アフター・アベノミクス 異形の経済政策はいかに変質したのか (岩波新書 新赤版 1951)

  • 岩波書店 (2022年12月22日発売)
3.71
  • (7)
  • (13)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 163
感想 : 18
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (244ページ) / ISBN・EAN: 9784004319511

作品紹介・あらすじ

水面下で大きく構造転換していたアベノミクス。金融政策から財政政策へのシフトは、いつ、どのように起きたのか。日銀は何を考えていたのか。財政当局はどう動いたのか。財政再建特命委員会や財政政策検討本部の全議事録を独自に入手、さらに内部資料、各種証言などを材料に立案過程を詳らかにし、毀誉褒貶激しい政策を徹底検証する。

みんなの感想まとめ

金融政策から財政政策へのシフトを中心に、アベノミクスの変遷を詳細に追った一冊です。著者は、安倍元首相の退陣前後に起きた物価上昇の背景を分析し、国内外の要因がどのように影響を与えたかを考察しています。特...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書は2022年12月発行なので、既に安倍元首相は退陣していたばかりではなく、凶弾に倒れ、亡くなられていたタイミングでの発行である。本の内容は、アベノミクスを振り返り、それが、途中で変質したとし、その背景を探ったものである。本書は、下記のように紹介されている。
    【引用】
    水面下で大きく構造転換していたアベノミクス。金融政策から財政政策へのシフトは、いつ、どのように起きたのか。日銀は何を考え、財政当局はどのように動いたのか。財政再建特命委員会や財政政策検討本部の全議事録を独自に入手、内部資料、各種証言なども材料に立案過程を詳らかにし、毀誉褒貶激しい政策を徹底検証する。
    【引用終わり】

    第二次安倍政権は、「三本の矢」という政策を軸に運営を開始した。「三本の矢」は、「大胆な金融政策(異次元の金融緩和)」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」である。政権当初、安倍元首相はリフレ派ではなく、どちらかと言えば、財政規律派であると少なくとも私は理解していたし、また、「成長戦略」も、これといったものは打ち出されずに、政策の中心は「異次元の金融緩和」であり、本書を読んでも、金融政策だけで、脱デフレが可能であると、政権に近い人たちは考えていたようである。
    しかし、「異次元の金融緩和」は、うまくは機能しなかった。脱デフレが達成できたかどうかは、物価上昇率2%が達成できたかどうかで判断することと理解されていたが、それは、いつまで経っても達成されなかった。そのような中、「金融政策では」あるいは「金融政策だけでは」、脱デフレは達成できないと安倍元首相は考えるようになり、財政政策に舵を切ろうとしていた、その経緯と実際の動きを描こうとしたのが本書である。
    安倍元首相は、「財政規律派」というよりは、「小さな政府派」だったのだと思う。それでも、増大する社会保障費用をまかなうために、2度に渡り、消費税増税を行った。「金融緩和」によって、お金をマーケットに余らせてインフレを起こそうとしたのであるが、財政は緊縮のまま、更には消費増税まで行ったため、消費が冷えてしまい、マネーに対しての需要が起こらず、景気は冷え切ったままだったというのが、「アベノミクス」の結果だったのではないだろうか。
    コロナになり、ようやく財政出動を大幅に増やしたが、それも緊急避難的な対策であり、今では元に戻りつつある。
    本書を読んでいて、安倍元首相が、もう少し早く財政を緩めるアクションを起こしてくれていたら、日本経済の姿も、少し違ったものになっていたのではないかな、と思ってしまう。

  • パラパラ読み。
    アベノミクスの検証のため読んだ。
    金融政策では2%の物価高は達成できない。
    積極財政派と財政規律派の抗争
    本当派金融政策に対して徹底した反省がなければいけないがうやむやにした。そのため途中財政政策日銀舵を切ろうとしたが消費税導入もありなかなかうまくいかなかったように思う。
    高市さんが首相になったため現在の日本は積極財政に傾注しようとしている。
    本当に大丈夫なのか疑問も残る。
    下記は私の持論
    金融政策は政府の国債を7年間で550兆日銀が買い取りした。そのため日銀の準備金はバランスシート上550兆負債つまり民間銀行に550兆の資産となっている。今後政策金利を2%上げた場合付利として民間銀行に11兆支払いが発生する。政府からの利子は2兆。差し引き9兆の負債が日銀のに襲う。日銀が赤字に陥れば最後は政府ならびに国民の負担となる。
    現在は金利を上げたいが上げれない。
    そのため円安に振れコストプッシュ以上に物価高が我々を襲う。
    本来は日銀の目標は経済成長率>物価率であったはず。物価上がればいいだけではダメでそれを上回る成長率をいかに作るかつまり経済政策もセットで唱えなければならなかったはず。
    だから金融政策の徹底した反省が必要なのだ。
    高市さんはそれが分かった上での経済政策なのか?
    膨れ上がった日銀の当座預金を睨みながらいかに成長路線を築くのか見ものである。

  • ふむ

  • 軽部さんのアベノミクス三部作完結編。
    長らく所期の目的を達することができなかった金融緩和だが、安倍元首相の退陣と前後して、円安や原油高によって物価上昇率が2%を超えるようになってきた。
    普通に考えると、金融緩和というよりは、主として国外の事情が物価上昇の原因であるように思われ、アベノミクスそのものについてもいまだ評価を確定できない状況ではあるが、安倍元首相が亡くなるまでの間に、政治の世界や官僚の世界(また、その相互関係)の中で、誰がどのようなことをしてきたかを丁寧に記録してきたことに、本シリーズの意義があるように思う。

  • 2023/09/04

  • 【請求記号:332 カ】

  • 安倍元首相の進めてきた、アベノミクスの変遷と、今後の懸念が示される。
    強引な手法で、周りをイエスマンで固めて進めてきたアベノミクスの出口戦略はあるのか、クラッシュしない事を願う。

  • アベノミクスの政治的な変遷を時系列で追った1冊。賛否両論ありながら進み、やがて財政政策へシフトしていく様子が分かります。

  • 安倍元首相の関心が金融政策から財政政策に移っていくなかで、日本銀行や財務省内でどのような議論があったかの記録。また、自民党内の財政健全化派と積極的財政派の主導権争いも記されていた。

    アベノミクスをめぐってどういう議論があったかを知れる1冊。

    異次元緩和が今後どう展開していくかチェックしたい。あと、MMTの勉強も。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/781921

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1951/K

  • 332.107||Ka

  • 2024/02/14
    アベノミクスという10年に及ぶ社会実験の取材記録
    いずれ歴史的評価を問われる上で必要になる
    1.アベノミクスの成果
     金融緩和・円安・株高・企業利益増・雇用増・税収増
     消費税を二回上げた 5%→8%→10%
    当初は金融政策、後半は財政政策へシフト
     安倍首相は歴史的評価を自認 退任後も影響力を保持
    2.支えるリスク 日銀の国債資産
    このリスクが成果に比べてどれだけのものかはこれから
    600兆円の国債をどう始末するのか
    その目処が立って初めてアベノミクスを評価できる
    3.安倍総理は判っていたが、自分の評価が大事
    家系の大物へのコンプレックスが合ったように思う
    総理退任後も自民党のゴッドファーザーを目指し、アベノミクスへの批判を許さない、器の小ささ
    4.本質は「社会保障制度」
    ・2012-2018年度比較
     ①税収+17兆円②社会保障費+7兆円
     ③国債発行減Δ11兆円
    5.稲田朋美◎夫婦別姓・財政健全化 安倍さんと一線
     一方、高市早苗✕ 安倍の糞 ひたすらヨイショ
     人相まで悪くなった 魔女
    6.様々な議論
    安倍時代の最大の問題は「モラル低下」
    人材から誇りを奪い卑屈にする 自分の権力を誇示

    再読了日:2024年2月14日
    2023/01/20
    アベノミクス総括への取り組み 安倍総理の死
    今後進むが、日銀黒田総裁の退任後、本格化
    日銀のBSに矛盾が集約 国債600兆円 ETF60兆円
    岸田総理が後始末 次の日銀総裁も
    キックオフとして本書 軽部謙介氏の得意技

    財政赤字を国債で賄い、それを日銀が溜め込む
    いかにも姑息な財政運営 国家百年の計はない
    本質は「社会保障の増加」の負担
    「税金」で現代の世代に負担させるか、「国債」で負担を先送り将来世代に委ねるか、「過去の積み立て」をどう使うか
    根本の議論を避けて、目先だけ対症療法 病気悪化一途

    消費増税は何に使われた? ①所得税減税②法人税減税
    それは国民の総意なのか 富裕層と大企業に恩恵
    社会正義に反すると思う

    アベノミクスの財政評価
    景気拡大 税収増加 財政赤字の縮小 国債依存度減
    ここは評価されるべきなのか
    大企業は「最高利益」を更新=ROE10%世界標準へ
    内部留保も史上最高へ

    安倍政治の総括 「モラルの喪失」
    官僚・市場・企業 
    マーケット崩壊 日銀・GPIFのETF買い
    就業者の増加240万人
    消費税上げ2回 5%

全17件中 1 - 17件を表示

著者プロフィール

軽部 謙介(カルベ ケンスケ)
時事通信社解説委員
1955年生まれ。早稲田大学法学部卒業。時事通信社入社。社会部、福岡支社、那覇支局、経済部、ワシントン特派員、経済部次長、ワシントン支局長、ニューヨーク総局長等を経て、現在、同社解説委員。主な著書に『日米コメ交渉』(中公新書)、『官僚たちのアベノミクス』(岩波新書)など。

「2019年 『政策をみる眼をやしなう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

軽部謙介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×