アメリカの制裁外交 (岩波新書)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 岩波書店 (2020年2月22日発売)
3.68
  • (6)
  • (9)
  • (12)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 186
感想 : 16
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (252ページ) / ISBN・EAN: 9784004318248

作品紹介・あらすじ

米外交は経済制裁、特にドル覇権を背景とする金融制裁を抜きには語れない。しかも北朝鮮やイランなどの敵対国やテロ集団にとどまらず、根拠法の「国外適用」により第三国の企業や個人も制裁の対象になり得る。なぜ経済制裁は多用されるのか。それは世界に、そして自国に何をもたらすのか。「米国第一主義」の内実を抉る渾身の一冊。

みんなの感想まとめ

経済制裁や金融制裁の実態とその影響を、具体的な実例を交えながら分かりやすく解説する作品です。著者は米国の制裁がどのように機能し、他国に与える影響を深く掘り下げており、特にドルの覇権との関連性についても...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アメリカの経済制裁・金融制裁について、法制度や金融制度、実例を踏まえて分かりやすく解説してくれる本

  • 【米国の金融制裁はこの「司直の長い腕」による執行力がポイントである】(文中より引用)

    国際報道などでよく見かけるようになったアメリカによる経済・金融制裁。いったいどういった効果をもたらしているのかを具体例と共に説明しつつ、それが長期的にドルの覇権に与える影響についても考察した作品です。著者は、共同通信のワシントン特派員としても活躍した杉田弘毅。

    制裁に関して「言われてみれば」という疑問点を氷解させてくれる一冊。どういった理由で近年この手の外交ツールが多用されるようになったかがスッと胸に落ちてきました。

    コンパクトですが☆5つ

  • この書がアメリカの制裁手段としてドル決済の停止の有効性、その影響力をわかりやすく著された良書なのは確かだ。

    アメリカがドル決済の停止による金融制裁を多用し始めたのはオバマ政権以降であり、トランプ政権になると武力行使を忌避する自身の意向から無秩序に乱発された。政権ごとに一変する外交方針の一貫性のなさから制裁の効果も今一つで、中国やロシアなどドル離れを模索する国の行動が活発化している。かなり端折ったがそのような内容だ。

    ただこの書の目的が制裁外交の弊害を素にトランプの批判のみに帰結するというものなら、現状を考慮すると疑問符がつく(この書は2020年初版なのでバイデン政権の政策は未知である)。

    以前、日経を読んでいたが、数ある記事の中で FTの日本語訳の記事がおぼろげながら印象に残っている(どっちだ)。

    バイデン大統領が中国の封じ込めを意識した新しいワシントンコンセンサスを提唱した。新しいコンセンサスは、自国産業の保護、育成を目指す保護主義色の強い内容となっている。レーガン政権が旧コンセンサスで提唱した関税の撤廃などを行い、グローバリズムの進捗を目指すというものから一変されたのだ。

    結局バイデン政権もトランプが行った保護主義政策を撤廃できず中国を押さえ込んでいく方向となったわけだ。

    それは冷戦崩壊後の開かれた市場、グローバリズム化という指針を示したレーガンのようにトランプは保護主義への転換という新しい方向性を結果的に示したことになり、バイデンはそれに追従した形になる、という内容だった。

    結局、アメリカ国民の中国に対する嫌悪感から現政権も制裁を実行しているがこれが不確実性の上昇を招き、残りの世界も巻き込まれている形になっている。

    トランプを徹底的に批判していたリベラル系メディアは同じ政策を行っている現政権に対してはやはりと言うべきか批判に及び腰になっている。また息子のハンターバイデンの疑惑に対して、例えばPBSでは論点をずらしたかのような報道がされるなど、まるでバイデン応援団のような様相だ。メディアは頼りにならない。外交活動においても現在の不確実性を解決するような動きはあまり活発では無いように思える。

    米国メディアの党派性で物事の善悪を判断する報道姿勢は、結局アメリカの民主主義国家としての行き詰まりのひとつの原因なのではないかと思ってしまう。

    話がかなりズレていったがこの書の後半にも著されていたようにアメリカは超大国としての責任を全うすることが困難になっている。ドルの離反を招くのを一つの契機として多極化に向かっていくのだろうか。それとも中国と一戦交えて覇権国としての地位を再び強化していくのか…

  • 2022年のロシアによるウクライナ侵略の前にまとめられた本。
    米国が経済制裁を多用するようになった経緯がまとめられている。

  • 昨今のウクライナ危機で、制裁について取り上げられる機会が多いため、手に取った。

    近年のアメリカ外交における制裁について、分かりやすく解説してある。特に、基軸通貨ドルの強さを活かした金融制裁の威力が詳しく書いてある。事例を交えて解説しているので、ニュースと関連付けながら理解できる。ポスト冷戦期のアメリカ外交の復習にもなると思えるくらい、アメリカ外交における制裁が占めるウェイトが大きいのだと感じた(第二部)。

    一国の法律、あるいは州の法律が安易に「国外適用」(米当局は国外適用であることを否定する)されることには、違和感を覚える。それは差し引いたとしても、特に後半部における、著者のアメリカに対する評価はかなり厳しいと感じた。

    著者は海外特派員の経験を持つジャーナリスト。そのためか、文章自体は、新聞の論説を読んでいるようで大変読みやすい。良書。

    ただし、新書という性格もあってか、本文中に注や出典がほとんど記載されていないのは少し気になる。参考文献リストや文献案内等を付されていれば、より望ましいのではないか。

  • 2018年12月ファーウェイの副社長兼CFOがバンクーバーで逮捕された。2019年1月米司法当局は副社長孟晩舟副社長は『銀行詐欺・資金洗浄・司法妨害など米刑法のほかに、「国際緊急経済権限法」(IEEPA)違反という聞き慣れない罪で起訴された』 p3

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1824/K

  •  米が多発する経済制裁について、近年の動向を中心に分析した良書。まとまった形の解説は貴重で、体系的に理解できた。
     9.11を機に米国の経済制裁は貿易制裁から金融制裁に大きくシフトし、しかもその範囲が広がる。それまで米の安全保障政策で財務省の影は薄かったのに、今や「仕事の半分は安全保障と制裁関連」(ムニューシン財務長官)とのことだ。
     問題点は、各級政府による恣意的にも見える運用や罰金取り立て、冤罪の危険。そして何より、米当局者には国外適用との認識がないまま実質的に国外適用されていること。米ドルや米国中心の国際金融システムを利用する限りはその網にかかってしまう。主権よりもテロ対策のような普遍的な国際正義が重視される流れも背景にあるという。他国政府も以前より抗議しにくく、米の制裁をずるずる受け入れるようになっている。
     著者とて、制裁が効果を見せていない例を挙げつつも完全に否定するわけでもない。ただ著者は、現在のような制裁の乱発は基軸通貨ドルや米の国際金融システムを衰退させる危険を最後に指摘する。

  • 319.53||Su

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1957年生まれ。一橋大学法学部卒業。1980年共同通信社入社。大阪社会部、テヘラン支局、ニューヨーク支局、ワシントン支局長、論説委員長などを経て、現在は特別編集委員兼論説委員。明治大学特任教授(メディアと国際政治)。アメリカ政治・外交、日米関係、中東、核兵器問題などを専門とする。2021年度日本記者クラブ賞受賞。著書に、『検証 非核の選択――核の現場を追う』(岩波書店)、『アメリカはなぜ変われるのか』(ちくま新書)、『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)、『アメリカの制裁外交』(岩波新書)などがある。

「2022年 『国際報道を問いなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

杉田弘毅の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×