ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 172
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004318378

作品紹介・あらすじ

「反ソ・反共」作家のイメージから「監視社会化」に警鐘を鳴らした人物へと、時代とともに受容のされ方も変化してきたオーウェル。ポスト真実の時代に再評価が進む『一九八四年』などの代表作をはじめ、少年時代から晩年までの生涯と作品をたどり、その思想の根源をさぐる。危機の時代に、彼が信じ続けた希望とは何か。

感想・レビュー・書評

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  • オーウェルの人生史及び生み出してきた作品群に沿って、当時のオーウェル(エリック)や社会・政治の様子が解説されている。
    ビルマで帝国警察官の身分で働きつつも帝国主義に対して嫌気がさしたり、かと思えば英国人に対して敵意を剥き出しにする現地の僧侶に対して嫌悪感を抱いたりなど、一見整合性が取れていないように見えるけれど誰でも有しているような"矛盾"を受け止めているところに、オーウェルの誠実さ(この本で言われているところの「人間らしさ」)を感じる。
    他にも、上層中流階級へのある意味での居心地の悪さや、自らの作品への自己評価の低さなど、人生全体が微笑ましいほど人間らしく、個人的にはとても好感が持てた。
    オーウェルの作品は『1984年』しか読んだことがなかったが、他の作品も読んでみたい。

  • オーウェルのすばらしさは、自分のものの捉え方、考え方を出来合いの借り物ではなく、自分の経験と思考によって作り上げたことにあると思う。decencyは大事な言葉。座右の銘としたい。

  • 『カタロニア讃歌』『動物農場』『1984年』などで知られているジョージ・オーウェルの伝記。オーウェルは代表作である『1984年』を発表したすぐあとに46歳の若さで結核で亡くなったが、本書はその短い生涯を作品とともに辿っている。全体主義に抗し、ディストピア言語の危険性に警鐘を鳴らし、一貫して「人間らしさ(ディーセンシー)」を追究した作家オーウェルが今、世界的に注目されている理由は、著者の川端氏の「新型コロナ時代に、ジョージ・オーウェルが再び注目される理由—「ディストピア」の言語」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72066)が参考になろう。

  • 監視・管理化社会に警鐘を鳴らしたオーウェルの生涯と作品群。現代にこそ意味がある。

  • 政治権力の腐敗と言語の不正な使用(論点回避、曖昧な表現、改竄、詭弁など)は強く結びついていることをオーウェルは指摘している。
    そのことは「動物農場」や「一九八四年」などの小説で鋭く考察・表現されており、70年以上前の作品にも関わらず、現在をアナロジカルに考察する示唆に富んでいると思う。
    「以前よりはまし」とか「科学的」とかいった言葉を見聞きすると、豚が農場の動物達を騙している場面を思い出して胡散臭く感じる。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/531087

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1837/K

  • 動物農場、1984、そしてそれらに収録されていた「絞首刑」「象を撃つ」といった短編でしかジョージ・オーウェルには触れてこなかった。全体主義が導く破局を鋭く告発する作家、という印象だ。おそらく、多くの人がそういう印象を持っているのではないか。
    この新書は、200ページ超のボリュームに彼の生い立ちや事件、思想の変遷、そして執筆された作品群をとりまとめ、ジョージ・オーウェルという人物を立体的に描き出している。
    オーウェルその人は、作品自体の偉大さゆえに本人の人となりも作品と等価に考えられがちだ。しかしここには"decency"に拘った一人の思想家の姿がある。

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著者プロフィール

日本女子大学文学部教授。1955年横浜市生まれ。専門は近現代イギリスの文化、文学。著書に『ジョージ・オーウェル』(岩波書店、2020年)、『ウィリアム・モリスの遺したもの』(岩波書店、2016年)、『葉蘭をめぐる冒険』(みすず書房、2013年)、『ジョージ・ベストがいた』(平凡社、2010年)、『オーウェルのマザー・グース』(平凡社、1998年)など。

「2020年 『暗い世界 ウェールズ短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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