タリバン台頭 混迷のアフガニスタン現代史 (岩波新書 新赤版 1920)

  • 岩波書店 (2022年3月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (222ページ) / ISBN・EAN: 9784004319207

作品紹介・あらすじ

「テロとの戦い」において「敵」だったはずのタリバンが、再びアフガニスタンで政権を掌握した。なぜタリバンは民衆たちに支持されたのか。恐怖政治で知られたタリバンは変わったのか、変わっていないのか。アフガニスタンが生きた混迷の時代には、私たちが生きる現代世界が抱えた矛盾が集約されていた。

みんなの感想まとめ

現代アフガニスタンの複雑な状況を深く掘り下げる本書は、タリバンの歴史や復権の背景を詳述し、単純な善悪の枠組みでは捉えきれない実態を浮き彫りにします。著者は、タリバンの女性に対する人権侵害や元治安維持部...

感想・レビュー・書評

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  • 2021年8月のターリバーンによるアフガニスタン制圧を受け書かれた新書。いつかアフガニスタンについてはしっかり知識を取り入れたいと思っていたので、イスラム用語がごっちゃになるなど難しいところもあったが、早いうちに読むことができて良かった。

    ターリバーンは内部の保守層と外部の諸外国のどちらの様子も見ながら政策を打ち出す必要があること、また多くの部族的背景を持つ構成員により組織として混沌としていること、一部の末端構成員による行為がSNS等で拡散されていることなどの影響で、我々が見るターリバーンの外観が多様に見えるということがわかった。

    アメリカが完全撤退していて、ターリバーンに代わってアフガニスタンを統治する可能性のある勢力が現れていない現状、ターリバーンと国際社会の間でうまく交渉を進める必要に迫られている。

    2024年の著者による以下解説によると、2023年に中国がターリバーンによるアフガニスタン統治を「事実上承認」をしたそうだ。
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/asiadoukou/2024/0/2024_571/_article/-char/ja/
    一帯一路政策がうまくいっていない中国にとってアフガニスタンとの関係は非常に重要であると考えられ、動向に注目したいと思った。


  • アフガニスタンの復興開発や、在アフガン日本大使館での勤務経験がある著者による、アフガニスタンの歴史といまを大局的に伝える1冊。日本のメディアでは、行き過ぎた思想を持つ武装勢力のように描写されているタリバンが、実はもっと多面で多様な存在であることを知ることができる。本書終盤の、タリバンの戦闘員は、紛争のさなかで育ってきた子どもたちであるーーという描写が脳裏に焼きついて離れない。

  • KITE RUNNERを理解するために買ってみた。
    中東は日本人である自分にとってなんとなくミステリアス。
    イスラム教は面白い。

  • 【請求記号:312 ア】

  • タリバン台頭についての歴史及びアフガニスタンの習慣からざっと記載したものである。何も知らない人向けなのかもしれない。中村医師の殺害とアフガニスタンパキスタン間の水争いは言及していないので、中村医師殺害以前に書かれたと思われる。
     これを読んでもよくわからないことが多い気がする。

  • 著者が記すように、イスラームという縦糸と、民族という横糸がおりなすのがアフガニスタンという国である。

    だがメディアでは、縦糸のみが強調されがちである。本書は縦糸と横糸、そしてその絡み合いを理解するために必要な基礎知識を得ることが出来る。

    女性の教育や公の場でのヘジャーブ着用問題が深刻な問題なのだが、それだけで全ての問題が解決するわけではないこの国の問題の深刻の一端を、本書をきっかけに理解できるとおもう。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000056495

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/771234

  •  著者は、タリバン自体が多面的な存在だとし、本書においても多面的に見る。国を統治している現実や、タリバン以外に統治主体が見当たらない実状。他方で人権侵害、「テロリスト」との糾弾、その脅威から逃れようとする人々の国外退避支援。いずれも矛盾しているように見えない、という。王制や共産主義政権期の急進的な改革が失敗したことを背景に、変化には長時間かかるとする。
     混乱の中、国民に歓迎される「世直し運動」としての出現。パシュトゥン人の部族慣習法とイスラム教のシャリーアが混然一体となった行動原理。単純に「イスラム過激派」と一括りにはできなさそうだ。しかし一方で、90年代末からはアラブ世界の過激派・戦闘員流入により変節。
     他者との関係では、親自国勢力育成・確保のためタリバンを支援したパキスタンをはじめ、米とのドーハ合意、経済的利益やテロ対策を重視する中国、過激派対策中心の露など。またAQをはじめとする国内テロ組織。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1920/K

  • 広く深い地域研究の中身を、一般読者が或る程度理解出来るように、適当な分量で纏めるという、好い意味で新書らしい一冊だと思う。
    本書は、最初の方にタリバンが政権をまた握ったという出来事の周辺が綴られ、少し過去、更に過去、そしてアフガニスタン社会の歴史の概略、最近の動向を改めて考察というような各章が積み上げられている。何かアフガニスタンを立体的に概観することが叶ったように思う。
    アフガニスタンは様々な要素が重なって来た地域で、複雑な模様の織物のような社会であった。現在でもそういう要素は多く在る。しかし過去数十年間の経過で、複雑な模様の織物が解けて糸の集まりのような様相を呈してしまっているということが、本書では概観されている。
    20年程前の「アフガニスタンを策源地とするテロリスト集団を駆逐…」という中で「タリバン」の名が出ている。何やら暴力的な集団なのか?イスラム教に関して変な誤解が生まれるような解釈を唱えて、何やら不可解なことをやってしまっている?個人的にはそういう観方もしないではなかった。
    テロリスト集団の関係者との接近で「少し変わった?」というのも事実で、自身も含めた外国の人達が観て「何かよく判らない?」というように感じる社会政策が採られているのも事実である。が、それだけでもなく、「混迷の中から出て来た」ということで「人々の一定以上の支持」も在るようだ。
    王制、共和制、共産主義系政権、軍閥の実効支配と社会が崩れて行くような状況を経験したアフガニスタンでは、1990年代辺りには「かなり酷い…」という様相が見受けられたそうだ。妙な譬えで御叱りも受けてしまうかもしれないが敢えて綴る。SF系の設定の漫画や映画で「荒廃した世界を無法者達が牛耳り、無辜の人達が虐げられ…」という感、「暴力が支配…」という状況を背景とする“バイオレンスアクション”という系譜の作品が見受けられるが、1990年代に入った頃のアフガニスタンは一部にそういう様相も呈してしまていたようだ。
    そういう「暴力が支配…」という状況に「抗わなければならない」として登場し、勢力を拡大したのがタリバンだった訳だ。“無法者”を排し、古くからのイスラム教の教えを実践する秩序を確立しようとする運動を起こした訳だ。1994年に旗揚げとされるタリバンは1996年頃に実験を掌握したのだという。
    本書はこのタリバンの動きを多彩な角度で追掛けている。各章毎にドンドン読み進めることが叶った。

    アフガニスタンというのは、古くはモスクを中心とするような村落の共同体が形成され、その中に人々の穏やかな人生が在り、子ども達の歓声が沸き上がり、人々の笑顔が溢れるというような雰囲気であったようだ。それがである。もう「何世代か?」に亘って混乱が続き、「一家で〇〇に遊びに行った」とか「運動会が盛り上がった」というような「愉しい子ども時代の想い出」のようなモノと切り離されたままに成人しているような人達が多くなってしまっている様子も伺える。

    20年程前に造られた政権の下でも人々の様々な活動が積み上げられた。それが否定されてしまうようなことも起こってしまっている。こうなると、何が善く、何が善くないのか判らなくなる。が、同時に「単純に善悪を二分出来るのでもない」ということでもあるであろうか。

    「タリバン」というのも「アフガニスタン関係」という程度に判っても、「実を言えば内容に通じているのでもないのではないか?」という例ではないかと思われるが、昨今の少し急な動きを踏まえて、アフガニスタンの状況を立体的に概観出来る本書は、広く御薦めしたい。

  • 本書は、昨年アフガニスタンにて政権を掌握したターリバーンが台頭した理由やその背景を、ターリバーンの思想、同地の伝統や慣習、諸外国からの干渉の歴史から読み解き、アフガニスタンの地に政治的安定性をもたらすために、これから外部者はどう関わっていくべきかを論じる本である。

    通読して、アメリカなどの大国によるアフガニスタンの近代化は同地の伝統や慣習とは相容れないものであり、それが不安定をもたらした一因だということが分かった。また、そうした過去の反省から、外部の国々はアフガニスタンの内発的な自助努力を支援する程度に関わりを抑えていくべきであるというのが著者の主張であり、評者も部分的には賛同する。しかし、ターリバーン指導部の女性に対する扱いは伝統的なイスラム法に基づいているとはいえど、やはり看過すべきではない点だと思われる。

  • 227.1||Ao

  • タリバンの多面性とアフガニスタンの現代史の本質
    単純化することは物事の解決を困難にすることを改めて痛感

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