文在寅時代の韓国 「弔い」の民主主義 (岩波新書 新赤版 1857)

  • 岩波書店 (2020年11月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (226ページ) / ISBN・EAN: 9784004318576

作品紹介・あらすじ

盧武鉉元大統領の衝撃的な死とセウォル号の惨事という二つの悲劇から生まれた文在寅政権。公正と正義の実現を追求し「積弊の清算」を掲げた変革の道は、国内外で激しい毀誉褒貶と軋轢を生んでいる。妥協を知らない民主主義への希求は、韓国をどこへ導くのか。誤解と歪曲に満ちた韓国理解を塗り替え、リアルな姿を伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/747394

  • 『目の眩んだ者たちの国家』からの引用があったが、その引用部分はソンタグの『他者の苦痛へのまなざし』から展開した言葉でもあり、社会と向き合うとき自分がどれほど当事者性を持っているかを問われているように感じた。
    近年の日韓関係の急激な悪化については、2018年の徴用工判決に端を発したように一見みえても韓国の政治状況や社会状況、また日本の政治状況や社会状況が分かち難く絡んでおり根深さを思い知る。

  •  進歩派だろう著者が文在寅政権をどう評価するのか関心があり読んだ。主に盧武鉉政権以降の前史にも触れられている。セウォル号事件が韓国社会に積もった歪みを明らかにし、弔いの感情が市民の行動を生む。やがて2016〜17年のろうそくデモに繋がり文在寅政権誕生、という流れだ。副題はこういう意味だろう。
     興味深い指摘もある。97年IMF危機以降の新自由主義的な開放経済体制は進歩・保守を問わず、今や経済政策や福祉政策で両陣営の違いを打ち出すのは益々困難。ろうそくデモに現れた市民運動の脱中心・脱権威化。対日関係では、進歩政権でも本音は90年代ベースの「道義的責任」での妥協を望むが、今やポストろうそく革命の韓国社会との乖離。進歩政権下での市民社会と行政との協働。
     また、進歩派を無謬としているわけではなく、「親盧覇権主義」への反感、親盧・非盧の対立、そして曺国事態や朴元淳などのセクハラで問われる進歩の価値とモラル、など指摘している。
     ただ、全体的に著者のイデオロギー色が強い。個別の語句の使い方もそうだが、それに留まらない。保守政権は不合理で極端な反動とし、進歩政権には功が多めの功罪両面の評価の一方で、保守政権には専ら否定的評価(いずれもその時々の選挙を経て誕生した政権なのだが)。盧武鉉など進歩派への検察捜査は政治報復として否定的に、朴槿恵など保守派への捜査は積弊清算として肯定的に見る。曺国事態では、大したことはないのに検察とマスコミが騒ぎ立てたと言わんばかりで、「裁判で検察が確証を示しうるのかも覚束ない」とする(鄭慶心には既に一審で実刑判決が出たのだが)。
     米国同様、韓国でも社会の分断が指摘される。著者の論調が進歩派の主流なのだとすれば、分断の先行きに楽観的にはなれなかった。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1857/K

  • 312.21||Mu

  • 盧武鉉時代から、李明博、朴槿恵、そして現在の文在寅までの韓国の政治状況を教えてくれる。セウォル号の悲劇で、時の政府の不甲斐なさと不正義があぶり出され、政治を一部の者で壟断したことに怒った多くの市民・学生が参加したろうそくデモで朴槿恵政権は倒された。次の大統領選挙では進歩勢力の文在寅が当選した。当初の支持率からの降下はあったが、コロナ・パンデミックでの対応で支持率が上がっているらしい。過去の清算では韓国が納得するような対応を日本が取ることは難しいだろう。絡み合った紐を解くことができるのか?

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著者プロフィール

立命館大学国際関係学部教員。政治学・朝鮮現代史。主な著書に『韓国現代史』岩波新書、『済州島四・三事件』平凡社、共編著に『ろうそくデモを越えて』東方出版、『在日コリアン辞典』明石書店、『エティック国際関係学』東信堂など。

「2012年 『危機の時代の市民活動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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