「中国」の形成 現代への展望 (岩波新書 新赤版 1808 シリーズ 中国の歴史 5)
- 岩波書店 (2020年7月20日発売)
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感想 : 26件
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Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784004318088
作品紹介・あらすじ
さまざまな勢力が併存、角逐する一七世紀。そのカオスを収拾し、東アジアに君臨した清朝の「盛世」から、多元共存システムがほころびをみせる一八世紀。西洋の衝撃、革命と独立によって清朝が潰え、ふたたび混迷する一九世紀、そして現代へ——。一元化と多元化を往還しつづける、平和と騒乱の四百年を描く。シリーズ完結。
みんなの感想まとめ
歴史の深淵を探る本書は、明清交代から現代に至る中国の変遷を描き出しています。著者は、明朝の衰退と清朝の興隆を奇蹟的な歴史的出来事として捉え、その過程における多元的な勢力の相剋や、清朝が果たした役割を明...
感想・レビュー・書評
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シリーズ最終巻。
明清交代を経て、以降清朝は最大の版図を獲得し、中華民国を経て、現在の中華人民共和国へと繋がっていく。
中国の度々の王朝交代を見てきたから、明清交代もそういうものかと思ってきたが、著者は言う、明清交代は、よく考えてみれば、奇蹟ともいえる。明朝は、当時の東アジアで圧倒的な大国であり、人口を比較しただけでも、清朝は1億人の明朝の1%にも満たないし、経済・文化は明朝が凌駕していた。明末の政権、組織がよほど疲弊、頽廃していたわけで、李自成等流賊を鎮圧できなかったのも、その現れである。(確かに!)
明朝の衰退は、明朝の取った朝貢一元体制が、北虜南倭に示される多元勢力との相剋を解消できなかったことにあり、その解消が清朝の歴史的役割だったとする。
本書は、個々の事件史的記述は最少に留め、藩部に対する統治の基本姿勢「因俗而治」、交易についての互市、商品や貨幣の流通、官民、中間団体等社会構成の仕組み、等についてコンパクトな説明をしてくれており、清朝体制の基本的仕組みが非常に分かりやすく整理されている。
そして、アヘン戦争に代表される西洋列強の進出に対する反作用として、「領土主権」の考え方が出てきて、新疆、モンゴル、チベットへの支配を強化する動きとなった。その後、清朝時代は倒れるが、民国、人民共和国を経て、正に現代史の問題となっている訳である。
現代に繋がるアクチュアルな問題を考えさせられる、歴史を学ぶ醍醐味を味わえる一冊である。
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岩波新書のシリーズ中国の歴史全5巻の完結編は、岡本隆司氏の「「中国」の形成 現代への展望」。扱われるのは、清代を中心に現代まで。
16世紀から18世紀までの時代は最近流行のグローバル・ヒストリーでいう「大分岐」の時代に当たるが、著者はグローバル・ヒストリー学説に対しては、「アジアを端から異質で、落伍していた存在とみていた従前とちがって、確かに新しい。西欧中心史観の非を悟りはじめた西洋人なりの反省なのだろう」と一定の評価(?)を与えつつ、しかし、「経済指標に目を奪われるあまり、社会構成・統治体制のあり方に対する洞察に乏しいことがあげられよう」(pp.viii〜ix)と述べる。
17世紀幕開けに混沌としたカオス状態であった東アジア世界が18世紀になるとすべて清朝に合流、しかし、そこに朝貢体制や華夷秩序を当てはめても治まるものではものではなかった(それをやろうとして失敗したのが明)。本書では多元的なアジア世界を清朝がどのように秩序立てようとしたのかを「因俗而治」という概念で捉える。それをイメージで示しているのが、45ページの図11である。
さて明末清初の社会を批判した学者に黄宗羲や顧炎武がいる。顧炎武は官僚制の硬直化・矮小化を指摘し、「盛世には小官が多く、衰世には大官が多い」と批判した。実地に庶民・社会と接して行政にあたるのがここで言われている「小官」である。官吏の不正・非違を監察する「大官」ばかりが増えている世の中は「衰世」なのだ(p.58)。
清朝ははたしてどうだったのか。「第三章 二 経済」「三 社会」と清朝の経済社会発展(乾隆帝時代は緩やかなインフレで経済は大発展を遂げる)の様子が描写される。しかし「四 分岐」で「私法・民法・商法の領域・民間の社会経済に、権力が介入できたかどうか。西は是であり、東は非だった。そこに『分岐』の核心がある」(p.99)と著者は断じている。「世界史上、そうした制度(*ヒックスのいうような公権力・国家による「規則」)を創出できたのは、イギリスのいわゆる「財政=軍事国家」であり、私見ではイギリス・西欧にしか、そうしたシステムは発祥、ひいては発達、完成することがかなわなかった」(p.98)なのである。
本書はこうして「大分岐」の核心を、中国の統治原理・社会構造の歴史的変遷から見事に喝破している。第四章の「近代」、そして現在の習近平体制まで筆が及ぶ第五章「中国」、「おわりに」まではそうした中国社会の基本原理が貫徹している。
「歴史をたどれば、そんな「一体」の「中華民族」は存在したことがない。かつて存在しなかったものをもとにもどす、回復させることはありえないから、「復興」もやはり現実ではない、「夢」だということになる」(p.192)。
※巻末主要参考文献の最後で著者は「人文学とりわけ歴史学は、新しい研究成果ほどよい、依拠するに足る、というわけではない」と述べつつ、「東アジアに関わるグローバル・ヒストリーに代表される英語圏の所説は、その典型といってもよい」とトドメを刺している。 -
近代中国史は、それ自体としてだけでなく「なぜ、こうなってしまったのか」という視点から見ると面白い。
本書では、西洋列強(と日本)と中国の明暗を分けることとなった、19世紀の「大分岐」について、経済史家らしく構造的要因から分析がなされる。
「因俗而治」「貯水池連鎖モデル」「督撫重権」などのキーワードから、高校世界史では見えてこなかった清朝の立体的な姿がわかる。
明清時代についての類書や、ちくま新書の『近代中国史』など岡本先生の他著は読んでいないため比較はできないが、明末清初から康熙雍正乾隆にかけての国内史の記述が特に興味深かった。康熙帝と雍正帝についての碩学・宮崎市定の評価など、コンパクトに深掘りがされており読み物として非常に面白い。
もっとも紙幅の都合上、日清戦争など清末の国際関係史や辛亥革命、中華民国以後についてはごく簡潔に触れられるのみ。講談社学術文庫の中国の歴史シリーズ等でいずれ補完したい。 -
ようやく五冊目終わり。「大分岐」でなぜアジアがヨーロッパに遅れをとったように見えるのかに興味がある。思っていたより中国は多元で、それを一元化しようとしているのが今の中国なのだと理解した。
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清朝から現代へ。「清朝なかりせば、東アジアの多元勢力をとりまとめ、平和と反映をもたらす事業はかなわなかった。」しかし、清朝滅亡後、中国の一体化に向かって突き進むが、「一つの中国」は実現せず、多元共存にも程遠い。今の中国は混迷の只中にあることがよくわかる。
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叙述のクセが強い。。。読みにくくはないから別にいいのだけれども。なんで清代以降を一冊で済ませるのかなと思っていたが、中国近現代史はこれより前にシリーズにしていたのですね。
5巻すべてを読んでみたなかでは、第2巻の『江南の発展』が通史的に中国の社会構造を分析していて面白かった。本巻でも似たような感じで社会構造、経済が語られるけれど清朝史の枠から大きく外に出ていない印象。
バラバラの幣制もあたかも明清に独特のものような雰囲気で書かれているけれど、当時は国家単位できっちり統一された幣制の国なんかまだなかったのでは。スペイン銀貨が色んな所に流通していたイメージ。そんな細かいところが気になった。 -
中国は多民族国家なのだと改めて納得できた。もっと中国や東アジアの歴史を学びたいと思う。
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ほんとに、面白かった。中央と地方、漢人とそれ以外、いろいろな対立が日本に比べて大きくて、ため息が出る。大元ウルスが大日本帝国1941の地図なんだろうなあ。だとすると一衣帯水は本気で言ってるんだな。ようやく一衣帯水が少しわかった気がする。
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「中国」を知るために「歴史」を紐解くシリーズの最終巻。明末清初から現代までが対象。僥倖により明の継承者となった清は自己の非力さを実感しており、「因俗而治」により多元的な世界を統治した。そうした統合の成功と限界が指摘されている。官と民の乖離、諸民族・地域等々、多元的世界は現在まで一元化は果たされないままで「一つの中国」は「夢」だという。そのほか貯水池モデルによる経済構造の解説、湘軍・淮軍と叛乱勢力は国につくかつかないかの違いでしかなく同根とする指摘も印象に残った。簡略に過ぎる点は他書で補う必要があるだろう。
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清朝の成立〜瓦解まで。まとまってて分かりやすい。
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紀元前から現在までの中国の通史のシリーズ「中国の歴史」第5巻(最終巻)。最終巻は、清朝の始まりから現在までの通史が書かれているが、通史のため教科書的に事実を中心に解説されているため、それぞれの内容は薄い。残念ながら、岡田英弘氏や宮脇淳子氏の著作ほど興味がわかなかった。
「自らを「支那人」、自国を「支那」と呼んだ。China/Chineを漢字に置き換えた語であり、西洋人・日本人が当然と考える国民国家を含意する。だから当時の「支那」とは、まったく差別用語ではない。清新なニュアンスをもった新語・外来語であった」p161
「「社会主義市場経済」とは、依然として「社会主義」を信奉する共産党が、政治を一手に独裁的にひきうけ、民間が「市場経済」を取り入れて経済を立て直してゆく、という趣旨である」p186 -
清の時代を中心に多元共存のシステムから「中国」としての一体化をめざす現代までを描いている。
多元共存の国家の方が理想的に思えるけど、それがダメで清は潰えたわけだし。国の力を高めるには一体化なんだろうけど、今の中国の外交政策をみてると何だかなぁ。 -
・明から現在までに至る中国の歴史がすっとわかりやすい。
・20世紀に入ってからの五族一体、中国の概念の誕生
・朝貢一元体制下における属国の位置づけ -
清朝から現代中国までを概括。明末カオス化した大陸を継いだ清が、少数民族でもある事から、存外小さな政府であり、地域の民間社会にまで浸透するような官僚国家、軍事国家ではなかった。それは、日清戦争で日本が戦った相手が、清国軍というより、李鴻章の軍団だった事にも表れており、清滅亡後の軍閥割拠、統一に失敗した国民党も、その延長線上にある。それだけに、共産党(毛沢東)による、農村から都市を包囲する戦略は炯眼で、最大の勝因となったが、それもまた社会主義化の過程で強烈な歪みを生じ、膨大な損害を避けられなかった。広大な土地と数多の人民を統御する至難と無理が中国にはあり、今後もその課題に直面し続ける宿命を持つのだろう。清朝全盛期には名君が君臨し、東アジアを安定させたが、銀流行による好景気が背景にあった。世界経済とのリンクが強まった時、旧態依然のアジアの支配者として清朝は崩れたが、漢人社会が動揺した時期に帝王に収まり、やがて役割を終えて去っていった様は、ある意味中国の懐の深さの象徴でもあるように感じられた。
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著者の他の数々の著作とかなり重複する内容で、復習のようでもある。清初は多元性の共存、本土でも藩部でも在来の制度・慣例を引き継ぐ。雍正帝は漢人統治に多くの改革を行ったとして、著者は康熙・乾隆帝よりも重視。そして「盛世」のはずの乾隆帝の治世には、人口の爆発的増加や移民がもたらす社会流動性の高まりにより、官と民の乖離・相剋が一層拡大する。また帝自身は自らを「中華」と同一視し、「華」「夷」二分法に回帰してしまう。
清末には太平天国など乱の発生と、督撫重権による鎮圧と統治。東アジア内では日本など外部勢力の進出により「属国」が変容。清朝は「属国」に西洋的な意味を織り込んで干渉を強化するが、弱体化は止まらず。20世紀初には領土主権を持つ統一国家としての「中国」が、危機感を覚えた知識人に認識されるようになる。
最後に著者は新疆やチベットなどの地域に言及し、これら現在の問題と、清朝の多元共存や「一つの中国」認識という歴史を重ね合わせる。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1808/K
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清朝による分割統治と瓦解、割拠の中夥しい数の革命が巻き起こる混乱を経て現代中国にたどり着く過程がダイナミックに表現されている。
秩序から混沌へ向かう要因は様々あり、教科書にある「アヘン戦争」「辛亥革命」など単一の事象で全てが一変したわけではないということがよくわかる。 -
222.01||Ch||5
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