- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318217
作品紹介・あらすじ
古代から現代にいたるまで,日本人はそれぞれの課題に真剣に取り組み,生き方を模索してきた.その軌跡と厖大な集積が日本の思想史をかたちづくっているのだ.〈王権〉と〈神仏〉を二極とする構造と大きな流れとをつかみ,日本思想史の見取り図を大胆に描き出す.混迷の今を見据え,未来のために紡がれる,唯一無二の通史.
感想・レビュー・書評
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自分の知識不足があり100%楽しめなかった。
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日本古代から現代に至る様々な思想を構造化して一つの枠組みとして捉えることを試みている。本書では、日本思想における大きな枠組みを王権に関する思想(政治思想)と神仏に関する思想(宗教思想)を設定し、両者の緊張関係の間に文学や芸能などの思想が位置づけ、これを大伝統としている。大伝統は主に中世に出来上がった枠組みであるが、古代はこの枠組みができるまでの黎明期、近世は世俗化やキリスト教、儒教などの要素が含まれつつもこの大伝統の枠組みで説明できるとする。
明治以降は王権と神仏を中心とする枠組みから天皇を頂点とする一元的な枠組みに転換し、大伝統が崩壊する。著者はこれを中伝統と名づけている。第二次世界大戦での敗戦によってこの中伝統の枠組みも崩壊することになるが、本書では主に大伝統、中伝統の解説に紙数を割いている。
このように大きな枠組みの中で日本の思想を捉えようとすると、それぞれの時代の思想は前時代の影響を受け、あるいはその積み重ねの上にあり、現代においても例外でないことに気付かされる。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737232 -
121-S
閲覧新書 -
日本における神仏の転倒が面白い。日本は仏教後進国→仏が神々として現存していた稀有な国、みたいな。
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東2法経図・6F開架:B1/4-3/1821/K
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受験勉強としての日本史で学んだ様々な単語(宗派、人名、書名、思想につけられた名前)が、暗記するための単語としてではなく、歴史の中の文脈で理解できる。
例えば、江戸時代の儒学者。朱子学、陽明学など単語は記憶しているが、それが江戸時代になって(やっと)重視されるようになったこと、そして明治の教育勅語へのつながりなどはこの本を読んで初めて理解した。
古代(飛鳥時代あたり)から現代にかけての日本の信仰、宗教、体制、思想をザっと追うには良い1冊。
「むすび」に書かれた下記の文章、この本の初版が2020年1月21日、原稿を書かれたのはもっと前であろうから、世界が現在置かれている状況を予期できたはずがない。だが、ここで危惧された通りにものごとは動きつつある。世界が同時多発的に危機に陥った今、試されている。特定の国を執拗に責めても解決する問題ではないのだが、まず自国を守らざるを得ないのも事実。我々はどのような選択を取るべきか。
P.234
(ところが、)マルクス主義を採用したほぼすべての国家が失敗したということは、どのようなルールを取っても、目標とする山に登るのは困難だということを意味する、あるいはもしかしたら、そこに山があるということ自体が見間違いであったのかもしれない。(略)そのことは、マルクス主義だけでなく、その大本である近代的な進歩主義全体が疑問に曝されることである。世界中の国々が平和を目指して国際連合に集まった熱気は、過去のものとなりつつある。「人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」というユネスコ検証の理想もほとんど忘れ去られようとしている。1990年代以後は、まさしく理想と希望と展望を喪失した時代に陥っている。
世界全体が協力して目指す方向性を失った今日、おそらくこれからはどの国も自国中心主義が強まり、強いもの勝ちの派遣手技や異民族・弱者・少数者を排斥するような同行はますます顕著になってくるであろう。そして、日本も例外ではない。その中で、手前勝手な自尊主義に陥るのではなく、冷静に自国の過去の思想を振り返り、現状を的確に認識することこそが、本当の未来を切り開いていくのではないだろうか。 -
日本思想史をコンパクトにまとめている良著。日本の三段階を、明治維新、敗戦で区切っているところがポイント。基本的にバランスよくまとめてあると思う。
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121.02||Su