大岡信 『折々のうた』選 俳句 (二) (岩波新書)

  • 岩波書店 (2019年12月22日発売)
4.14
  • (3)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 62
感想 : 5
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (204ページ) / ISBN・EAN: 9784004318125

作品紹介・あらすじ

俳句編第二巻である本書は,一茶に始まり,子規,虚子,楸邨,龍太へと継承されてゆく近代俳句を取り上げる.江戸時代後期,社会・文化の大衆化を背景に,俳句の質的変化が起こった.日常語によるわかりやすさと個人の細やかな心理描写は,芭蕉と蕪村の時代にはない句を生み出す.大岡信の読みとともに学ぶ,俳句クロニクル.

みんなの感想まとめ

近代俳句の変遷を深く掘り下げたこの作品は、江戸時代後期から明治にかけての俳句の進化を描いています。特に、一茶から子規、虚子、楸邨、龍太に至るまでの流れを通じて、俳句がどのように大衆化し、日常語を用いた...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゼンエイテキな想像力を駆使する必要がある句まで拾えるのが、詩人でもある大岡信の底力か。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1812/K

  • 「大岡信『折々のうた』選 俳句(二)」(岩波新書)を手にすることができました。
    そのあとがきを読んでいると刮目すべきことに出会いました。

    この編集者長谷川櫂氏によりますと
    俳句の編年史では「古典主義俳句」と「近代大衆俳句」の2つに大別され、
    古典主義俳句は第1期松尾芭蕉時代と第2期与謝蕪村時代にわけられ、
    近代大衆俳句では第1期小林一茶時代、第2期正岡子規と高浜虚子時代、
    第3期加藤楸邨と飯田龍太時代にわけられています。

    ではなぜ一茶が近代大衆俳句に組み込まれるのか?
    近代俳句といえば子規ではないのか?

    そのキーワードは「大衆化」だそうです。
    これまで多くの文学史は明治以降を近代とし、子規を近代俳句の創始者とされてきましたが、
    長谷川氏は子規を創始者ではなく中継者としてとらえています。
    明治時代というのは西欧化がはじまったということであって、
    大衆を中心とした近代文化は天明の大飢饉以降の徳川家斉将軍のころからはじまっているとしています。
    通説で明治時代から近代化がはじまったというのは政治形態や西欧化
    という観点から見た歴史のとらえ方で、
    文化という視点から見れば江戸後期(1880年代以降)を近代とするとしています。
    この頃から俳句人口が急速に増大し、古典を知らない庶民も俳句をつくうようになった。
    実はこの味方は長谷川櫂氏だけでなく、小説家丸谷才一氏も同じ様な見方をしています。

    また、その丸谷才一氏が
    「文学の中心部は形式別にすればいつたい何だろうかと考へてみよう。
    それはもちろん詩である」
    「その詩集の中でもとりわけ大事なのは何か。詞華集にほかならない。」
    (丸谷才一「日本文学史早わかり」講談社文庫)
    と述べています。
    その詞華集には「万葉集」「古和歌今集」「新古今和歌集」など勅撰和歌集がありますが
    「近代」以降は無く、また広範にわたる詞華集が乏しかったのが実情だったのです。

    そこに現れたのがこの大岡信『折々のうた』です。
    万葉集から現代の詩歌合わせて6762首、日本詩歌集で空前絶後の偉業だと言われています。
    それを俳句集(2巻)、和歌集(2巻)、詩と歌謡の5冊にまとめられて
    この度、岩波新書として出版されるとのこととなりました。
    良い本が出版されると一人ほくそ笑んでいます。

全4件中 1 - 4件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

長谷川 櫂(はせがわ・かい):1954年熊本生まれ。俳人。朝日新聞俳壇選者、インターネット歳時記「きごさい」代表、神奈川近代文学館副館長、俳句結社「古志」前主宰。句集に『太陽の門』『震災歌集 震災句集』(青磁社)、『長谷川櫂自選五〇〇句』(朔出版)、その他の著作に『俳句的生活』(中公新書)、『四季のうた』『古池に蛙は飛びこんだか』(中公文庫)、『俳句と人間』(岩波新書)、『和の思想──日本人の創造力』(岩波現代文庫)、『芭蕉の風雅』『俳句の誕生』(筑摩書房)などがある。『俳句の宇宙』でサントリー学芸賞(1990)、句集『虚空』で読売文学賞(2003)を受賞。



「2025年 『「おくのほそ道」を読む 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長谷川櫂の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×