- 岩波書店 (2019年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784004317944
作品紹介・あらすじ
日本では男性に政治権力が集中している。何が女性を政治から締め出してきたのか。そもそも女性が極端に少ない日本の政治は、民主主義と呼べるのか。客観性や中立性をうたってきた政治学は、実は男性にとって重要な問題を扱う「男性の政治学」に過ぎなかったのではないか。気鋭の政治学者が、男性支配からの脱却を模索する。
みんなの感想まとめ
日本の政治における男女の不平等を深く考察した本書は、男性支配の構造やジェンダー規範がどのように社会に根付いているかを明らかにします。特に、男性的な価値観が政治や社会の評価基準を形成し、女性の意見が軽視...
感想・レビュー・書評
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組織の規範と男性的なジェンダーの規範が一致。この言葉は本書で述べられることだが、そもそも男性的なジェンダーの規範って何。男は大黒柱であるべきとか、弱音を吐くなとか。女性は非力であり、守るべき対象であるとか。
でも、それって別にあっても良いと思う。問題は、規範と評価軸が重なって、腕力至上主義だったり、よって男が優秀と決めつけたり、男性側の目線で仕事スタイルが決まるのは良くない。ブロプロプリエイションいう、女性の発言を横取りするような男性もいるらしい。勘違いが暴走するのも、正義マンみたいでお門違いだ。
それと、この本で最も考えさせられたのは「クッパとピーチ姫」に見える男女のロールプレイと、それがそこかしこに張り巡らされて、社会的に幼少時から刷り込まれているという事実だ。男女ともに、王子様やお姫様思想が脳内に宿る。実社会は想像世界の写像であり、そのエッセンスは、寓話から構築されていく。黒人差別が残ったり、逆にアファーマティブで歪になるように、こうしたものを取り除くのは容易ではない。
女性は筋力においてか弱きものという理解でも良いが、しかし、その自然発生的な男女差は、大部分の社会では、本来考慮不要なものだ。この社会は概ね筋力が無用だからだ。また、男性の性欲が暴力性をもつから、女性は夜間の残業も不安である。そんな事で、社会における自己実現の妨げられ片方のジェンダーだけ犠牲になるのは、問題だろう。
考えるきっかけ、視点の抜け落ちに気付かせてくれる良書である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「少なくとも今日の日本において、男性だけが意見を言ってよいとか、女性は男性の意見を黙って聞かなければならないなどということは、いかなる法律にも書かれていない。それにもかかわらず、男性が女性に向かって一方的に自分の意見を言うという光景が、繰り返し出現する。これは、不思議な現象ではないだろうか。」(p6)
という、《第1章「政治」とは何か》で示されている筆者から示された疑問が本書の全てともとれる。
本書で示しているこれについての答えは「なぜ、男女の不平等は争点として重視されてこなかったのだろうか。より一般的にいえば、争点はなぜ、争点として浮上するのだろうか。」(p34)という項から詳しい。
突き詰めれば「何らかの形で男性支配を生み出す力学が働いてきたと考えなければならない。」(p51)という結論に至る訳である。
なんとなくだけど、そういう雰囲気が日本社会に蔓延しているのはわかるような気がする。意図して女性を排除している訳ではないにしろ、「女だからしくじった」「女にしてはよくやった」みたいな価値観を持った男性って、世代問わずに事実として案外いると思うんですよね。
「ジェンダー」というワードに触れただけで内容の云々でなく「あーはいはいw」みたいな反応をする男性も少なからずおられると思われます。
本書が上梓されたのはざっと6年前。
6年間で劇的に日本社会の何かが変わったとも思えないし、高市早苗総理が誕生して事あるごとに噛み付く輩はおるわけだけども、本書はそのあたりについて非常に上品に且つ理知的に分け入った新書。
「ポリアーキー」という概念は初めて知りました。うむ、難しいけど‘多数派’による政治だとの考えということはわかりました。
「これから政治学を学び始める人には、そのことを早い段階で知っておいてもらいたい。」(p209)
認知をモリモリアップデート!
久々の岩波新書。これは読みやすかった。
11刷
2026.3.24 -
自民党総裁選とその後に続くであろう衆院選で政治は一色となっている。選挙とは競争であり、権力を得るためには闘争して勝たなければならない。このフォーマット自体が実は男性的であり、女性が参画するにはハードルが高い。
「マンスプレイニング」という言葉がある。女性は無知で無能な存在なので説教しなければならないと勘違いしているおっさんのことである。同様に「マンタラプション」という女性の発言をさえぎりまくるおっさんもいる。いずれにしても、高齢政治家を眺めるとそんな姿勢の人たちばかりに見えてくる。
民主主義とは本来は対話を通じて合意形成を図る、社会を営む上で必要なシステムだったはずだ。しかしいつの間にか多数派を形成して議席を確保し、長老や資本を持つ者が意思決定する仕組みに換骨奪胎されている。それは急速な経済成長を実現し、その果実を利益分配するために創り出された開発途上国型のフォーマットだ。
もちろん政治システムのような体制のみならず、日本社会にはジェンダー規範と呼ばれる男らしさ/女らしさを求める空気が存在する。男性は仕事に邁進して家庭のことは女性に任せるといった常識は、実は男性にとっても選択肢を狭める結果となっている。実際に男性稼ぎ主モデルからの脱却を目指した北欧においては、大きな政府による雇用の下支えがあることで家庭内サービスを外部化し、男女のワークライフバランスが改善することで少子化問題も解決している。
理想は1:1、少なくとも7:3で重要ポストを配分することが望ましい。ジェンダー・クウォーターを採用することで意思決定のための対話の質は上がり、メンツや権威といった非論理的な立場を守るための行動は排除されるようになる。何より、経済成長後の成熟社会を目指す日本にとっては、政治システムを含めた社会の空気を変えなければ閉塞感を脱却することはないだろう。 -
「どうやら、筆者も含めた多くの政治学者は、女性がいない政治の世界になれきってしまっていた」ことへの反省から物された、テキスト的な新書。最近の議論がコンパクトに整理されていて、とても便利。
日本の政治で女性の参加がとりわけ進まないのは、男性稼ぎ主モデルに依拠した福祉国家が構築されているため。そして、これがなかなかに崩れないのは、日本の政治過程が、男性を中心とする利益集団が男性を中心とする政治家・官僚に圧力をかける過程だからである。そこで解決策として、ジェンダー・クォータ制の導入が提唱される(ただし、ジェンダー・クォータ制が性的少数者を政治的に代表するために用いるには適さないことにも、目配りがなされている)。
外側からの感想を記すと、男性稼ぎ主モデルの福祉国家は政治過程だけの産物ではなく、日本的雇用が男性正社員を中心とする構造であることの産物でもある。なので、正社員の長時間労働とか、女性に偏る非正規労働の不安定性とか、「働き方」が改善されないと、女性の政治参加もうまく進まないだろう(もちろん、「働き方」には、政治家の「働き方」も含まれる)。本書の経済学版もあったら便利と思う。 -
「時給はいつでも最低賃金、これって私のせいですか」で紹介されていたので気になって買ってみた。
女性のいない民主主義。一見してジェンダーと政治学の本であると分かるのはすごくいいし、とても鮮烈で印象に残るタイトルではある。
内容に関しては、200ページと言う分量よりも多く感じた。それもそのはずで、この本はジェンダーに関する本と言うよりは、政治学と言う縦軸とジェンダーと言う横軸で展開される、面のような内容となっている。
政治におけるジェンダーについて知るには、そもそも政治学のあり方や歴史に関して知る必要があるためだ。そうして、従来の政治や民主主義の中に存在している男女不平等が見えるようになってくる。
男女平等が進展したスウェーデンにおいてさえも、女性主体の政党は存在しておらず、やはりジェンダークオーター制のような仕組みを導入することがマストだとよくわかった。
面白かった。ジェンダーだけではなく政治に関しても勉強になるし、あとがきで分かる筆者の熱く深い優しさに触れたのも良い読書体験だった。
(書評ブログもよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/01/08/%E3%80%90%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%82%82%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%BF%E5%88%B6%E3%81%AE%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%82%92%E3%80%91%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84 -
男性からするとびっくりするようなことなのかもしれないが、女性から見ると、ああ、あのことね、ということを裏づけをもって書いてくれている。女性の議員が増えればジェンダーに配慮された社会になるかというと、そう簡単ではないということは初めて分かった。これからの社会はどうあればいいか考えるきっかけになる本。
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「マンスプレイニング」「マンタラクション」「ブロプロプリエイション」「クリティカル・マス現象」「コンドルセのパラドックス」「エコーチェンバー現象」
レベッカ・ソルニットの著作をこの本の前に読んで、名付けがいかに大切かを実感したところだったから、この本に出てきた多くの新しい言葉を覚えようと思う。この言葉たちが存在することで、その現象も存在するようになるのだから。
人口の半分を占めるのは女性、ということ。当たり前すぎて、この本で改めて指摘されて、こんなに重要なことを忘れてるなあと反省。半分なのだ。その半分の意見の反映されない政治が罷り通る不思議さ。
なぜそうなってしまったか、研究者として解きほどいてみせてくれる。
がんじがらめだ。よく女性自ら動かなければ世の中変わらないんだよ、と言われるが、たしかにそうなのだが、それだけでは解決できないシステム上の軛があるのだ。
ジェンダークォーター制を取り入れてない国は少ないということ。野党から女性議員は増えていくということ。
何から変えればいいのか途方に暮れているより、具体的にやるべきことが見えてくるのはいいことだ。
女性のため、なんて姑息な(書いてみてすごい漢字だ…)ことを言ってるんでなくて、そうしなければ、男も女も関係なく、日本という国が衰退の一途を辿ることになるだろう。もう手遅れかもしれないが。 -
途中まで著者が男性だとは気付かずに読んでいた。現政権を見てもよく分かるが、日本の政治界は男尊女卑のオンパレードということがこれ以上ないほどよく分かり、読めば読むほど胸クソ悪くなる。
私は今20代だが、果たして自分が生きている間に現状が改善されることはあるのだろうか。
あとは一部誤字があり、そこが気になってしまった。 -
今まで読んできた政治学の本の中でトップレベルに読みやすく、そして新たな視点に気づかせてくれる新書でした。
高校中学の社会の授業でやった方がいいんじゃないかな。
今の日本は男性のための民主主義。女性活躍社会と名は打っても、実はそれは男性が働きやすい、または男性を助けるための政策でしかないということに気付きました。いやー、ほんと日本社会に絶望するわ -
政治はよくわからないし、政治学なんてもっとよくわからない。だから本書にとりかかるのもエネルギーが必要だった。
でも、読み始めてしまえば多少難しい言葉はあっても、書かれていることは(良いのか悪いのか)実感を持って理解できることが多く、これまでもやもやとしていた物事に輪郭が与えられたというか、よく見える眼鏡を与えられた気分になった。
「政治」も「民主主義」も「政策」も、みんな男性が男性のために築き上げてきたものだった。
以下、一部端折りながらの抜き書き。
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女性は、ジェンダー規範に従えば組織規範に従うことはできない。ダブルバインドは大きなジレンマになる。『保守系の女性政治家がフェミニズムに対する厳しい批判を展開するのは自らのジェンダー規範からの逸脱を埋め合わせるための戦略の一環であると考えられる』。『組織の男女比が、組織規範のシグナルになる』。
公的領域は政治介入する、私的領域は政治介入しないものとされてきた。この公私区分が女性を抑圧してきた。女性は私的領域である家庭に閉じ込められ、家庭で起きていること(DVや偏ったケア労働など)は政治の争点にはならない。ケア労働を担う女性は自律した主体とはみなされず、二級市民として扱われる。公私二元論が守っているのは男性の自由に過ぎない。
これは「個人的なことは政治的なことである」
というフェミニズムの標語に集約される。
女性を適切に代表するには、一定以上の女性議員が必要とされる。にもかかわらず衆議院における女性議員の割合は1946年とそれほど変わらない。
ピル導入の遅れや配偶者控除は誰のための政策なのか?どういう意図で定められているのか?
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公的領域私的領域からのフェミニズムの標語の流れはそういうことか、と腑に落ちた。『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』を思い出した。
また、政策を検討するときに必要な視点を初めて知った。目が覚めた感覚だった。
これまでクォーター制には懐疑的だったけどこの本を読んで、とにかくまずは数が必要なんだとわかった。女性だけクォーター制を設けるのは不公平だと言うなら、男性にもクォーター制を設けてもいいのかもしれない。(意味があるかわからないけど)
これは余談だけど、今週末、金曜ロードショーで『タイタニック』を放送していた。救命ボートには女性と子どもが優先的に乗せられていたけど、確かこの時代の女性って参政権がなく、男性から守られる存在としての女性だったんだよね、ということをぼんやり思い出しながら観ていた。(間違っていたらごめんなさい)
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めちゃくちゃわかりやすい!どうして日本では女性政治家が少ないのかもわかった。これからの政治の見方にジェンダーの観点は欠かせないので選挙権あるひと必読にしてほしい
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途中まで読んでゴチャゴチャしてきてわかんなくなってきたから放置してあったんだけど、ざーっと読み直しつつ読了。著者はどこかにそれを書くことへの葛藤があるんじゃないかとも読めた。結局男性との比較でしかなかったのではないか。最後に授業の内1回を女性の政治についてあてたら十分だと思っていた、だけど準備をするにつれてそんな回数ではとても足りずこの本を書いたとあったみたいなことが書いてあったけど、既存の枠組みで考えても正解は出ないんじゃないかと思った。
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・政治、民主主義、政策、政治家といった言葉の政治学としての定義や概念を紹介した上で、これらの理解においてジェンダーという視点がなかったことが、男性政治学者の著者が反省のように語る。その偏り具合はデータで一目瞭然に示され、例えば、女性参政権の導入と市民の意見が平等に政策に反映される政治体制に近いかどうかの指標であるポリアーキー指標と関係している、というように。最後の章では現在世界ですすむ、ジェンダー・クォーター制について述べられ、ジェンダー比率と何らかの社会的指標には一定の関係があることも示される。この制度は社会を変えていくための手段となり得ることをを考えさせる。多様なアイデンティティを持つ人々の間で対立し、妥協が難しい場合には、自分の視点から見える世界の限界を認め、他者と対話していくことが必要という。政治に限らず大事なことに気づける一冊。(葉)
・世界の国や地域における民主主義の系譜をレビューした上で、金科玉条とされる民主主義自体が、女性が存在していないものとして取り扱っていることが問題だ、と主張します。最近話題のジェンダード・イノベーションでも、女性を対象としない臨床研究、自動車の安全研究の例が有名ですが、民主主義でもそうだったのか…。ちょっと待って! 私たちは他にも「いないもの」として誰かのことを扱っていないだろうか。(菊) -
まず、政治過程論の導入書として非常に素晴らしい。一つの政治イシューがどのような経路を辿ってある政策に結びついていくのか、政治の力学を学びたい人にはオススメ。
その上で、ジェンダーがどのように社会に、政治に影響を与えているのか、深い考察がなされている。
東大教授の本ながら、新書として読みやすく、それでいて深みがある。
興味を持った方は是非手に取ってみてほしい。(T.I) -
政治にジェンダーの視点を持って論じており勉強になった。
男性優位の政策がなされているのはなぜか?なぜ女性の候補者は増えないのか?等、他国との違いや歴史的な背景を知ることができた。
組織内の女性比率として、30%以上いないと本領が発揮できない。政治家もそうだが企業でも女性リーダーを増やしていかないと感じた。 -
とても面白かった。これまでの政治理論は「なぜ女性の政治家が少ないのか」という問いにほとんど向き合ってこなかった、として、日本がどうして「女性のいない民主主義」になっているのか、考察する。この論点の設定だけで、刺激的な問題提起である。
その理由としては主に「男性稼ぎ主モデルとしての日本の福祉国家」が挙げられている。そして一度成立した福祉国家は、その経路依存性によりなかなか変化しづらく現在に至る、とする。だとすると、このような福祉国家が生み出されたのはなぜか、という点が気になる。これは歴史学の仕事なのだろうと思う。 -
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難しかった〜
けど、今の政治は構造から根本的に変えないとならないことはなんとなくわかった -
我々はあまりにもおじさんorおじいさんの政治を見慣れすぎてしまったのかもしれない。
政治学、ジェンダー論などの
初学者にやさしい。
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前田健太郎の作品
