知的文章術入門 (岩波新書 新赤版 1897)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004318972

作品紹介・あらすじ

3カ国でがんの基礎研究に携わって40年、英語論文数300を超える著者は、論文執筆の指導・審査に携わって50年。大学での講義をもとに、論文、報告書、レポートなど、事実と考えを正確に伝える文章術、プレゼン術を指南。デジタル社会ならではの視点が光る。日本語の事例は痛快、英語文例は実践で役に立つ。チェックリスト付き 

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、2021/9/17に初版が発行された新しい「文章術の本」だ。医学者である著者がすべての読み書きを日常的に行う人々に向けて、そのコツをざっくばらんに簡潔に書いた良書である。

    理系に片寄った内容になっておらず、そのバランス感覚が著者の凄みの一つではないか。

    タイトルは『知的文章術入門』でありながらも、実際には広く知的発信者としての姿勢や、プレゼンテーションのやり方、パワーポイント資料作成のコツ、さらには英語学習についてまで触れている。

    タブーとされるWikipediaの利用についても、「どんなことにどれくらいどのように使うべきか、または使わないべきか」を正面から述べている。

    医学者である著者は、本書を書くに当たって、これまでのありとあらゆる「文章術」に関する蓄積を踏まえて、それらを現代版にアップデートしようとした。

    その試みは個人的に、ある程度うまく行っていると思う。

    今後求められる「言語コミュニケーション」に向けて、誰が読んでも役立つ内容になっている。分量も多くなく、文体がフランクで読みやすい。

    筆者は、大学にて毎年1年生向けに「これから一生レポートを書き続ける君たちへ」と題する講義を2016年から毎年行っているという。レポートは、ここではつまり、もっと広く「文章」という意味で使われていると思われる。

    本書での学びや発見はまさしく一生ものである。


    「読むこと、書くこと、話すこと」に少なからずこだわりを持つ全ての方にオススメする。

  • 分かりやすい文章を書きづらいと思っている人、日本語の文章の書き方を教わっていない人におすすめ。

    【概要】
    ●正しく理解できる日本語
    ●分かりやすい文章、論理的な流れ
    ●文章を書き始める前、書いた後、引用
    ●ウィキペディアの使い方、正しい情報、数字での思考
    ●パワーポイントによるスライドの作成、オンライン授業への参加
    ●英語の読み、聞き、話し、書く
    ●英語でのメール

    【感想】
    ●大学生・社会人にかかわらず、一読する価値があると思った。仕事の役に立つときがくるであろう。
    ●文章を書くことは難しく大事なことであるが、情報化社会において日本語に関わる能力が低下し放置されたままである、という問題認識の下、どのようにすれば知的文章が書けるか丁寧に書かれている。
    ●図書館で借りて読んだが、よい本でありこれからも使えると思ったので購入した。

  • 知的文章とは少し大袈裟な感じがするが,要するに文章を書くことが仕事の一部になっている人のための文章指南である.著者は後がきで自ら「『知的文章術』などと大げさに構えながら,内容は常識的で,ときに非常識的であるのに気がついた」と書いている.私の読後感も全くその通り.私は長い年月をかけてそれを学んだけれど,文章を書くのを仕事にしたい若い人はすぐにでも読んだほうがいいと思う.非常識な部分は「英語を専門としないのであれば,ある程度あきらめが必要」というところ.ただし,書く英語はなるべく完璧を目指すと.私も同意.
    全体として非常にプラクティカルでよい入門書だと思う.

  • 愛知大学図書館のOPAC https://opac.aichi-u.ac.jp/webopac/BB01031110

    文章を「書く」ことには「読む」ことが欠かせないものです。
    つまり相手に伝わる文章を書く必要があります。
    特に句読点の使い方については、当たり前だけれど、
    改めて身につけておきたい内容になっています。
    また英語での文章の書き方の解説もあり、
    文章を書くうえで読んでおきたい一冊になっています。

  • 文章を書くことについての教科書になりうる本。

  • パラグラフが決める論理の流れ
    「簡潔」「明解」と並んで重要なのは、「論理的」な文章構成だ。論旨を展開するときに意識したいのが、パラグラフである。日本語で言えば段落だが、オックスフォード英語辞典では“paragraph”は「文章における明瞭なセクション。たいていは一つのテーマを扱い、改行や字下げ、番号によって区切られる」と定義されている。

    パラグラフは「論理単位」であり、一つの論理テーマをもつ一つのセクションでなければならない。一つのパラグラフにいくつもの論理を押し込むと、本来のパラグラフの役割から離れてしまい、文章全体の論理の流れが分かりにくくなるのだ。

    パラグラフの順序が全体の論旨の流れをつくる。文章を読み直して話がぎくしゃくしていると感じられたら、流れを見直してパラグラフごと入れ替えるだけですっきりと筋が通ることがある。

    論理が一貫している限りは、一つのパラグラフは1行でも100行でも問題がないという理屈になる。しかし、実際のところあまりに長いパラグラフは読みにくい。逆に、短すぎるパラグラフは論理の弱さにつながる。目安として、一つのパラグラフは10~15行くらいに収めたいところだ。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1378626

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/646986

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著者プロフィール

黒木登志夫

1936年、東京生まれ。東北大学医学部卒業。専門はがん細胞、発がんのメカニズム。1961から2001年にかけて、3カ国5つの研究所でがんの基礎研究をおこなう(東北大学加齢医学研究所、東京大学医科学研究所、ウイスコンシン大学、WHO国際がん研究機関、昭和大学)。英語で執筆した専門論文は300編以上。その後、日本癌学会会長(2000年)、岐阜大学学長(2001-08年)、日本学術振興会学術システム研究センター副所長(2008-12年)を経て、日本学術振興会学術システム研究センター顧問。2011年、生命科学全般に対する多大な貢献によって瑞宝重光章を受章。著書に、『がん遺伝子の発見』(1996年)、『健康・老化・寿命』(2007年)、『知的文章とプレゼンテーション』(2011年)、『iPS細胞』(2015年)、『研究不正』(2016年、いずれも中公新書)ほか多数。

「2022年 『変異ウイルスとの闘い――コロナ治療薬とワクチン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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