インフラ整備は代表例。
    古びた橋や道路を補修すれば多くの雇用になる。
    彼らは汗を流して自分の腕で稼ぎたがっているんです。
    トランプはそれがわかっていた。
    労働者には、彼がワシントンに乗り込み、
    既成政治家や利益団体と闘うファイターにうつった。
    その気概がうれしかったのです。
    具体例を挙げましょう。
    トランプは就任前から工場移転に介入し、
    「1千人超の雇用を守った」と誇った。
    でもね、そのとき民主党側は
    「ウソだ、守られたのは500人だ」と反発した。
    必死でした。
    それを聞いて、私は再び頭を抱え込んだ。
    500人でも守られればプラスじゃないか、と。
    その500人の雇用を本来守るのが民主党の仕事ではなかったのかと言いたかった。

    今の左派の振る舞いは、保守派の思うつぼだ。
    ICE廃止を掲げる政治家なんてアメリカ大陸の真ん中では信用されない。
    最もマヌケな政策だ、頼むから黙っていてくれ
    懸念するのは、保守派メディアが民主党の左派の主張をあたかも民主党を代表するものであるかのように報じ、警戒心をあおるからだ。
    代表格がFOXニュース。オカシオコルテスの映像を流し、
    「極左」「彼女は全米の人々が自分と同じ考えだと思っている」と伝えてきた。
    アメリカ人の大半は、警察官や消防士ら最前線で法律を執行する人々に敬意を払う。
    公務中に命を落とすなど危険な職務だ。
    一翼を担うICEの廃止を掲げることには反発が起きやすい。
    都市部で歓迎されても、地方では党内の候補者の足を引っ張る、という懸念だ。

    大学の同級生は、みんなハイパーリベラルだ。
    ところがここに帰省すると(ペンシルベニア州ルザーン群)
    周囲はトランプ支持者になり、超保守的になる。
    僕は明らかに同級生の中では保守派。
    でも、移民を悪く言うトランプには完全に反対で、
    そんなことを言うのは心が閉じているからだと残念に思う。
    ところが、ハイパーリベラルの側も、異なる意見を持つ相手に「間違っている!」と非難するばかりで、まったく聞く耳を持っていない。
    僕は、2つの「心の狭い」人々に挟まれていて、ちくしょう!という気分だよ」

    帰還兵は一般に比べてトランプ政権を高く評価しているようだ。
    公共放送PBSによると、2018年の中間選挙で投票した人のうち、
    帰還兵の男性の58%が政権を「支持」していた。
    これは一度も軍隊に属したことのない男性の46%に比べて高かったという。
    一方、帰還兵の女性の58%は「支持していない」と答えており、
    これは軍隊に属したことのない女性の61%と大きな違いはなかった。
    全体では、帰還兵と軍人の56%が大統領トランプの仕事ぶりを「支持」しており、
    43%が「不支持」だった。
    一度も軍隊に属したことのない人の間では
    「不支持」(58%)が「支持」(42%)を上回ったという。

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著者プロフィール

金成 隆一(カナリ リュウイチ)
朝日新聞編集委員
朝日新聞経済部記者。慶應義塾大学法学部卒。2000 年、朝日新聞社入社。社会部、ハーバード大学日米関係プログラム研究員などを経て2014 年から2019 年3 月までニューヨーク特派員。2018 年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書『ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く』(岩波新書)、『記者、ラストベルトに住む』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『現代アメリカ政治とメディア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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