小学校英語のジレンマ (岩波新書)

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  • 岩波書店 (2020年2月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (254ページ) / ISBN・EAN: 9784004318262

作品紹介・あらすじ

二〇二〇年四月から小学校五・六年で正式教科としての英語が、三・四年で必修の「外国語活動」が始まる。グローバル化時代には必須との大きな期待と根強い反対を経て生まれた「小学校英語」はどこへ向かうのか。実際、どんな効果が見込めるのか。約三〇年の改革の経緯、教える負担の大きさなど、未解決の論点を網羅する画期的な一冊。

みんなの感想まとめ

教育の歴史と現状を深く掘り下げた一冊は、小学校における英語教育の変遷を明らかにし、改革の背景や課題を整理しています。過去30年にわたる議論や政策の変化がどのように英語教育に影響を与えてきたのか、特に国...

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
     密度の高い一冊。単に教育行政だけを見るのでなく、その背後にあるものを分析していく。まず政策決定に至るまでの複雑さ(色んな要望や利害関係がある)、根拠を提供する学会の英語教育に対する態度の変化(時期により異なる)、現場の様々な実践とその効果(結果)。
     個人的に驚いたのは、早期英語の検証という学問的な部分。実は統計的には不足が多かったということ。教育行政はしっかりしたフィードバックが行われていないまま進むことは薄々知っていはいたが、研究も……。

    【書誌情報】
    『小学校英語のジレンマ』
    著者:寺沢拓敬
    通し番号:新赤版 1826
    ジャンル:岩波新書 > 教育
    刊行日:2020/02/20
    ISBN:9784004318262
    Cコード:0237
    体裁:新書・254頁
    定価:本体840円+税

     正式教科となる小学校英語の今後は? 効果は? 改革の経緯、未解決の論点を網羅する画期的な一冊。
     二〇二〇年四月から小学校五・六年で正式教科としての英語が、三・四年で必修の「外国語活動」が始まる。グローバル化時代には必須との大きな期待と根強い反対を経て生まれた「小学校英語」はどこへ向かうのか。実際、どんな効果が見込めるのか。約三〇年の改革の経緯、教える負担の大きさなど、未解決の論点を網羅する画期的な一冊。
    https://www.iwanami.co.jp/book/b496869.html

    【目次】
    はじめに

    序章 

    第Ⅰ部 小学校英語、これまでの道のり

    第1章 【第Ⅰ期】小学校英語前史
     1 戦前から戦後へ
     2 英語教育の早期化と臨時教育審議会
     3 学習と年齢効果の研究

    第2章 【第Ⅱ期】「実験」の時代
     1 「国際化時代」と英語教育の議論
     2 研究開発学校では何が学ばれていたのか
     3 小学校英語推進派の理想主義

    第3章 【第Ⅲ期】模索の時代――多様性とカオスの小学校英語
     1 小学校に英語がやってきた
     2 総合学習での英語活動
     3 教育特区での小学校英語
     4 小学校英語論争の勃発

    第4章 【第Ⅳ期】「外国語活動」の誕生
     1 「グローバル化時代の人材育成」と英語教育
     2 「必修だが教科でない」
     3 特殊日本的な「外国語活動」
     4 英語力は向上するのか、国語力がダメになるのか

    第5章 【第Ⅴ期】教科化・早期化に向けて
     1 トップダウン型の教育改革へ
     2 第二次安倍政権以後の改革――変質する政策審議
     3 教科化既定路線の中の賛否
     4 世論の期待と不安


    第Ⅱ部 小学校英語の展望

    第6章 現在までの改革の批判的検討
     1 小学校英語三〇年の歴史を振り返る
     2 根拠なき計画・実行

    第7章 どんな効果があったのか
     1 教育政策を支えるデータとは
     2 小学校英語の効果、これまでの研究
     3 小学校で英語を学んだ子どもの英語力・態度は向上したのか?
     4 根拠に基づいた議論を

    第8章 グローバル化と小学校英語
     1 「グローバル化だから小学校英語」でよいのか
     2 英語ニーズのこれから

    第9章 教員の負担とさまざまな制約
     1 誰が教えるのか
     2 制度、予算の制約、世論のプレッシャー
     3 外部人材活用という「第三の道」

    おわりに

    年表
    参考文献



    【抜粋】
    ・著者が指摘するように、ダメな議論(放談)が多く生成されていたようだ。(pp. 98-99)

    “本書では便宜的に「論争」と表現しているが、小学校を巡る議論は狭義の論争とはかなり性格を異し、言うなれば放談型の論争である。というのも、事実を明らかにする手段としての科学論争とも異なれば、自陣営の正当性を主張することにより第三者(裁判官・陪審員・審判など)を説得する法定闘争や競技ディベートでもなく、心情的に思い入れのある英語教育について(多少の根拠を述べながら)主張するだけだったからである。心情ベースの放談だからこそ、反対陣営から痛いところを突かれた場合、その点をディフェンスするインセンティブは小さい。黙殺するか曖昧にぼかせば事足りる (科学論争や競技ディベートだったらこうはいかない)。逆に、反対陣営に脇が甘い部分があれば多少的外れであっても「口撃」すれば溜飲が下がる。この結果、叩きやすくデフォルメされた仮想敵を論破するのに終始し、もっと時間をかけて丁寧に論じなければいけない論点の多くが放置されてしまった感がある。”

  • 非常にわかりやすく、客観的な分析。歴史的経緯の中で、小学校英語がどのように位置づけられてきたか、そして、肝心の課題とは何か、早期英語教育の効果は何か、が整理できた。早くに英語を学習することに、個人単位では意味がないと改めて認識。

  • 375-T
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  • グローバル化は呪文
    全ての日本人に必要なものではない
    グローバルビジネス、国際交渉の前線に立つ人の英語力向上させる施策が一番コスパがよい。例・企業内教育、職業訓練

  • 英語教育はどこに向かっているんだろう。と疑問を持って読んだ。
    早期英語教育を公教育に盛り込んだところですぐに子どもが英語ペラペラになるわけではない。実生活と結びついているわけではないから。
    教員の負担も増えるし研修する時間もお金もない。
    だから著者は専科教員が担当するか、全廃かの案が良いとしていた。
    担任て本当に忙しいし、だったら専科に教えてもらって空き時間にしたいという人が多い。だが専科は専門性はある程度あるものの、500人弱の児童を顔も名前も覚えて週1-2コマという短時間で理解しきれないまま苦しい思いをしていることもある。

    個人的には教員の負担と教育効果を考えると専科制に賛成だが、それが正解とは思っていない。担任によってクラスの雰囲気や文化は十人十色で、全く違うものだから、単発ではいった教員がすべてをコントロールするというのは至難の業だということを感じている。

    しかし一方で専科を経験したから強く思うこと。どんな教科でも目の前の子どもがどうなってほしいか常にありたい姿を描き、それを子どもと共に作り上げていくことが子どもたちの成長に大切だということだ。
    専科制でも担任がやるのでも、ぷいっとせずに英語に歩みよってほしいと思う。

  • 小学校英語の問題点を丹念に調査した好著だ.結論めいた件がp204にある.「小学校英語は熟議なしで拙速に決定されたものであり、そもそも劇的な効果は望めない.また、グローバル化に対応するために小学校から英語を導入すべしという根拠も不明である.」お金がないからか担任の先生が英語を教えることになり、先生の負担も増大している.第二次安倍内閣で、官邸主導の進め方が目立つとの指摘もあるが、例によって議事録がない事例が多いようだ.誰がどのような形で決めたのか、反論はあったのか、ものごとの進め方が稚拙だと感じた.

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1826/K

  •  英語が2020年度をもって小学校5年生から正式な教科として始まるに際して、そのまさに当事者の小学5年生が家族にいるものとして、その英語教育がどのような考え方を背景にデザインされてきたものなのか、その内容を確認することができた。
     英語が要るのか要らないのか、ただちにその深いところには立ち入らず、評価の妥当性をどこに求めるべきかという論旨になっている。まあ、これはこれでいいだろう。
     ただ、当事者として気になるのは、英語教育の質である。小学校教員にはもともと英語教育の資格がなく、現場は右往左往の混乱にあるようである。これで授業が成り立つのかという「?」は至極自然な感覚ではないだろうか。
     入門レベルの英語を技術的に教えることぐらいならば、親の自分にでもできる。将来へと繋がる外国語教育の戦略がまるで見えない。

  • 小学校英語について最もよくまとまった本である。また共分散構造分析のモデルも使っていた。
     研究の基礎文献になりうる本である。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB29739441

  • 2020年度から教科化された小学校英語の問題を“ジレンマ”ととらえ
    その複雑さをタテ=歴史的、ヨコ=社会的な制約条件から読み解き
    いくつかの現実的な方向性を見出す画期的な新書

    日本の小学校英語を考えるうえで絶対に区別しなければならない3つのポイントは
    ・小学校英語は第二言語学習の話であり、母語習得と混同してはならないこと
    ・非英語圏環境での英語学習を、周囲に英語があふれている社会での英語学習と混同してはならないこと
    ・「臨界期仮説」は、小学校英語の議論と基本的に無関係であること

    (日常語ではない専門用語としての)「エビデンス」により小学校英語の効果・有効性を検討した結果
    ・小学校英語を経験すればするほど英語力や情意面が発達するという傾向は見出せない
    ・英語力、英語学習への肯定的態度に微弱ながら有意な効果が見られるが、コストに対しては有効性があるとは言えない
    ・少なくとも、二〇〇〇年代に行われていた小学校英語一般には概して有効性が認められない

    そして、今後とりうる選択肢として著者が提示するのは
    1.英語専門の専科教員が教える
    2.学級担任が教える
    3.必修をやめる
    4.全廃する

    《その中でも筆者が特に推したいのは、案○と案○である。》

    小学校英語を論じるなら読んでおくべき一冊

  • これはジレンマか?もう、ほとんど、問題だらけのなか、鶴の一声で決まったようなものではないのか?まずは早期の英語教育が英語力向上につながるかどうかが疑わしい。もちろん、良き指導者が時間をかけて取り組めば効果は望めるのだろう。しかし、英語教育の基本も知らない、下手をすると「英語なんて大の苦手でした」というような小学校教員が初学者に英語を指導する可能性もある。楽しくできるわけがない。と思う。英語専科の教員をかなりの数、採用するそうだ。それは文科省もがんばったのだろう。しかし、全小学校に1人とはとても言えない。研修にしても、たとえば専門家が全国から代表を集めて研修し、その代表が各都道府県で研修し、それを持ち帰って各学校で研修し、と言ったような、孫とかひ孫とかいうような教員たちが子どもたちを指導する。はあ、とため息が出る。学校の取り組み方、担任の取り組み方次第でずいぶんと受けられる英語教育に隔たりがある。それを是正するために教科化する。それはわかる。しかし、システムが変わっても実際に指導する人間が変わっていなければ何も変わらない。きっと。本書ではあまり言及されていないが、中1になる段階で、子どもたちの英語力には大きな差があるのは事実だ。それまでの取り組みの違いだろう。(これが、小学校高学年の担任の差が大きな原因であるならば大いに問題である。もっとも、それは他の教科についても言えることではあるが。)しかし、この差が、1,2年の中学英語の学習のもとで縮まっていくのか。最初に苦手意識がついてしまって、余計に差が広がることもあるだろう。我が家の子ども2人はともにこのケースだと思う。一方で、どうも語学には向き不向きがあるような気がしてならない。最初後れを取っていても、すぐに追いつく子もいる。いくら時間をかけても、身につかない、覚えられない生徒もいる。他教科も同じだろうが、特に英語(語学全般?)はそういう気がする。そして、道徳科についても、似たような問題があると思う。私は専科にすべきだと思うが、反対の専門家が多そうだ。担任の仕事って、とにかく大変なんだからなあ。せめて、担任手当でもつければいいのに。お金は出さないが口は出す。最悪だ。

  • 2020年03月14日読了。

  • 小学校英語教科化の歴史的経緯が、かなり詳しく記述されており、なるほど、と思うこと多数。今後の展望も説得力あり。

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著者プロフィール

寺沢拓敬(てらさわ・たくのり)
[関西学院大学准教授]

「2021年 『英語教育のエビデンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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