統合失調症 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 93
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004318019

作品紹介・あらすじ

幻覚や妄想が生じるが,病識の欠如のため本人はそれを認めない.青年期から成人期前期に生じ100人に1人近くが患うこの病気は社会生活への影響が生涯にわたるのにあまり知られていない.経験ある精神科医が症状,経過,他の精神科の病気との違い,リスク因子,治療,歴史と社会制度などをわかりやすく解説する.

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で手にとり、読んですぐ購入を決めた。

    統合失調症を何も知らない人向けに書いている。

    著者いわく、統合失調症は普通の病気。確率的に誰にでも起こりうるという意味で普通の慢性疾患という捉え方だ。

    異常セイリエンス仮説やいくつかの統計調査など、新たに知ることも多かった。

    統合失調症患者は思った通り社会的弱者で、平均すると寿命が20%くらい短いという。自分がどうにもならないと考えて、体のメンテナンスをしなくなり、結果早く亡くなることが多いという。

    慢性期の治療について、研究が進んでいないことも気になった。長期的には減薬すべきだが、いつどのくらいといった一貫したものはない。このあたりがよく研究されていないことも、患者が希望を持てない理由だろうか。

    内容と関係ないが、前書きとあとがきを読んでこれは買わなきゃいかんと思った。記述内容のレベルが自分とあっていて、かつ、ニーズにあっていると直観的にわかったからだ。やはり一度さらっと読んでみないといけない。

    統合失調症は一生モノという人がいるけど、決してそうではないと思う。精神疾患全般に言えることだが、低く設定したリカバリー基準をひとつずつ超えることは可能で、それは評価されるべきだと思う。

    どうやったら、統合失調症の患者は希望が持てるだろうか。ひとつは良いロールモデルを見ることだろう。リカバリーを果たした人の情報は少ないが、今後徐々に増えていくと思う。もうひとつは、ハードルを下げたうえで、それを達成することだろう。最後に、リカバリーとは何かの議論が必要だ。そもそもリカバリーが可能であるとの立場で、何を達成したらリカバリーか明確にしていく作業である。

    リカバリーの議論の有用性は、まずリカバリー可能であるという前提に立てることだ。渦中の患者にはリカバリー可能かどうかすらわからない。しかし、リカバリーを語ることは夢を現実として捉えることにつながっていく。だから、リカバリーの議論は大いにおこなっていただきたい。

    減薬に関しても記載があるのが興味深い。曰く、急性期から2年くらいで減薬を始めるべき、と。漫然とした投与が普通になってしまっている現状への不満もあるのだろう。

  • 統合失調症について、精神科医の視点から述べている。定義、症状、統合失調症患者のケーススタディ、患者のケア、社会との関わりなど。私の興味は統合失調症の生理学的モデルで、文中で説明のあったドーパミン仮説から発展させた異常サリエンス仮説は、生理学的な考えに心理的なサポートも加えていて、患者の主観をより説明できていて納得した。

  • やさしい入門書から1歩踏み込んだ、でも新書なので専門書まではいかないレベルの本。ストレス脆弱性モデル主流の頃に資格を取った身としては異常セイリエンス仮説が興味深かった。
    ところどころ出てくる精神医療用語(措置入院や医療保護入院とか)の説明はないので、その辺初学者や患者本人、ご家族にはわかりにくいかも。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/519486

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1801/K

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著者プロフィール

京都大学精神医学教室教授。

「2020年 『こころを使うということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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