国際人権入門 現場から考える (岩波新書 新赤版 1845)

  • 岩波書店 (2020年8月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (186ページ) / ISBN・EAN: 9784004318453

作品紹介・あらすじ

第二次大戦後、人権に関するさまざまな国際ルールがめざましい発展を遂げ、日本もそれを守ることとされている。日本社会で現実に起きているさまざまな人権問題も、これらの国際人権基準に照らして考えることで、新たな光を当てられ、解決の方法を見出すことができる場合が少なくない。日本の現場から国際人権法の「活かし方」を考える。

みんなの感想まとめ

人権の国際的な枠組みと日本国内の具体的な問題を考察することで、現代社会における人権の重要性を再認識させる内容です。序章では国際法や制度の概要が示され、その後、入管収容施設の外国人問題や人種差別、性差別...

感想・レビュー・書評

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  • 序章で人権に関する国際法・制度体系を概観した後、現在の日本国内における人権問題として、入管収容施設における外国人収容、人種差別・ヘイトスピーチ、性差別・性暴力、教育無償化に関わる問題の4点をそれぞれ取り上げている。条約や法律条文の引用が多く法学に関する知識を全く持たない者としてはやや読み進めるのが難しい点もあったものの、個別の人権問題に関する章では具体的事例についての記述も多く、そのような事例があったのかととても勉強になったとともに、日本人としてそのような数多くの人権問題が発生していることを十分知らなかったことに関して恥ずかしく感じた。

  • 昨今の多様性の受け入れの流れを踏まえると、どこまで認めるべきかという議論になってくる。最近でいうとマスクをしないことの多様さやワクチンを受けない人を受け入れること。かれらを受容しないことは、自由からかけ離れる行為であるようにも思うが、ウィルスという脅威の前には自由は語りえなくなるのだろうか。人の自由、すなわち人権という言葉は知っているが、きちんとした意味で理解はできておらず、今まさにその意味を理解すべき状態にあると思い、この本を手に取った。この本によって、人権の国際的な位置づけ、現状の問題などについて一定の理解や学びがあった。ここから掘り下げて考えるべきだと思い、本書後半に記載の参考文献を読んでみようと思った。国際人権に関する現状と課題認識を理解するには、間違いなくお勧め。

    以下本文内容含む。

    すべての人が享受すべき人権を国際的に取り決めているのが国際人権であり、明文化された世界人権宣言。
    条約ではないため、法的義務を課すことはできない。一方で、逆に条約ではないからこそ、批准した国に適用されるようなものではなく、少なくとも国連加盟国であれば、守るべきと主張ができる。また人権を侵すのは、国家権力だけではなく、企業、個人もありうる。そこに対してもアプローチできるようになっている。
    条約もあるし、人権理事会(委員会よりも格上で、安全保障理事会と同レベル)も設立されている(2006年)。ただ、国家の代表たちによる理事会のため、政治的な思惑が働く場になってしまう現状もある。また、第3者的な存在として、人権NGOの参加も認められている(彼らの出すレポートをパラレルレポートというらしい)。定期審査が設けられていて、国家が提出する情報と第3者提供の情報とを勘案するといことも重要な視点である。
    継続的な対応や対処、再発防止措置を取る必要がある息の長い取り組み。
    報告のフィードバックとして、「総括所見」「一般的意見」がある。法的拘束はないが、一読のようはある。(障碍者条約とか自由権とかそれぞれに対して総括所見があるっぽい、障碍者のやつは2022年9月に発表されたらしく、かなりナウいトピックであったぽい。ただまあ、法的拘束力がないため、言われただけで特に次のアクションがないように感じるのがもやもや。)
    また個人通報制度もあるが、日本は受け入れていない。
    条約は法的拘束力を持ち、国内法に優位する。例えば入管法に違反した移民でも国際人権条約に守られた人権は保障されなければいけないということ。
    マクリーン事件(在留更新をベトナム戦争反対運動に参加していた理由で拒否されてしまった事件)での判決文では、「人権は保障されるが、保証された人権が在留更新のような場面で消極的な要素として考慮されてしまうことをダメとは言っていない。それは入管法の範囲である。」という内容だった。
    難民の定義にいう迫害の定義は法律上、通常人にとって受忍できない苦痛をもたらす攻撃または圧迫であって、生命また身体の自由の侵害になるものという狭い定義であって、ロヒンギャの人が足を軍人に蹴られたとしてもそれが迫害に至るとはいえないと裁判所が判断したケースもある(2012年).
    結論として非常に少ない難民申請者が難民として認定されている現状がある。海外では万単位だが、日本では数人レベル。そもそも国から宗教的な理由などで十分な補償が受けれないような場合に難民として入国するので、情報がそろいにくいという実情もある。

    (こういった人権的に間違いがある状態はだれでもだめだとはわかる。ただ、現在の新自由主義的な政治経済環境下でそれが治りづらいことも誰でもわかる。結局じぶんらでマーケットいわば問題提議を盛り上げるしかないのだが、それを自分たちでできれば難しい話ではない。そもそも割を食ってる人がマジョリティではない場合、自分ごととしてとらえる人が少ないので、社会全体としての関心は小さく、結果として議論が前に進みづらいだろう。他人のことを慮れるほどみんながいい人というわけでもないし。政府に対して勧告をするだけでいいのかも不明、もっと文化とか思想とかそういう話のようにも思う。また法で規定するというのが最善の手法なのか?人権を守るべきはわかるし、国連の機能としてレビュー、フィードバックの機能があるとして、それに法的拘束力もないとなると、優先度は自然と低くなるだろう。となると、どうすればいいのか。現状だと、ビジネスに紐づけることがまあ、分かりやすくマスに訴求できそうな気がする、SDGsがそうであるように。国連の例としてアパルトヘイトの撤廃の一助になったというがそれはなんというか大きすぎるというか大ごとすぎる、もっとミクロな問題に対して、何ができるのか、障碍者、子供、自由権、ヘイトスピーチ、人権が脅かされているケースは数えればきりがない。あと、明らかに難民の問題はおかしく見えるが、政府側の意見も聞いてみたい感じはある。)

  • 様々な昨今重要となっている人権に関して分かりやすく書かれていて参考になりました。

    難民の人権
    教育を受ける権利
    ヘイトスピーチなどなど

  • 人権という言葉は誰もが知っている。そして「なんとなく」、不可侵で大切なものだと理解している。
    人種、ジェンダー。難民問題。
    しかしそれらが国際的にどう定義され、どう保護されるべきものなのかはよくわかっていなかった。

    個人的に衝撃的だったのは教育に関するもの。
    貸与を受け始めたときには日本育英会、返し始めるころに学生支援機構になっていた私にとって読みながらやるせない気持ちになった。
    いま36歳、いまだ返済を続けている。いや、返済でき生活できているだけ恵まれているほうだ。

    日々の「仕方ない」と諦めていること、「そういうもよだ」と受け入れていることには、実は人権問題が潜んでいる…そんなことに気付かされる一冊。

  • 法務省:第74回人権週間 令和4年12月4日(日)~12月10日(土) https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html

  •  法学の範囲に限定している。厚みは薄いが、よくまとまっていると思う(その分、学徒向け)。

    【書誌情報】
    『国際人権入門――現場から考える』
    著者 申 惠丰
    通し番号 新赤版 1845
    ジャンル  法律
    刊行日 2020/08/20
    ISBN 9784004318453
    Cコード 0232
    体裁 新書 ・ 186頁

     第二次大戦後、人権に関するさまざまな国際ルールがめざましい発展を遂げ、日本もそれを守ることとされている。日本社会で現実に起きているさまざまな人権問題も、これらの国際人権基準に照らして考えることで、新たな光を当てられ、解決の方法を見出すことができる場合が少なくない。日本の現場から国際人権法の「活かし方」を考える。
    https://www.iwanami.co.jp/book/b521348.html


    【目次】
    はしがき [i-v]
    目次 [vii-x]


    序章 国際人権基準とそのシステム 001
      国際的な人権保障の出発点は国連憲章/世界人権宣言/国際人権規約、その他の人権条約/「国連憲章に基づく手続」と「人権条約に基づく手続」/報告制度/報告制度が生んだ成果/名古屋刑務所事件/一般的意見/個人通報制度/日本国内における人権条約の位置づけ/憲法と条約との関係/国際人権基準に照らして人権保障のあり方を考える


    第1章 「不法滞在の外国人」には人権はないのか――入管収容施設の外国人 039
      退去強制手続と収容/入管収容施設内での処遇/マクリーン事件判決の論理/「管轄下にあるすべての人」への人権保障/難民条約との関連/裁判を受ける権利の侵害/外国人にも家族生活の保護を受ける権利がある

    コラム 技能実習生の人権 060
    コラム 国際人権法の誕生とその背景 068


    第2章 人種差別・ヘイトスピーチ――差別を「禁止」する法の役割 081
      社会生活における人種差別を禁止する法律がない日本/民法の「不法行為」の規定をあてはめて解釈する迂遠な方法/人種差別を扇動するヘイトスピーチ根絶のための国の義務/諸外国の立法の例/民族的出身に基づくヘイトスピーチは人種差別/ヘイトスピーチ解消法の限界/ネット上のヘイトスピーチに対する取り組み


    第3章 女性差別の撤廃と性暴力 111
      セクハラは「性(ジェンダー)暴力」であり、「女性差別」/諸外国の立法/「暴行又は脅迫」要件/女性の権利を法的に保護しないことによる国の条約違反


    第4章 学ぶ権利実現のため措置を取る国の義務――社会権規約の観点から 135
      上がり続ける大学の学費と私費負担/社会権規約が要求している措置/単なる努力義務ではない/意図的な権利後退措置は社会権規約の趣旨に反する/「高等教育無償化」を謳う政府の施策がはらむ問題/【追記】コロナ禍で顕在化した人権問題と今後の課題

    コラム 人権保障と予算 162
    コラム 日本にも国内人権機関を作ろう 167


    読書案内 [171-173]

  • 最近話題になっている題材なので興味があった。
    日本の行政、司法及び基本的人権に関する考え方の後進性を強く感じた。これで、世界3位の経済大国というのは恥ずかしい。

  •  勉強になった。国際条約について自分はほとんど何も知らなかった。
     国内法の動向についてもきちんと整理しないと。
     憲法・国際条約・法律の関係が少しわかった。

  • 329-S
    閲覧新書

  • 日本における、入管やジェンダー、教育(奨学金)問題といった人権侵害について詳細に知ることができた。
    新書なので読みにくい部分もあったが、何が問題なのか理解することができて良かった

  • 【要約】
    日本では様々な人権問題があり、それを国際人権基準に照らして論じた本。
    具体例として、入管収容施設の外国人、人種差別、女性差別、経済的に困窮する学生の学ぶ権利などについて語られている。

    【感想】
    聞いたことのあるものも、聞いたことのないものもあり、日本でこうした人権問題が今なおあるという事実に悲しい気持ちになった。
    逆に、こうした人権問題の解決に抵抗する側はどういった論理に基づいて動いているのかは気になった。
    問題解決に向けて行動するということは問題があることを認めることに繋がり、自らの非を認めることに繋がるからなのだろうか?それともその問題を放置することで何かしらの利益が発生するのだろうか?問題解決によるコストや新たなデメリット発生を懸念しているのだろうか?
    この本は一貫して人権問題の解決を訴えており、国など問題解決を行っていない相手に対しての批判的な口調が強い。正しいことを言っている(ように見える)からこそ、相手の立場も慮って冷静に議論を進めることが、問題解決を前に進めるために必要なのかなと感じた。

  • 序章で記載されている、国連での人権規約、各人権条約、その履行を担保する仕組みが大変勉強になった。また、第一章以下、不法滞在の外国人や技能実習生、ヘイトスピーチ、女性や子供の人権、教育を受ける権利など、自分たちの身近なところで、国際水準から遅れている日本の現状が整理されており、問題意識を持つに十分な内容だった。

  • 2020/12

  • 第二次大戦後、人権に関するさまざまな国際的な規約が誕生した。国連憲章のもと、国際社会で守られるべき人権をリストアップした国際人権章典を作ることになり、その最初の成果が世界人権宣言であった。これは条約ではなく国連総会決議であり、国連加盟国でなれば守るべき基準である。その後、国際人権規約として、個別具体的なものへ条約化されていった。
    翻って日本では、入管収容施設での処遇など不法滞在の外国人の人権や技能実習生の人権は保障されておらず、人種差別やヘイトスピーチに関しても他の先進国に遅れている。また、女性差別の撤廃や学ぶ権利実現のための国の施策も国際基準を満たしていない。「財源がないのではなく、人権の視点がない」という筆者の指摘が胸に刺さる。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90353533

    (推薦者:行政政策学類 鈴木 めぐみ 先生)

  • 日本が人権という視座を持たない国であることがよくわかる。

    13人に1人が意に沿わない性交を強いられた経験があるとか多面的に論じられている。 

    さらに付言すれば予算がつかないのは、そうする国会議員を選ばない国民の怠慢も原因。

    若者や女性が本当に選挙に行かないのも人権感覚を備えようとしない議員の跋扈を許していることを考えないと、いくら理屈が正しくとも世の中は変わらない。残念だけど。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1845/K

  • 316.1||Sh

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著者プロフィール

青山学院大学法学部ヒューマンライツ学科教授

「2026年 『人権判例報 第11号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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