源氏物語を読む (岩波新書 新赤版 1885)

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  • 岩波書店
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004318859

作品紹介・あらすじ

千年を超えて読み継がれてきた『源氏物語』。その魅力の核心はどこにあるのだろうか。既存の物語を下敷きとしながら生み出された経緯に注目しつつ、長大な物語の隅々まで目を配り、一つ一つの巻を丁寧に「読む」ところから本質に迫る。何度も通読した愛好家にも、初めて挑戦する読者にも、新たなヒントが詰まった一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語五十四帖のあらすじはたどれますが、本書の対象はひと通り源氏物語を把握した読者ですね。本文中に古今の源氏研究者の学説を紹介していますが、それを学者の名前だけで紹介していて、関心があればこちらです、ということで参考文献を載せています。その手際の良さが知的で、参考文献の多さが素晴らしい。高木さんの解釈も、“ひと時の消えゆく藻屑”と記す無常観漂う「おわりに」もナイスです。これからの益々のご活躍を楽しみにしています。

  • 7月10日(土)14:00-15:30 【書籍付】高木和子さん「源氏物語を読む」 | JPIC...
    https://jpic-online.shop/items/609f13938899be1170baabe2

    教 授  高木 和子  (国文学研究室) - 東京大学文学部・大学院人文社会系研究科
    http://www.l.u-tokyo.ac.jp/teacher/database/229.html

    源氏物語を読む - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b583371.html

  • 『源氏物語』を味わおうと思いながら、いつも中途半端に終わってしまっている気がする。
    漫画の要約版も随分昔に読んだ気がするのだけど……角田光代版は途中だし、ウェイリー版もなかなか進まないし、と結局は玉鬘くらいまでしか行きつかないんだよなー。

    そんな我慢のない私にとって、この新書はやや軽いくらいのサイズで良い。
    宇治十帖までのあらすじと、筆者が抽出したポイントに触れると、全体像なるものが見えてくるようにも思う。
    ただ、まあ、要約的だから、味気ないと思う人もいるかもしれない。ある程度、本文や小説なんかで雰囲気を蓄積しておくと良いのかも。

  • 源氏物語の全体のストーリー、主要人物の相関と心理、物語の構造などを、とてもコンパクトに、しかも現代的でわかりやすい文章で要約してくれている。キーとなるシーンは、原文とさりげない意訳?が流れるように配置されていて、お勉強感覚に陥ることなく、楽しい読書であった。

  • Audibleで聞いていたら、自分で読む方が手っ取り早く、紙の本に切り替えた一冊。

    『源氏物語』を初めて読まれる方や、文学部の学部生で、源氏物語を学ぶ方が、導入として読まれるのにぴったりの一冊。物語を追いながら、文学テクストとして読み解く際のトピックを丁寧に解説してくれている。最近の研究動向から、遡っての碩学の研究成果まで入れながらの本文は、大変わかりやすく、一般の読者で、『源氏』読了に挑みたい方など、全ての読者層の作品理解を助けてくれることだろう。

    いきなり『源氏』の本文通読に挑むよりは、まずこの本を読み切ってから、お好きな現代訳に進まれるのがいい。あるいは、一巻ずつ現代訳を読んでは、この本の該当箇所を読むのでもいい。いずれにしろ、本文の傍らにこの本を置いて併読すると、今までわかりにくかったところ、そっけなく見えた本文の不明点が、よく理解できて、作品の面白さを深く味わえるはずだ。

    私が読むと、講義のおさらいのような感じで、以前に通っていた大学で『源氏』を学んだ時のノートを見直しながら読んだ。それはそれで珍しい読み方だと思うが、自分の知識の整理になったから、意義はあったということで。

    現代語訳を通読なさったら、今度は注釈のついた原典に進まれるのがいい。源氏物語の入門書を何かと言われたら、今後はこれと、知識の補完用に、川村裕子さんの『はじめての王朝文化辞典 』(角川ソフィア文庫)の2冊をセットでお勧めしたい。『須磨』の巻で、読むのを諦めてしまう『須磨がえり』という現象を打ち破る、強力な助っ人になってくれること間違いなしである。

  • 著者の高木和子さんは、かつて瀬戸内寂聴が源氏物語の現代語訳を手がけるにあたり、巻末資料を作る仕事をしていたらしい。そのときから、「この物語に関心を抱く一般の人たちに向けて語り、書くこと」を考えながら、研究をしてきたと言います。以下、著者の弁を借りながら、源氏物語について語ってみたいと思います。

    日本が世界に誇る名作「源氏物語」が千年を超えて受け継がれてきたのは、後代の和歌の世界で重んじられてきたからです。つまり、和歌を作る上で、必須の教養として研究の対象とされていた。また、現代に生きる私たちも、ほぼ完成した形で、この物語を読むことができる。他の書物などでも言及されたり、絵巻に描かれてもきた。これほどまでに読む者の心を惹きつけてやまない源氏物語の魅力の一つは、登場人物が虚構の人物であるにも関わらず、まるで血の通った人間かと錯覚するような繊細な心理描写にある。主人公の光源氏を始め、物語を彩る女性たちは、みな、複雑な内面を持っていて、そこに浮き彫りにされる価値観が物語と連動してもいる。

    こうした魅力があるからこそ、源氏物語は制作当初から人気があり、今にまで受け継がれているのでしょう。

  • 源氏物語のあらすじを始めから一通り解説していく本。新書なので飛ばし気味に説明していくが、それはそれでわかりやすい。研究者の解釈を所々解説したり比較したりしていて、読み方が広がった。

  • 源氏物語の書かれた時代、紫式部の立ち位置、同時代の清少納言や他の作品との関係もわかります。ストーリーを把握しているひとむけの印象。

  • 2021年6月23日購入。

  • 源氏物語の全ての巻について、短いながらも丁寧に解説されている。

    特定のテーマから読むタイプの解説本ではなく、全体のストーリーや文化の把握をするのにちょうど良い本だった。
    与謝野晶子訳の源氏物語が結構難しくてあまり理解できていなかったけど、この本読むことで大まかに把握できた

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著者プロフィール

* 1964年兵庫県生。
* 東京大学大学院修了、博士(文学)。
* 現在 関西学院大学文学部教授。
* 主要著書
『源氏物語の思考』(風間書房)
『女から詠む歌 源氏物語の贈答歌』(青簡舎)
『男読み源氏物語』(朝日新書)

「2011年 『和泉式部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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